【第2特集】熊本地震からの復興を期する災害公営住宅が完成「熊本県宇城市、御船町、嘉島町、益城町」
【第2特集】熊本地震からの復興を期する災害公営住宅が完成「熊本県宇城市、御船町、嘉島町、益城町」
453戸すべての住宅引き渡しが完了
2016(平成28)年4月に熊本県と大分県を襲った「平成28年熊本地震」。URは震災発生直後から職員を派遣して被災建物応急危険度判定や応急仮設住宅建設などの復旧支援を行った。2018年には熊本市内に熊本震災復興支援室(以下「支援室」)を設置。宇城市(うき)、御船町(みふねまち)、嘉島町(かしままち)、益城町(ましきまち)と協定を締結して災害公営住宅を整備するほか、益城町(ましきまち)で復興土地区画整理事業の支援を続けてきた。
震災から約4年が経過した2020年3月。URが建設してきた災害公営住宅、合計12地区453戸すべてが完成、無事に引き渡しを終えた。そのなかのひとつ、御船町(みふねまち)の町営住宅一丁目第1団地に住む米満(よねみつ)洋一さん・忠子さんご夫婦に、お話を伺った。
「自宅は半壊で、震災発生直後は16日間も車中泊を余儀なくされました。今は同じ3階に住むご夫婦と毎日グランドゴルフに行くのが楽しみでね。終(つい)の棲家(すみか)だと思っています」と洋一さん。忠子さんも「とても見晴らしがよくて、夜は御船町(みふねまち)の夜景がきれいなんですよ。広くて収納もたくさんあるし、近くに住む孫に『いつでも泊まりにきてよかよ』って言ってるんです」と笑顔で話してくれた。
御船町(みふねまち)役場復興課の宮川登嗣(たかし)さんは「町としては町営の住宅建設自体が約30年ぶりですし、3階建てのエレベーター付き住宅は初めて。マンパワーもノウハウもないなか、URさんには東北などでの復興支援の経験をもとに、さまざまなアドバイスをいただきながら引っ張っていただき、本当に心強かったです」と話す。
市町を豊富な経験とノウハウでサポート
「昨年は台風やゲリラ豪雨などで工事ができないなどのハプニングにも見舞われました。そのつど職員や施工業者の方々と知恵を出し合って遅れを回復し、無事すべての災害公営住宅をお引き渡しすることができて安堵しています。これで熊本県におけるURの災害公営住宅整備事業は完了を迎えます」とUR支援室長の菊地裕明は語る。
URが熊本県内の1市3町で手がけた災害公営住宅建設で、最も規模が大きく戸数が多かったのは益城町(ましきまち)だ。前震、本震ともに最大震度7を記録し、熊本県内でも被害が最大だった。URは益城町(ましきまち)全体の災害公営住宅671戸のうち、約半数の322戸の建設を担った。
「益城町(ましきまち)ではより多くの戸数を整備する必要がありました。そのため鉄筋コンクリート造5階建てを計画しました」と、菊地が説明する。
いずれも、益城町(ましきまち)公営住宅課と連携し、新たなコミュニティーづくりがスムーズに行われるように配慮しているのも特徴だ。馬水(まみず)団地では、広場や共同菜園、木をふんだんに使った温かみのある集会所を併設。調理ができるキッチンなども設け、住民や近隣の方々が気軽に集い、交流できるような配慮を行っている。
「御船町の町営住宅一丁目第1団地には花壇を設けたり、宇城市(うき)の松橋(まつばせ)大野復興住宅ではお花見ができるように桜の木を植樹、響原(ひびきがはら)復興住宅では地域交流イベントのお手伝いもしています。これからも、住民の方々の間に生まれた新たなコミュニティーが継続されることを期待しています」とURの鈴木悠平。
熊本城大天守の復旧も進み、中心部の再開発など明るい話題が増えている熊本県。新しい暮らし、新しい交流が既に始まっている。
【阿部民子=文、菅野健児=撮影】
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