街に、ルネッサンス UR都市機構

世界の扉を開く本(7)

URPRESS 2016 vol.44 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

今月のテーマ:じっくり読みたい物語

獣の奏者

上橋菜穂子著/講談社文庫
(1)闘蛇編 629円(税別)

厳しい寒さに休みの日は家から出たくない。そんな時は、時間を忘れて物語の世界に没入することができる壮大な長編小説がオススメです。
『獣の奏者』は、「リョザ神王国」と呼ばれる異世界の地で、運命に翻弄されながらも気高く生きる少女・エリンを中心に、人と獣、人と人とのかかわりをドラマチックに描いた名作です。読み始めると、その丁寧に作り込まれた世界観、しっかりと血の通ったキャラクターたちにグイグイと引き込まれてしまいます。

それもそのはず、著者は2014年に「児童文学のノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞を受賞し、今、最も注目される作家のひとり、上橋菜穂子さん。いわゆるファンタジー作品ではありますが、子ども向けと侮ってはいけません。詩人の谷川俊太郎さんが「ファンタジィはいわば現実の組みかえによって、より深い真実に達しようとする試みだ」と語ったように、現実の酸いも甘いも知り尽くした大人にこそ読んでいただきたい作品なのです。


百年の孤独

G・ガルシア=マルケス著/新潮社
2,800円(税別)

南米の架空のまち「マコンド」の草創、隆盛、衰退そして廃墟と化すまでの百年を、町を開拓したブエンディア家を中心に描いた大河小説。喜びと悲しみ、希望と絶望、孤独と連帯など、人間の営みのすべてが詰まった、世界文学の最高峰に位置づけられる名作。


旅のラゴス

筒井康隆著/新潮文庫
490円(税別)

突然高度な文明を失った代償として、人々が超能力を獲得しだした世界で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。彼が旅の途中で出会う悲喜こもごもは、まさに人生そのもの。文章量だけでいえばそう多くありませんが、時間と空間を飛び越えてラゴスと一緒に壮大な旅ができます。

ブックセレクト

三田修平(みた・しゅうへい)

ブックディレクター。移動式本屋「BOOK TRUCK」で全国各地のイベントなどに参加するほか、2015年に本と日用品の店「三田商店」を横浜市内に回転。

世界の扉を開く本バックナンバー


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