【特集】DANCHI TOPICS
旧赤羽台団地の4棟
団地初の登録有形文化財に
1962(昭和37)年に入居が始まった旧赤羽台団地(東京都北区)のポイント型住棟(スターハウス)を含む4棟が、昨年、団地として初めて国の登録有形文化財(建造物)に登録された。
登録されたのは、板状階段室型住棟1棟と、スターハウスと呼ばれるポイント型住棟3棟で、それぞれ62年に建設されている。
高度成長期の暮らしを今に伝える貴重な建物
板状階段室型はすべての住戸に採光・通気が得られるよう住棟を南向きに配置し、各戸南側にバルコニーを設けたタイプで、他の団地でもよく見られる。高度経済成長期の標準的な住棟形式を今に伝える事例として、貴重だと判断された。
一方、スターハウスは三角形をした階段室の周囲に、各階3住戸が放射状に配置され、全体がY字形になっている住棟。戦後日本で試みられた独特な形式だ。すべての住戸が3方向で外気に接するだけでなく、板状住棟が続く団地の空間に変化をもたらすという景観上の利点や、変形敷地や斜面にも建設できるという利点がある。全国的に見てもスターハウスの建設数は少なく、旧赤羽台団地のように3棟まとまって保存される例は希少で、板状階段室型住棟とともに、日本住宅公団初期の大規模都市型団地の様相を知る上で歴史的価値が高いと判断された。
日本住宅公団が建設した旧赤羽台団地は、62年の管理開始時に、全3373戸を数えた大規模団地。2000(平成12)年から建替事業が始まり、多くの住棟はヌーヴェル赤羽台に生まれ変わった。
この団地内に、22年度オープンの予定で、URの新しい情報発信施設の整備も進んでいる。そこでは都市の暮らしの歴史を学び、未来を志向する展示が計画されており、今回登録有形文化財となった板状階段室型の41号棟と、スターハウスの42~44号棟の4棟も保存・活用される予定だ。
作ってみよう! スターハウス
登録有形文化財に登録された旧赤羽台団地のスターハウスが、ペーパークラフトになりました。ぜひ組み立ててみてください。
出来上がったら自由に色を塗って、URの公式インスタグラムをフォローし、「#スターハウス」「#URのある暮らし」を付けて投稿しませんか。投稿作品はUR公式インスタグラムにアップされるかも。お待ちしています。
テーマごとに団地を解剖する
「‘ING REPORT」シリーズ
URの前身である日本住宅公団が1955(昭和30)年に設立されてから65年。全国に約2000もの団地を建設してきたなかで開発され、培われてきた技術や知見を分野ごとにまとめ、さらなる進化へつなげることを目的に発行しているのがURの「’ING REPORT」シリーズだ。
1993(平成5)年の「機」を皮切りに、これまで「電」「建」がまとめられ、今年の4月に「構」「団」が完成した。
「機」は機械設備、「電」は電気設備、「建」は住まいづくりの変遷、「構」は構造設計基準の変遷を、いずれも技術開発の歩みとともにまとめている。
歴史をたどり団地への興味を広げる
「団」は団地の配置設計を中心に、団地の歴史を振り返る内容だ。編集を担当したURの渡邊美樹は、「団地の歴史をたどりながら、配置設計を担当した先輩方の思いを後世に伝えることがこの冊子の目的です。しかし、いざまとめるとなると、重要な団地がこぼれていないか、この考えで正しいのかなど、確認すべきことが多くて苦労しました」と振り返る。
URのOBたちにも積極的にヒアリングを重ね、昔の資料や写真などの提供を受けた。社内の会議録や業務連絡の記録をひっくり返し、データとの突き合わせも行った。こうして3年の月日をかけて、ようやくまとめることができたという。
「『’ING REPORT』は、URの若いスタッフに団地についてもっと知ってほしいという思いから生まれたのですが、この『団』は社内にとどまらず、“団地マニア”と呼ばれる団地好きの方々にも好評です。これを機に、実際の団地を見てみたいなと、団地に興味を持つ方が増えるとうれしいですね」と渡邊は言う。
「’ING REPORT」は今後、「土木」「造園」などのテーマが続く予定。下記URのサイトから誰でもダウンロードできるので、ぜひのぞいてみてほしい。
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