高蔵寺ニュータウン 愛知県春日井市
3.高蔵寺ニュータウン 愛知県春日井市
これからの50年に向けて大学生パワーを注入
日本三大ニュータウンのひとつともいわれる高蔵寺ニュータウン。
入居から50年を迎えた団地では、地域のイベントを手伝う大学生の姿をよく見かける。
地元の大学と連携し、学生たちの力を借りてまちを活性化しようという試みが始まっているのだ。
新しい50年へ リ・ニュータウン計画
名古屋市の北東、春日井市のゆるやかな丘陵地に、URの前身である日本住宅公団が手がけた高蔵寺ニュータウンが広がっている。1960(昭和35)年から計画づくりが本格化し、約700ヘクタールに8万1000人が暮らす壮大な規模で、最先端のまちづくりが行われた。最初に完成した藤山台地区は1968年に入居が始まり、今年6月、50周年を祝う式典が開かれた。来賓あいさつに立った春日井市の伊藤 太市長は、「新しい50年のスタートです」と祝辞を述べ、高蔵寺ニュータウンで進む多世代交流拠点の整備など、春日井市が策定した「高蔵寺リ・ニュータウン計画」について語った。
高度経済成長とともに増加した高蔵寺ニュータウンの人口は95年をピークに減少が始まり、少子高齢化の大波が押し寄せている。だが、ここではまちの魅力を生かしつつ、地元の大学の力を借りてまちの活性化にチャレンジしているという。
地域活動参加で家賃を割安に
「春日井市と、同市にある中部大学から、URにニュータウンへの学生の入居促進に対する協力の申し出があったのは2014年のことです。同年12月に3者で確認書を交換し、URと中部大学の間で『地域連携住居制度』がスタートしました」
UR中部支社の五十嵐和晃が、その仕組みを説明する。これは中部大学の学生に地域活動に参加してもらう代わりに、家賃を割り引くというもので、地域活動への参加はポイント制。地域活動の具体的な情報は、自治会側から大学の学生支援課に伝えられ、学生同士が話し合って、各自がどのイベントに参加するかを決めるという。
この制度がスタートした15年度には、21人の学生が高蔵寺ニュータウンのUR賃貸住宅に入居。その後、年々入居者は増え、今年度は71人が団地暮らしを楽しんでいる。
団地に住む学生たちのリーダー役を務める辻合康志さんは経営情報学部の3年生、金城星太さんは応用生物学部の3年生。入学時からこの制度を利用して団地に住んでいる辻合さんは、
「家賃の割引に魅力を感じて入居しました。部屋は充分な広さで、思ったより遮音性も高く快適です」と団地暮らしに満足の様子だ。
浜松市出身の金城さんは、2年生のときに学生寮から引っ越してきた。中学時代に地元でボランティアの経験があり、地域活動への参加に違和感はないと、やはり団地暮らしを楽しんでいる。
藤山台団地の自治会長を務める星子 浩さんは大学生の参加を大歓迎する。
「力仕事を中心に、学生さんたちがいなければ成り立たない行事もあるくらい頼りにしています。うちの自治会には、20年以上自治会活動に関わっている役員さんが多くいらっしゃいます。そこに大学生たちが、ときには企画段階から参加してくれる。これが自治会をはじめ、イベント参加者たちにもとてもいい刺激になっています」
大学生たちは秋に団地の集会所を使ってコーヒーサロンも開いている。学生たちが丁寧に淹れたコーヒーを無料でふるまうおしゃべりサロン。団地の人々からお菓子の差し入れもあり、そのお菓子をつまみながら、いろいろな話をするという。
「帰り際に、『若い人とおしゃべりできて楽しかった』と笑顔で話してくれたおばあちゃんもいました」と辻合さん。「自分が全然知らない世界の話が聞けて勉強になります」と金城さんもいう。
このコーヒーサロンは、今年も10月頃に開催予定。どんな出会いがあるか、今からみんな楽しみにしている。
武田ちよこ=文、菅野健児=撮影
- 高蔵寺ニュータウンの物件情報
- https://www.ur-net.go.jp/chintai/tokai/aichi/70_0390.html
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