街に、ルネッサンス UR都市機構

「希望」が見えてきたまちへ (団地で楽しく防災を考える)

URPRESS 2018 vol.49 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

東京都町田市 町田山崎団地
団地で楽しく防災を考える
「DANCHI Caravan in町田山崎」

災害に備える知識を学ぶワークショップや被災時に住まいとなるテントに泊まる体験など団地を舞台に「もしも」のときについて学び、体験する催しが大好評だ。

盛りだくさんのプログラム 参加者も増加

団地の中の小高い丘にある広場にはテント仕立てのブースが並び、子どもから年配者まで多くの人々でにぎわっていた。町田駅からバスで約15分の場所にある町田山崎団地。3月4、5日に行われた「DANCHI Caravan in町田山崎」~防災まつり~は、「もしも」のときの備えを楽しく学ぼうというイベントだ。

UR都市機構と町田山崎団地自治会・自主防災会が主催し、企画運営を、「無印良品」を展開する株式会社 良品計画が担って今年で3回目。年々規模を広げ、参加者数を増やしている。身の周りのものを緊急時に役立てるためのワークショップや、被災時に屋外や避難所で過ごすことを想定してテント泊を体験する「団地deキャンプ」、消防の協力による起震車や煙ハウス体験、警察による災害時復旧の紹介など、プログラムは盛りだくさんだ。

町田山崎団地は総戸数約3,900戸の大型団地。その団地のほぼ中央にある芝生の広場がイベントの会場だ。親子でテント張りをしたり、薪割りや火おこしを体験したり。いつもの団地が非日常の空間になっていた。

テント泊と防災をドッキングさせてみた

実はこのイベント、始まりは「キャンプ」だったという。UR都市機構の東日本賃貸住宅本部に、若手有志が集まった「O-LDK(オーエルディーケー)部」がある。「O」とは「お外」「OUTDOOR」を意味し、緑豊かなゆとりの空間や公園など、団地の屋外の魅力を発信していこうというプロジェクトだ。
「その一環として団地内でキャンプができないだろうかと考え、無印良品さんに相談したのがきっかけです。企画を検討していくなかで、防災を主役にする方向性が生まれました」

とUR都市機構O-LDK部メンバーで、イベントの事務局を務める入村 誠は語る。

無印良品は全国3カ所でキャンプ場を運営しており、またUR都市機構とは以前から団地リノベーションなどで協力関係を結んでいる。さらに、「いつものもしも」と称して、普段使いできる無印良品の商品を災害への備えとして使いこなす提案にも実績があった。DANCHI Caravanのプロデューサーで、良品計画のキャンプ担当課長である石川雅人さんによれば、 「東日本大震災から時間がたち、防災意識の風化を感じるなかで、テント泊と防災ワークショップをドッキングさせるアイデアが出てきました。防災というと堅苦しくなりがちなので、誰でも楽しみながら災害への備えに必要なモノやテクニック、健康についても学べるよう、企画内容を工夫しています」

「防災意識を高めるだけでなく、来場者に団地の良さを知ってほしい」と話すUR都市機構の入村。
「テント泊体験は、小さなお子さん連れの家族に興味を持っていただいている」と話す良品計画の石川さん。
団地外からの来場者も多く、防災意識の高まりを実感した。
普段の食品を非常時、いかに活用するかを提案する無印良品「いつものもしも」ワークショップコーナー。
イベントを盛り上げたUR都市機構O-LDK部メンバー。
夕方はキャンプファイヤーで体を動かし、いよいよ「団地deキャンプ」の時間。
団地の広場に設営したテントで食事。
少ない水で米を炊いたり、小さな鍋でパスタをゆでるノウハウなどを学びながら、参加者自身で食事作り。

団地自治会とも連携 地域の人々と楽しく交流

町田山崎団地の団地自治会・自主防災会とも連携してミーティングを重ねてきた。自治会・自主防災会では以前から秋に避難訓練、春には防災まつりを実施してきたが、防災まつりをそのままこのイベント2日目のプログラムに組み込んだ。 「防災訓練や防災まつりにもなかなか人が集まらない時代ですが、こうしたイベントになったおかげで、団地の外からもたくさんの人がやってきます。周辺地域の人たちの防災意識も高め、交流できるのがメリットですね」

と自治会長の吉岡栄一郎さん。

常備の乾物と調味料を使った超簡単調理や、火おこし・たき火体験、近隣にある桜美林大学の学生たちによる子どもの外遊び塾などプログラムは多彩で、地元のFMさがみによる中継や、ケーブルテレビJ:COMの取材も入った。

1日目の昼過ぎからは会場南側の広い芝生のスペースで、事前に募集した12組41名の参加者たちが、スタッフの指導を受けながらテントを設営した。夕方のキャンプファイヤーイベントで体を動かす遊びに興じた後、いよいよテント泊に挑戦だ。子ども連れのファミリーに団地自治会の年配者も加わって、少ない水や火で調理する方法や、皿を汚さない工夫などを学びながら、楽しく料理を作るうち、辺りは夕闇に包まれていく。

宿泊も含むユニークな体験を提供するこのイベントは、新しい防災への取り組みとして今後も注目を集めそうだ。

団地自治会長の吉岡さんは、大きな災害のときこそ、集まって住む団地の良さを発揮したいと考えている。

【西上原三千代=文、佐藤慎吾=撮影】

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