特集 ミクストコニュニティ最前線1 Yuimâru 東京(1)

東京都板橋区にある高島平団地は、30棟約8300戸からなるマンモス団地。
昭和40年代に入居した方々が年を重ね、高齢化率は同区の中でも突出している。
ここで多世代の人々の共生を目指す新たな取り組みが始まっている。
2級建築士の資格もお持ちの大内さん。床を無垢の杉板に変更、キッチンのガスコンロを一体型にするなど、各所にオプションを加え、納得のいく終の棲家をつくりあげた。分散型のサ高住が団地に登場
高層集合住宅が整然と立ち並び、美しいケヤキ並木を人々が行き交う。1972(昭和47)年の建設当時、東洋一のマンモス団地といわれ、多くの家族の暮らしを支えてきた高島平団地。その一棟に、昨年12月1日、株式会社コミュニティネットを事業者としてサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「ゆいま~る高島平」がオープンした。
ユニークなのはサ高住の30戸が一般住戸に混じって点在していることで、住戸単位で改修している。UR都市機構では一棟をまるごと高齢者施設用に賃貸したことはあるが、分散型は初の試みだ。
「入居者にとって社会と切り離された感覚が薄く、施設に入るというイメージがないことが、一棟建ての施設との一番の違いです」
ゆいま~る高島平のハウス長、古賀眞由美さんは言う。
とはいえ、バラバラの住戸に対して、サービスはどう提供するのだろう。サービス拠点は、隣の棟の1階、商店街の中に設置されている。日中はここに生活コーディネーターが常駐。安否の確認や生活相談に応じ、緊急時や夜間はセコムのサービスがカバーして対応できる体制をとる。直接的な介護サービスはしないが、地域の病院や介護業者と連携して、入居者への情報提供や助言、必要な手配や手続きを行う。
「中間のマネジメントを担うかたちですね。その方の生活背景や歩んできた道、家族状況などを把握し、本人のニーズや希望に合ったサービスを提供していきます」
コミュニティネットは高齢者事業の根底に、多世代が共に暮らせるコミュニティーづくりや地域の再生を掲げている。サービス拠点はサークル活動などにも活用してもらい、ここを核として団地の自治会や5つある団地内のコミュニティーカフェなどとも連携して、団地の活性化につながる活動も進めていく意向だ。ハウス長の古賀さんもオープン2カ月前から高島平団地に住み、自治会にも加入しているという。
携帯機能をもった安否確認グッズ「マイドクタープラス」をセコムと共同開発。サ高住の居住者はこれを常に携帯する。風呂場にはこれを掛けるホルダーも。
1つの棟の中にサ高住の住まいが分散してある「ゆいま~る高島平」。入居を決めた大内さんは「いろいろな世代の人たちと一緒に普通に暮らせること」が入居の決め手になったという。
「入居される方には、至れり尽くせりはしません。この団地の皆さんと楽しみをつくっていく暮らしを後押ししたい」と話すハウス長の古賀さん。UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]
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