街に、ルネッサンス UR都市機構

【特集】城野団地(福岡県北九州市)

URPRESS 2020 vol.62 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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先進のまち「ボン・ジョーノ」とともに
団地の価値もアップ

ゼロ・カーボンを目指す先進のまち「ボン・ジョーノ」。
このまちづくりと一体化して団地再生事業を進めたのが北九州市の城野団地だ。
2つの事業を合わせることで、団地に新たな価値が加わった。

  • 城野駅から広がる新しいまち「ボン・ジョーノ」。真ん中を通るのが、新しくできた歩行者自転車専用道路「エコモール」。戸建て住宅エリアを通り抜けると、城野団地が広がる。(写真提供/城野ひとまちネット)

  • ゼロ・カーボンのまちを象徴する「エコモール」。城野駅のペデストリアンデッキから北に向かって延びる、歩行者と自転車専用の道だ。

分屯地跡地に生まれた 「ボン・ジョーノ」

小倉駅から電車で約10分。JR日豊本線城野駅北口から真っすぐ延びるペデストリアンデッキの先には、歩行者や自転車が行き交う道「エコモール」が続いている。左右の街路樹の緑が鮮やかな、まちのシンボルロードだ。

手前には地域の中核となる北九州総合病院、道の左右には新しく建てられた戸建て住宅や店舗、集会施設、分譲マンションの建物なども見える。このエリアが、かつて陸上自衛隊の分屯地だった18・9ヘクタールの土地に生まれた「ボン・ジョーノ」。ゼロ・カーボンを目指す先進のまちだ。

2008(平成20)年に分屯地が移転し、09年に跡地の活用を検討する協議会が立ち上がる。隣接して城野団地を持つURもこの協議会に参画し、城野駅北地区の土地区画整理事業を進めることになった。

北九州市はここを「北九州市環境モデル都市行動計画」の主要プロジェクトと位置付け、「城野ゼロ・カーボン先進街区形成事業」に取り組むと発表。先進技術によって持続可能なまちづくりを進め、ゼロ・カーボンの実現だけでなく、多世代が暮らし続けられるまちづくりが始まり、現在に至っている。

URはエコパークの整備、遮熱性舗装やLED照明の採用などとともに、まちづくりコンセプトの策定やタウンマネジメント組織の立ち上げに協力し、持続可能なまちづくりを支えた。

土地区画整理事業と一体化した団地再生

「ボン・ジョーノ」の最も北側に位置するのが、1958(昭和33)年に誕生したUR城野団地だ。完成当初は30棟、494戸。ここで憧れの団地暮らしをスタートさせたファミリーも多かった。

それから50年が過ぎた2011年。URは建物等を集約して生まれる整備敷地に、高齢者施設や多様な住宅などを誘致する団地再生事業を行うことを決めた。

当時の城野団地は高齢化が進み、建物の老朽化も目立っていた。団地自治会の活動は比較的活発だが、若い世代の入居者が少ない。これを多世代が行き交う活気ある団地に再生したいとの思いがあった。

「団地が住む人にとってより良い暮らしの場であり続けるために、団地の規模を小さくしつつ、地域や時代のニーズに合わせた改善や、新しい機能を導入しました」とURの杉 勝智は振り返る。「城野団地の団地再生事業は、他には例のないかたちで進められました。隣接する土地の土地区画整理事業と一体的に行い、団地に新しい価値を見出していくことを目指したのです」

  • 民間との連携で空家改修を実施。カウンターキッチンやドマダイニングのあるタイプなど、7種の新しい部屋が誕生、若い世代に好評だ。

  • 茶(明・暗)、黄、緑の4つの基調色で彩色された団地の住棟。楽しくにぎわいのある雰囲気を演出する。

先進のまちとともに団地イメージもアップ

団地再生事業と土地区画整理事業が一体的に行われると、どのようなメリットがあるのだろう。
「団地が城野駅から延びる『エコモール』につながり、駅へのアクセスと交通利便性が向上しました。『エコモール』の整備では団地建物の一部を取り壊す必要がありましたが、土地区画整理事業との一体的なまちづくりについて住人の理解と協力もあり、団地再生事業として建物除却をスムーズに進めることができ、30棟を16棟に集約しました。団地内道路も土地区画整理事業により公道(市道)に変わり、歩道が分離されて歩行者に安全な道になりました」とURの杉は説明する。

「ボン・ジョーノはゼロ・カーボンのまちを目指しているので、団地でも住宅の断熱性能の向上を目指し、木製サッシをアルミ製とし、ペアガラスに変え、屋根や外壁面に断熱材を施しました」(UR中村 章)

専門家の力を借りて団地の色彩計画にも着手。周囲の豊かな緑を引き立たせるような4つの基調色を中心に外壁をリニューアル。グラフィックな住棟番号は歩く人の目を楽しませてくれる。若い世代の入居を促進するため、現代の暮らしに合う間取り、デザインにリノベーションした住戸も用意した。
「団地再生事業によって団地イメージの向上、良質化、ミクストコミュニティの実現という目的が達成されつつあります」とURの中村 久は言う。

「この事業は、URの団地再生事業と土地区画整理事業が密接に連携した取り組みです。URの持つ強みを相互に生かすことで実現できたと思います」と話すのは、URで市街地整備を担当する若山恭輔。

人気の高い先進のまちとの一体化が、団地の価値を向上させ、新たな人を呼び込む原動力になっている。

  • 左からURの中村(久)、杉、中村(章)、若山。

  • 「ボン・ジョーノ」にはタウンマネジメント組織「城野ひとまちネット」が作られ、住民たちが活発に活動している。(写真提供/城野ひとまちネット)

武田ちよこ=文、菅野健児=撮影


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