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【特集】品川駅北周辺地区土地区画整理事業

URPRESS 2020 vol.61 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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新たな国際交流拠点を目指し、大規模なまちづくりが進められている品川エリア。URが土地区画整理事業を担当する品川駅北周辺地区では、2024年のまちびらき、さらには第二東西連絡道路の整備に向けて動きが加速している。

  • 周囲からの見やすさも意識してつくられた高輪ゲートウェイ駅。将来は駅前デッキと隣接建物、そして周辺建物間をつなぐデッキにより、2階レベルで回遊できる計画だ。

  • 駅開業に向けて現地確認するJR東日本とURの担当者。

異例の進め方で完成した新駅へのアクセス道路

3月14日、高輪ゲートウェイ駅が開業した。山手線で49年ぶりとなる新駅がつくられたのは、田町駅と品川駅の間、JR東日本品川車両基地の跡地だ。かつて江戸への南の玄関口「高輪大木戸」(ゲートウェイ)があり、旧東海道の出入口として旅人の送迎でにぎわっていたという高輪。その地の歴史を継ぎながら、いま新たにこのエリアでは、国際的な交流拠点「グローバルゲートウェイ品川」を目指してまちづくりが進められている。品川駅の北側、線路に沿うように広がる「品川駅北周辺地区」で、URはJR東日本と共にまちづくりを進めている。

開業を目前に控えた3月12日、国道15号(第一京浜)から高輪ゲートウェイ駅へアクセスするために新たに開通した「コ」の字型の道路に、しみじみと喜びを分かち合う人たちの姿があった。「本当にできましたね」と笑顔を交わすのは、アクセス道路の整備に奮闘してきたJR東日本とURの担当者たちだ。直前まで間に合うか不安を抱えていた。

この道路が整備されたのは、昨年11月まで山手線と京浜東北線が走っていた場所。3月の駅開業に間に合うように道路を整備するためには、山手線などが走る中で工事を進める必要があったため、URはJR東日本に工事を委託した。
「鉄道線路内にURは入ることができないため、測量や現場管理もできず、URにとっては極めて異例の進め方。自分たちで確認できない状態で進める苦労がありました」と話すURの荒井一亨は、両者の信頼関係なくして完成には至らなかったと振り返る。

JR東日本で品川プロジェクトの基盤整備を担当する山後宏樹さんは「我々には道路工事のノウハウがなく、URさんなくしては、駅開業までに道路を完成させるのは困難でした」と振り返る。共にプロジェクトの工事を担当してきたJR東日本の岡田尚千さんが一番懸念していたのは、道路の下を通る上下水道、ガスなどライフライン関連の調整だ。新駅へのアクセス道路は、一部 東京都が施行する泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業での整備となるため、東京都との調整も必要になる。「解決すべきことがたくさんあり不安でしたが、からまっている糸をほぐすようにURさんが関係者と調整し、ひとつずつ解決してくれました」と岡田さん。

URのメンバーはそれぞれの担当者との綿密なやりとりを重ね、同じ目標に向かう仲間としての協力を仰ぎながら進めてきた。そんな背景があって完成した道路であればこそ、駅が開業し、人々が整備された道路を歩いている姿を見ると感慨深いと口を揃える。

  • このプロジェクトの最大の地権者であり、“新しい品川をつくる”という目標に向けての心強いパートナーであるJR東日本の岡田さん(右)と山後さん(左)。

多数の関係者と連携し難工事に立ち向かう

高輪ゲートウェイ駅周辺は2024(令和6)年にまちびらきが予定されている。今後、周辺の整備を進め、駅周辺には、オフィスやホテル、商業施設を含む高層ビルの建設が予定されている。

「やるべきことはたくさんあり、まちびらきに間に合うのか心配になることもありますが、引き続き関係者との調整を密に行い、ひとつずつ進めていきます」とURの山口香世は頼もしい笑顔を見せる。

  • 道路や公園などの都市基盤の整備や建物をたてる敷地の整備などを行う。

まちびらきのための整備と並行して、別名「提灯(ちょうちん)殺し」とも呼ばれる高輪橋架道橋下区道を第二東西連絡道路として再整備する難工事も始まる。高さ制限150センチで、人が通るのにも苦労し、タクシーの表示灯(提灯)が当たりそうなほどの一車線道路だ。これを掘り下げて4メートル以上の高さにし、2車線に拡幅する計画。

「東西を結ぶ道が少ないこのエリアで貴重な道路ですので、歩行者の通行を止めずに工事を進める予定です。ただ地上にはJR東日本の山手線や京浜東北線、JR東海の新幹線が、地下にはJR横須賀線が走っていますので、調整も多岐に渡り、非常に大変です」

と話すのはURで主に企画を担当する佐藤学。基盤調整を担当するURの槻田竜二も「完成予定は令和13年度という長い工程のなかで、関係者と調整しながら、いかに早く進めていかれるかが課題です」と気を引き締める。

URが手がけてきたプロジェクトのなかでも、この地区はひときわ関係者が多い。東京都、港区、JR東日本、JR東海、京浜急行、都営地下鉄などが現場の随所で絡み合うため、さまざまな現場で相当な困難が待ち受けていると予想される。それでも、関係者や地域の方の期待を感じていればこそURのメンバーの責任感も高まる。

「品川をよくしたいという思いで、まちづくりのコーディネート段階から常にURさんが先頭に立って関係者との調整を行い、目標を共有してくださるので、ありがたく、心強いと思います」

そんな山後さんの言葉にも力を得て、一致団結して頑張る覚悟を決めている。

打ち合わせをするメンバー。プロジェクトの計画段階から関わってきたURの荒井が昨年春にチームに戻り、関係者のモチベーションも高まっている。このURの八重洲オフィスは、専門知識をもつ人々の「集合知」で都心のまちづくりの難事業を乗り切ることを目的に、フリーアドレスを導入。打ち合わせがしやすく、会議もオープンなので、情報共有が自然に進むメリットがある。
「提灯(ちょうちん)殺し」の異名をもつ、高さ制限150㎝のこの道路を再整備し、東西の行き来をしやすくするのも、このエリアのまちづくりの課題のひとつ。高さを広げ、車線も増やす。

【妹尾和子=文、青木登、菅野健児、平野光良=撮影】


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