街に、ルネッサンス UR都市機構

香里(こうり)団地 大阪府枚方市

URPRESS 2018 vol.54 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

2.香里(こうり)団地 大阪府枚方市
みんなの笑顔が咲いたD51(デゴイチ)プロジェクト始動

築50年が経過した団地にエレベーターを設置する。
この工事をきっかけに、住民たちが集える庭と共用空間をつくった香里団地。
団地暮らしに新しい魅力が生まれ、コミュニティーが育まれている。
千里青山台団地からのお客さまを迎えて、完成したD51ガーデンで記念撮影。千里青山台団地の皆さんも、新しい花壇に興味津々、植物の名前や栽培方法などの質問が飛び交った。

4つの庭とピロティーを整備

「お待ちしてました!」
「こんにちは、おじゃまします」
マイクロバスから降りてきた人たちが、団地入口につくられた花壇を前に、香里団地の人々と笑顔であいさつを交わしている。

5月下旬の土曜日、同じ大阪府内にある千里青山台団地の人々が、香里団地D地区51号棟、通称D51と呼ばれる棟を訪れた。

団地の相互訪問は、この日で2回目。昨年9月、「みんなの庭プロジェクト」を展開して団地のあちこちに小さなガーデンをつくって楽しんでいる千里青山台団地を、D51のメンバー有志が訪問し、その様子を見せてもらった。それを受け、今日は表情豊かなD51の庭を千里青山台の人々に見てもらい、一緒に楽しもうと「キララフェスタ」が企画された。
D51棟は入居開始から58年。横に長く延びた5階建ての建物で、これまでは3カ所に階段があった。ここにエレベーターを1基設置することが決まったのをきっかけに、新しいコミュニティーづくりと、魅力ある共用空間づくりを同時に行う「D51プロジェクト」が始動した。

まず、1階のエレベーター前の空間に全戸の郵便受けを集め、ここをピロティーとして自由に集える屋外活動のステージに。エレベーターを利用する人たちがよく通る建物の前庭と建物裏手の庭が、新たなコミュニティースペースとなった。

庭の設計はプロのガーデナーである山田倫子さんに協力いただき、4つのゾーンに分けて整備。団地入口の大きな欅の木の下には、カラフルな花が咲き誇るウェルカムガーデン。そこから建物入口までは、小道の左右に季節ごとの花が楽しめる小道ガーデン。建物裏手の日当たりのよい場所にはハーブガーデンと、みんなで種まきをして植物を育てる種まきガーデン。これらを屋外活動のステージとしていった。
「先週まで、みんなで種をまいたヤグルマソウが、それは見事に咲いていたんですよ。部屋からもよく見えてね。その花を見ているだけで、とてもうれしくなりました」
2階に長年お住まいの女性は、すっかり花に魅せられた様子だ。

団地に庭をつくる意味を、UR西日本支社の片岡有吾はこう話す。
「住んでいる人が生活動線の中で佇んだり、誰かと出会う、そんな『場』をつくることが、コミュニティーを育むためには大事だと思うんです。屋外の花壇は、その『場』です。誰かが花の手入れをしていたり、ピロティーから笑い声が聞こえる。なにか楽しいことをしているその横を、団地の人が歩き、その様子を見る。そこで自然とあいさつが交わされ、話が始まる。それがコミュニティーが育まれるきっかけになると思っています」

みんなで花を植えて花壇を整備。今年2月には住民主催の完成記念イベントも行った。

花壇があればみんなとつながる

「団地自治会には入っていましたが、個人的には何も活動していませんでした。それが庭づくりが始まると、皆さんとの交流が生まれ、外でおしゃべりしたり、ピロティーで会議をしたり、いろいろな結びつきが生まれて楽しみが増えました。他の棟から花を見にくる方もいて、この花壇には愛着もひとしお。外出先から戻ってきてここの花を見ると、ほっとしますよ」

こう話すのはD51に住んで38年になる日笠京子さん。「ガーデン」のまとめ役だ。
「最初はそんな花壇をつくっても、花を持っていかれるんじゃないか、誰が世話をするんだと反対意見も出ました。私もあまり乗り気ではなかったんです。でも、できてみたらほんとうにステキで。こんな庭があるD51が誇らしい」

そんな感想を述べるのは、キララフェスタでフラダンスを披露した女性だ。

屋外空間につくった花壇で団地の人々が出会い、交流が生まれ、暮らしに誇りが持てるようになる。歴史ある団地は新しい魅力をまとい、美しい花を咲かせはじめた。

4月には山田倫子さんを講師に招き、1階ピロティーで「ミニフラワーアレンジ」講座を開催、たくさんの参加者が楽しんだ。
新しくなったエントランス前では、フラダンスも披露された。
キララフェスタで山田さん(右端)からハーブガーデンの説明を聞く両団地のメンバー。
エントランスに向かう小道ガーデンは宿根草を組み合わせ、四季折々に花が楽しめる。
美しく整ったD51棟の入口。右手がエレベーター。
バスを降りて建物に向かう入口の所には、いつでもカラフルな花が咲いている「ウェルカムガーデン」が完成。
URの片岡は「団地の屋外空間を使い、住んでいる皆さんとともに、団地の魅力を上げることができるのでは」と話す。

武田ちよこ=文、青木 登=撮影

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