復興の「今」を見に来て!第10回 Part3
陽光を浴びてきらめく遠浅の海。その青い海に臨むよう に広がるいわき市薄磯(うすいそ)は、東日本大震災で多くの人の命と家屋が失われた地域だ。海岸線と住宅地の間には防潮堤と高さ約10メートルの防災緑地を設け、低地部と約20メートルの高台に宅地を整備する復興計画のもと、工事が進められてきた。そしてついに低地部と高台含めすべての宅地の整備が終わり、順次行ってきた地権者の方への引き渡しが7月末に完了。すでに住宅の建築も始まっていて、海岸沿いには駐車場として利用できる交流多目的広場も完成した。「みんなで力を合わせると、本当にできるんだと驚いています」
整備された宅地と広場を眺めながらそう話すのは、UR都市機構いわき復興支援事務所市街地整備課主査 栗城英雄だ。いわき市と協力協定を結んでいるUR都市機構は、薄磯と豊間の2地区の区画整理事業を担当している。栗城はそのスタート当初からのメンバーで、震災後の薄磯の荒れ地を初めて見たときには、4年半で今のような状態にまで整備できるとはとても思えなかったと振り返る。実現できたのは、「地元や行政の方と共に、みんなで協力して前向きに取り組んできたからこそ」だ。
喜びあふれる宅地完成式と海開き
7月15日、薄磯では宅地の完成を祝う式典と海開きが行われた。式典では多くの参加者が新たなまちの誕生を祝い、今後の期待に胸をふくらませていた。
薄磯の海開きは7年ぶりとあって、地元の人たちの喜びもひとしお。当日は「海まち・とよまパークフェス」のほか、薄磯をはじめ近隣の豊間、沼ノ内の3地区をバスでまわり、各地域の魅力を伝える「海まち・とよま周遊ツアー」も開催され、震災当時の様子や復興事業の概要についても説明された。
パークフェスも周遊ツアーも、行政や地元団体の協力で実現したもので、栗城をはじめ呼びかけたUR都市機構のメンバーも裏方としてサポート。大勢の人が集まって大盛況だったこの日は、薄磯に人々が戻り始める節目の日ともなった。
【妹尾和子=文、青木登=撮影】
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