特集 ミクストコニュニティ最前線1 Yuimâru 東京(3)
若者や子育て世代にも魅力ある団地へ
自治会によると、高島平団地は2012(平成24)年時点のデータで、65歳以上の占める割合が40%を超え、急激に進む高齢化の真っただ中にあるという。建設以来、活発にコミュニティー活動を続けてきた自治会では、13年も前から会員同士で介助や家事援助等を行う「助け合いの会」を組織するなど手は尽くしつつも、高齢化に苦慮してきた。
「今回のような新しい試みで、外部から民間の専門家が入ってくることにより、少しでも活性化への刺激になればと思います」と高島平二丁目団地自治会の戸田敏之会長。高齢者に対する支援策はもちろんだが、さらに望みたいのは、若い人が入ってくるような施策だという。
UR都市機構でも、高島平団地で住宅のリニューアルによりバリアフリー化の整備を進めると同時に、若い人を惹きつけ、団地への興味を喚起するプランを打ち出している。
若者やシンプルな暮らしを志向する人たちに根強い人気があるMUJI×URリノベーションプロジェクトの住まいは、現在団地内に23戸。入居者を決める抽選のときは平均倍率7倍、先着順募集では、出せばすぐ埋まってしまうほどの人気だという。また、DIY好きで知られる女優、中田喜子さんが内装をプロデュースした住宅も登場する。UR都市機構の制度上でも、子育て中の家庭や29歳以下の人の家賃減額制度などが、整えられてきた。
コミュニティー活動の核は、もちろん今でも自治会だ。自治会は加入率の伸び悩みに手を焼きながらも、自主活動と住民同士の交流を担う。
夏期のラジオ体操やカバさんプールの開設など子ども向けの施策、文化部や体育部による催し、春の桜祭り、夏祭り、秋には最大のイベントである団地祭り、年末には餅つき大会が恒例行事。祭りや餅つきには、訪れた親子連れの笑顔がはじける。また、UR都市機構自身も、緑化に対する広報と団地活性化を兼ねてガーデニング教室やリース教室を開くといった新しい試みを始めている。
さまざまな課題があるとはいえ、今も得がたいメリットや魅力をもち、多くの居住者の愛着をつないでいる高島平団地。団地の良さを生かしたミクストコミュニティへの取り組みは、明日に向けて始まったばかりだ。
【武田ちよこ=文、佐藤慎吾=撮影】
UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]
UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。