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【第2特集】 9年ぶりに動き始めた双葉駅 福島県双葉町

URPRESS 2020 vol.61 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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福島県双葉町 おかえり!常磐線
9年ぶりに動き始めた双葉駅

3月14日、双葉駅では、近隣住民や鉄道ファンなど、JR常磐線全線運転再開を待ちわびた多くの人が特急列車「ひたち3号」を出迎えた。東京都内と仙台を結ぶ直通特急「ひたち」は1日3往復。復興に携わる研究者やビジネス客、観光客の利用も期待される。

待ち望んだ鉄道再開多くの人が祝福

小雨がちらつく3月14日。JR常磐線双葉駅のホームは、多くの人であふれていた。午前11時過ぎ、双葉町の標葉せんだん太鼓保存会の勇壮な演奏と「おかえり常磐線」の横断幕、たくさんの小旗に迎えられたのは、9年ぶりにこのまちに停車する特急列車「ひたち3号」だ。この日、東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故で不通となっていたJR常磐線の富岡駅~浪江駅間の20・8キロの運行が再開。JR常磐線は東京から仙台までの全線がつながった。

「JR常磐線全線運転再開記念 特急列車出迎え式」では福島県の内堀知事(写真)をはじめJR東日本の深澤社長、双葉町の伊澤町長が挨拶した。

特急列車の出迎えと、それに先立って行われた式典には、赤羽国土交通大臣、深澤祐二JR東日本社長らも列席。式典では、福島県の内堀雅雄知事が「この運転再開で、当地域を訪れる方々の利便性の向上はもとより、福島イノベーション・コースト構想の推進にも弾みがつき、産業の集積、生活環境の整備、交流人口の拡大を力強く後押ししてくれることを確信する」と挨拶。伊澤史朗双葉町長も「今日は双葉町、そして我々双葉郡、福島県の再スタートの日。復興および地方再生のモデルとなる新しいまちづくりの実現のため、頑張っていきたい」と述べ、復興への大いなる意欲を感じさせた。

双葉駅に降り立った人に、町職員から手渡しで贈られた記念グッズ。 エコバッグの中には、江戸時代から続く双葉だるまとミニタオルが入っていた。

駅前はまちの玄関口。
人々が誇れる広場に

双葉駅前広場。まちの玄関口としての開放感、人々が集えるスペースを確保した。
双葉駅西口駅前でURが整備を進めている「住む拠点」。基盤整備後には公営住宅や分譲地、生活関連サービスなどの建設が予定されている。

東日本大震災とその後に起こった原発事故により、全町避難が続いていた福島県双葉町。10年目を間近に控えた今年3月4日、ようやくJR双葉駅周辺を含む帰還困難区域の特定復興再生拠点区域の一部区域と、避難指示解除準備区域の両竹、中野、中浜地区の避難指示が解除。今回のJR常磐線全線運転再開も合わせ、復興への歩みは少しずつ、そして着実に前へと進んでいる。

URは双葉町から復興に向けての事業を受託し、さまざまな支援を行ってきた。中野地区では「働く拠点」としての復興産業拠点整備、双葉駅西側地区では「住む拠点」づくりの住宅団地整備などを推進。今回お披露目となった双葉駅東側でも、基盤整備や駅前広場、道路の整備を担った。

UR双葉復興支援事務所長の森脇恵司は「新しい駅前には広場のスペースを確保し、ベンチなども置いて、人が集って滞留し、憩えるような空間にしつらえました。町の方々がここを訪れる人を迎えるのに誇れるような玄関口を目指しました。今までは我々工事関係者しかいなかったのが、駅前でタクシーを待っている方の姿などを見ると、電車が走り出したのを実感しますね」と話す。

「駅前広場をイベントなどにぎわいづくりに活用してほしい」と話すURの森脇。
URの江田。「自分も地方出身なので、ここが自分の地元だったらという思いで、住んでいる人のことを考えてまちづくりを進めていきたい」

共に事業を進めるURの江田佳那子は、当事業を担当して1年。 「双葉町の仕事を担当して、実際に現場でものができていくのを見るのは、感慨深かったです。もともとまちづくりにはすごく興味があり、復興のお手伝いをしたかったので、自分にとってもかけがえのない経験になっています」

双葉町では、URは引き続き中野地区での基盤整備をはじめ、2022年春頃の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除と居住開始に合わせ、双葉駅西口地区での基盤整備、宅地や道路整備などの事業が続く。

「基盤整備とともに経済活動や人々の営み、生業や担い手のことも併せてまちの皆さんと一緒に考え、2022年を心から祝福できるようにしたい。ぜひ多くの方に来ていただいて、復興していく姿を実際に見ていただきたい」と話す森脇。

この日を待ちわびた多くの人が、車窓から、そして駅に降り立って、JR常磐線の運転再開を祝った双葉町。震災発生以来止まっていた時間が、いま再び動き出した。

【阿部民子=文、青木登、菅野健児、竹居鉄也=撮影】


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