街に、ルネッサンス UR都市機構

復興の先の未来に向けて着実に進むまちづくり(2)

URPRESS 2016 vol.45 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

岩手県 大船渡市・大槌町・山田町
復興の先の未来に向けて着実に進むまちづくり

新たなまちづくりが進む岩手県沿岸部の大船渡市、大槌町、山田町。
規模やかたちはそれぞれだが、一歩ずつ着実に歩み続ける3つのまちを訪ねた。

大槌町

末広町町営住宅は鉄筋コンクリート造の6階建て、全53戸。住民同士が気軽に話せるベンチや集会所、エントランスに設けた畳スペースなど、コミュニティーづくりへの配慮もきめ細かい。まちびらき式の日には、餅まきも行われた。

虎舞や神楽で盛り上がるまちびらき式を開催

「わーっ、広い!」「海が見えるよ」「この台所、使いやすそうね」

真新しい香りのする部屋から、明るい歓声が上がる。3月12日、岩手県大槌町町方(まちかた)地区末広町で行われた、災害公営住宅内覧会でのひとコマだ。最上階の6階に住む予定の上野秀雄さん、広子さん夫妻は「やっぱり海が見えると安心しますね。震災から5年、これからようやく新しい暮らしが始まる気がします」と笑顔を見せた。

この日開かれたのは、災害公営住宅と宅地の完成を祝うまちびらき式。記念植樹に郷土芸能の虎舞や神楽、餅まきも行われ、まちの中心部に久々のにぎわいが戻った。

町方地区の末広町町営住宅から望むこの地にコンパクトシティーが整備される予定だ。
住宅内覧会の様子。カーテンの寸法を確かめる住民の方々。
関係者や町民など、120名以上が参加したまちびらき式。祭りが盛んな地域だけに、郷土芸能の虎舞や神楽には、自然と手を動かす参加者も。
すでに地縄張りの終わった宅地に立つ三枚堂正文さん。「今日の式では、以前のお隣さんに会えたのもうれしかったですね。4月の着工が、待ち遠しいです」

暮らしやすいコンパクトなまちに再編

町方地区は、全体を平均2・2メートルかさ上げし、市街地を震災前の約半分の30ヘクタールに縮小。平成29年度にかけて、コンパクトで暮らしやすいまちへと生まれ変わる計画だ。UR都市機構は町方地区での土地区画整理事業と町内8地区の災害公営住宅建設などを担当、新しいまちづくりの手助けをしている。

「この現場では、盛り土のために東京ドーム1杯分ほどの土を調達する必要がありました。隣の山田町や三陸沿岸道路のトンネル工事で出た土を運び、なんとかクリアできました」と、工事の苦労を語るのはUR都市機構大槌復興支援事務所所長の矢島龍太だ。そして大槌町復興局都市整備課の青木利博課長は「大槌町では住民主体のまちづくりを進めていますが、URさんは大規模ニュータウンなどの経験も豊富で、とても頼もしい助っ人です」と信頼を寄せる。

宅地の引き渡しはすでに始まっていて、三枚堂正文さんの宅地では、4月から着工するという。「家があった場所に、再び住めるようになって本当にうれしい。今日は震災後初めて神楽や虎舞を見て、思わずうるっときましたね。早く、まちの形になって、前と同じように神輿や山車がまち中を練り歩くのを見たいです」

再びにぎやかな祭囃子が聞こえる日を、誰もが心待ちにしている。

UR都市機構大槌復興支援事務所所長の矢島龍太。「町方地区は湧水が豊富なため、井戸を閉塞し、2、3カ月試験盛り土をしてから本格的な盛り土をしました。この地区ならではの作業でした」
大槌町復興局都市整備課の青木利博課長は、神戸からの応援で赴任。「住民の方々の意向に沿うまちになるように何十回もワークショップを開き、道路幅や公園の設備などを細かく調整しました」

【阿部民子=文、青木登=撮影】

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