【特集】千葉県千葉市 千葉県立保健医療大学×UR
地域の大学と連携
高齢者の健康寿命を
延ばし孤立化を防ぐ
URは千葉県立保健医療大学と連携し、
千葉市内の6つの団地で、高齢者の健康寿命を延ばし、
孤立化を防ぐためのプログラムを実施。
団地の皆さんから好評だ。
団地の高齢者を健康にするプログラム
千葉市美浜区にある千葉県立保健医療大学(以下、「ほい大」)は、看護学科、栄養学科、歯科衛生学科、それにリハビリテーション学科からなる公立大学。URは2017(平成29)年度に、このほい大と連携協定を結び、千葉市内でURが地域医療福祉拠点化を進める6つの団地で、健康増進の取り組みを実施している。
その目的をURの伊藤公晴が説明する。
「団地にお住まいの高齢者がいつまでも健康でいられるよう、健康寿命を延ばすお手伝いをすると同時に、健康に関するイベントに参加していただくことで、高齢者の孤立化を防ぐのもねらいです。大学にとっては、研究フィールドの確保、社会貢献だけでなく、学生たちのアクティブラーニング、サービスラーニングにもなるということで、連携が進みました」
17年度には、花見川団地、千草台団地、あやめ台団地、高洲第一・第二団地で「ほい大健康プログラム」を実施。これは全学科が参加して、医師による健康チェック・相談コーナー、栄養学科による食事と栄養のアドバイス、歯科衛生学科による口腔機能向上の舌体操、元気に歩くためのアドバイスなど盛りだくさんのプログラムとなった。もちろん学生たちも参加。団地の皆さんからは「病院でしか聞けないことが、気軽に医師に相談できる」と大変好評だった。
課題は持続可能性地域との連携も
18年には、これに加え、口腔機能改善プログラムも開始。これは10月から今年6月まで9回にわたるプログラムだ。
担当するのは、歯科衛生学科の麻賀多美代教授。健康長寿の実現には口腔のケアが大切なので、加齢とともに衰える口腔機能を改善することが目的だ。
このプログラムは花見川団地で行われ、70代の方々を中心に毎回25~26人が参加。皆さんとても楽しみにされていたという。
「参加する方々が、大学生たちを孫のようにかわいがってくださるんですよ。『若い人たちと会えてうれしい』『別の住棟の人と知り合いになれた』と、皆さんこの集まりをとても楽しみにされていて、プログラム終了時には、寂しいと言っていただきました」
ふだん高齢者と接する機会の少ない大学生たちにとっても、貴重な機会となった。サークルで副リーダーを務める鈴木結衣さんは、「とっても楽しかった」と話す。「私の名前を覚えてくれて、声を掛けてくださったり。私からも『〇〇さん、体の調子はどうですか』と声を掛けられるようになり、皆さんとのつながりが深くなるのを実感しました」
「学生たちが仕事に就いたときに、この経験はきっとプラスになると思います」と麻賀先生も学生たちの活躍を見守っている。
この口腔機能改善プログラムは、さつきが丘団地でも実施している。さらにこの秋にも、URが地域医療福祉拠点化を進めている千葉市内の複数の団地で、『ほい大健康プログラム』を開催しようと、大学側と協議を進めている。
大学とUR、それに団地に住む参加者、すべてが満足しているこの取り組みだが、課題は持続可能性。URの伊藤は「団地の皆さんにとても喜ばれているので、ぜひ続けていきたいと思っています。そのためにほい大とURが協力して、過度な負担がかかることなく、継続していける手法を工夫したい」と話す。
麻賀先生も、「今回のプログラムに参加してくださった方たちを、今後どうつないでいけるか。大学だけでなく、例えば地域の歯科衛生士さんたちと連携するようなことも、ひとつの可能性かもしれません」と期待を寄せる。
URと大学の連携が地域に広がり、健康長寿の輪がさらに広がることに期待したい。
武田ちよこ=文、青木 登=撮影
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