街に、ルネッサンス UR都市機構

【特集】コンフォール松原(埼玉県草加市)

URPRESS 2020 vol.62 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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建て替えで生まれ変わった
多世代が快適に暮らせるまち

大規模団地の建て替えを機に、市や大学、民間事業者とともにURが周辺一帯を整備。
安全で快適、美しく生まれ変わったまちが埼玉県草加市にある。

  • 水田地帯だった広大な地に造られた昔の草加松原団地。建て替えによってコンフォール松原に生まれ変わった。

  • 以前の団地の樹木を一部保存した、植栽豊かな中庭。

  • まちの中央を東西に貫く「緑のプロムナード」。この通りに面して、集会所のテラスやアネックスルーム付きの住戸が配置されている。

  • パーゴラやベンチの近くでは、子どもたちが遊ぶのを見守りながら、おしゃべりを楽しむお母さんたちの姿があちこちに。

マンモス団地を建て替え 魅力あるまちに

2017(平成29)年に改称される前は「松原団地」駅、現在は東武スカイツリーライン「獨協(どっきょう)大学前<草加松原>」駅。その駅の西側エリアには、建設当初「東洋一のマンモス団地」と呼ばれた草加松原団地があった。

約43ヘクタールの広大な敷地に連なる住戸は、その数324棟、5926戸。都心へのアクセスが便利なこともあり、1962(昭和37)年の入居開始以来この団地は人気を集め、多くの人々の暮らしを支え、子どもたちの成長を見守ってきた。建て替え前の草加松原団地を知る人は「行けども行けども団地が続いていた」と懐かしそうに話す。

当時の子どもたちが独立し、居住者の生活スタイルが多様化するなか、URが建て替えという決断を下したのは今から約20年前のこと。これだけの大規模団地の建て替えはURでも他に例がない大プロジェクトだ。草加市や隣接する獨協(どっきょう)大学、地域の人たちと連携しながら、一帯の再生・再編をスタート。都市計画道路や公園、公益施設などを含め、駅の西側エリアの整備計画を策定し、官民一体となった総合的なまちづくりを進めてきた。目指したのは、安心・安全で快適な、住む人たちにとって魅力のあるまちを創出することだ。

「団地にお住まいの方には相当なご苦労をおかけしましたが、ただ建物を新しくするのではなく、住戸タイプや施設、屋外空間やコミュニティーづくりにも配慮して、暮らしやすいまちづくりを進めました」

URの木村仁紀(よしき)が語るとおり、建て替えを機に、敷地内に子育て支援施設や高齢者福祉施設、病院などを誘致。また、高齢者福祉施設と連携した住戸や、菜園付きの住戸などを用意したり、幅広い世代が暮らしやすい生活環境の充実に尽力した。

  • URの木村(右)と、小原(左)。木村は「隣接する松原団地記念公園の中央に、かつて団地にあったしだれ桜が移植されています。春にその桜の前で学生たちが記念撮影しているのを見て、いい光景だなあとうれしくなりました」と話す。

住棟を集積しスペースを有効活用

2003年から18年までの建替事業で、4階建てを中心に324あった住棟は、6~14階建ての30棟(3050戸)に集積して駅寄りに配置。「コンフォール松原」として生まれ変わった。お住まいの方の負担を減らすため、なるべく1回の移転で済むように配慮。事業の途中からは駅に近いエリアから住棟を建設し、順々に直接移転していただいた。

新たに生み出された敷地には、公共施設や公園、民間の分譲マンション、商業施設などが誕生。URの小原裕(こはら ゆたか)は、整備後初めてこの地を訪れたとき、「緑が多くて気持ちがよくて感激した」という。
「自治会の方との話し合いは150回以上に及んだと聞いています。住民の方々からご要望が多かった思い入れのある樹木を残し、大雨のときに近くの伝右(でんう)川が増水しても心配ないように雨水貯留施設も整備しました」

緑が多く、団地を取り巻く環境が豊かであることは、敷地内を歩いているとよくわかる。駅から団地内を貫く「緑のプロムナード」と呼ばれるメイン歩道は広々としていて、途中で「風の道」と名付けられた近くを流れる伝右(でんう)川まで抜ける道と交差する。住棟の中庭には、建て替え以前の団地から保存した大樹がのびのびと枝葉を伸ばし、光や風を浴びている。

貸菜園「クラインガルテン」には野菜がすくすく育ち、近くにあるパーゴラやベンチの付近にはのんびり過ごす親子の姿が見られる。この贅沢で豊かな屋外空間の確保はURのこだわりだ。空間の豊かさ、暮らしやすさ、災害への備え……新たに付加されたこれらの要素が、このまちの価値を高めていることは間違いない。今後、商業施設がオープンし、分譲マンションがさらに完成すれば、ますますにぎわいあふれるまちになるだろう。

住棟のエントランス。間取りは1DK~2LDKタイプが基本。菜園テラス付きやペット共生住宅などいろいろなタイプの住戸がある。
コンフォール松原 1~30号棟 配置図
貸菜園には休憩スペースを隣接させるなど、多世代が自然に交流できる工夫がある。
建替事業に先行して、駅前には高層ビル「ハーモネスタワー松原」やスーパー、保育園、市立図書館などが整備された。

妹尾和子=文、菅野健児=撮影


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