復興の先の未来に向けて着実に進むまちづくり(2)
岩手県 大船渡市・大槌町・山田町
復興の先の未来に向けて着実に進むまちづくり
新たなまちづくりが進む岩手県沿岸部の大船渡市、大槌町、山田町。
規模やかたちはそれぞれだが、一歩ずつ着実に歩み続ける3つのまちを訪ねた。
大槌町

虎舞や神楽で盛り上がるまちびらき式を開催
「わーっ、広い!」「海が見えるよ」「この台所、使いやすそうね」
真新しい香りのする部屋から、明るい歓声が上がる。3月12日、岩手県大槌町町方(まちかた)地区末広町で行われた、災害公営住宅内覧会でのひとコマだ。最上階の6階に住む予定の上野秀雄さん、広子さん夫妻は「やっぱり海が見えると安心しますね。震災から5年、これからようやく新しい暮らしが始まる気がします」と笑顔を見せた。
この日開かれたのは、災害公営住宅と宅地の完成を祝うまちびらき式。記念植樹に郷土芸能の虎舞や神楽、餅まきも行われ、まちの中心部に久々のにぎわいが戻った。




暮らしやすいコンパクトなまちに再編
町方地区は、全体を平均2・2メートルかさ上げし、市街地を震災前の約半分の30ヘクタールに縮小。平成29年度にかけて、コンパクトで暮らしやすいまちへと生まれ変わる計画だ。UR都市機構は町方地区での土地区画整理事業と町内8地区の災害公営住宅建設などを担当、新しいまちづくりの手助けをしている。
「この現場では、盛り土のために東京ドーム1杯分ほどの土を調達する必要がありました。隣の山田町や三陸沿岸道路のトンネル工事で出た土を運び、なんとかクリアできました」と、工事の苦労を語るのはUR都市機構大槌復興支援事務所所長の矢島龍太だ。そして大槌町復興局都市整備課の青木利博課長は「大槌町では住民主体のまちづくりを進めていますが、URさんは大規模ニュータウンなどの経験も豊富で、とても頼もしい助っ人です」と信頼を寄せる。
宅地の引き渡しはすでに始まっていて、三枚堂正文さんの宅地では、4月から着工するという。「家があった場所に、再び住めるようになって本当にうれしい。今日は震災後初めて神楽や虎舞を見て、思わずうるっときましたね。早く、まちの形になって、前と同じように神輿や山車がまち中を練り歩くのを見たいです」
再びにぎやかな祭囃子が聞こえる日を、誰もが心待ちにしている。


【阿部民子=文、青木登=撮影】
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