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【特集】名古屋駅駅前広場の再整備(愛知県名古屋市)

URPRESS 2019 vol.59 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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名古屋駅を国際的なターミナルに変える一大プロジェクトが始動

2027年(予定)、リニア中央新幹線が名古屋駅にやってくる!
その開業に向けて、大きな変化の時を迎えようとしている名古屋市。
なかでも国家的事業に匹敵するともいわれるのが、名古屋駅駅前広場の再整備だ。
URは名古屋市と基本協定を締結し、この大事業を支えている。

円錐状のモニュメント「飛翔」が印象的な、現在の名古屋駅東側エリア。駅前のロータリー交差点や一般降車場、タクシー乗降場があり、歩行者のための空間が狭いのが課題だ。

「迷駅」を返上し国際ターミナル駅へ

「名古屋駅を地元では親しみをこめて『名駅(めいえき)』と呼ぶのですが、『迷駅(めいえき)』と揶揄されることもしばしばです」

こう苦笑するのは、名古屋市住宅都市局リニア関連都心開発部で名駅ターミナル機能強化を担当する堀啓輔さん。

「名古屋駅にはJRをはじめ5社9路線が乗り入れているのですが、それぞれの駅のつながり方が複雑で、初めての方にはとてもわかりにくい状況です。リニア中央新幹線が名古屋に来るのをチャンスととらえ、もっと利用しやすい名古屋駅に変えようというのが、今回の計画のスタートです」

現在の名古屋駅西側エリア。白い仮囲いがされている所の地下では、リニア新駅の工事が始まっている。
再整備後の東側エリア、ターミナルスクエアのイメージ。開放的で直線的な見通し動線が確保され、乗換先やまちが一目で見渡せる。
中央コンコース前から東山線中改札階段方向。(名古屋市提供)
中央コンコース前から名鉄側方向。※名鉄公表資料(平成29年3月)をもとに市が作成したイメージ(名古屋市提供)
名鉄側から中央コンコース前方向。(名古屋市提供)

名古屋駅の歴史は古く、開業は1886(明治19)年。現在の位置に1937(昭和12)年に移転し、近鉄線、名鉄線が乗り入れ、地下鉄も開業。1964(昭和39)年には東海道新幹線が開業した。

現在の名古屋駅東側は再開発が進み、1999(平成11)年に高さ240メートルを超えるJRセントラルタワーズが完成、2000年代に入ると次々と高層ビルがオープンして、駅前は最先端の都市の表情を見せている。

だが、その高層ビルから地上に目を向けてみると、駅の東西を貫く中央コンコースは、いつでも歩行者で大混雑。この中央コンコースを東側に出ると、「飛翔」と名付けられた円錐状のモニュメントが見えるが、その手前は車道。歩行者のための駅前空間がほとんどなく、まちへのつながりが感じられない。西側も同様で、歩行者空間が狭く、駅とまちが分断されてしまっている。

「2027年には今の名古屋駅にリニア新駅が加わるわけですが、そのときにここが国際レベルのターミナル駅となるためには、駅が人のための空間となり、乗り換えがわかりやすくスムーズであることが大切です。そこで東西の駅前広場を再整備するとともに、乗換空間=ターミナルスクエアをしっかり整備し、駅全体の利便性や快適性を高める計画です」と堀さんが説明する。

目指すのは、世界からやってくる人々に名古屋らしさを発信する「名古屋の顔」となる駅。駅の東側はロータリー交差点を三差路に改良して、人々がくつろげる開放的な広場を整備する。歩行者空間を拡充してわかりやすい乗換動線をつくるとともに、地下との連携もはかる。

西側は再整備の方向性を協議している段階だが、東側同様に中央に広場を整備し、駅とまちがつながる仕掛けづくりを検討。タクシーと一般車のスペースを分け、高速バスや観光バスの乗降場も整備したいと考えている。

名古屋市生まれの堀さん。「目の前の仕事は苦しいこともあるが、できあがった駅前を想像すると、スゴイ仕事をやっていると思う」と話す。

市に寄り添いURの強みを発揮

2027年のリニア中央新幹線開業に向けて、これらの計画を形にするために、URは全面的な協力体制を敷いている。UR中部支社の土谷龍矢はこう話す。

「URの立ち位置は2つあります。ひとつは、名古屋市に寄り添い、市の事業を円滑に進めていくための支援です。もうひとつは、市と鉄道会社などとの協議の間に入り、独立行政法人という公平な立場から公正な案を提案して、合意形成を進めていく。この2つの立場でスムーズな事業の推進を支えていきます」

鉄道を止めずに工事を進める駅ならではの難しさもあるが、「URでは渋谷や品川駅などでの経験とノウハウがあり、それらを生かしていきたいと考えています」と話す。

堀さんも「さまざまな関係者との協議の場で、双方が納得する着地点を見つけて前に進めていくために、URさんのノウハウを活用させていただきたい」と期待を寄せる。

計画づくりの段階を経て、いよいよ動き出す「名駅」の再整備。名古屋の価値向上のために、汗をかく覚悟はできている。

URの土谷は、中部支社勤務の前は本社でこの事業を担当、引き続き現地の担当として携わる。

【武田ちよこ=文、青木 登=撮影】

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