街に、ルネッサンス UR都市機構

宅地引き渡しにふくらむ夢と期待

URPRESS 2016 vol.45 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

福島県 いわき市
宅地引き渡しにふくらむ夢と期待

福島県でもいよいよ造成した宅地の引き渡しがスタート。
いわき市薄磯地区では、宅地引き渡しを前に現地見学会が開かれた。
美空ひばりの「みだれ髪」にも歌われた塩屋埼灯台から望む薄磯地区。山を切り崩した造成地に約180戸の宅地が整備されつつある。

風光明媚なこの地に戻りたい

「こんな高台になっているとは思わなかった!」「海が見えて景色がよくてうれしい」

明るい陽光が降り注ぐいわき市の薄磯(うすいそ)地区で、2月21日に開かれた復興工事現地見学会。その会場は、参加した人たちの喜びと安堵の表情にあふれていた。「自分の土地はまだ整備されていないけれど、周囲をイメージできたので安心しました。参加してよかった」と話していたのは鈴木雪子さん。津波で夫と義母を亡くした悲しみは消えないものの、震災後に東京から戻ってきた息子と一緒に高台に住むことを楽しみにしているという。

見学会では、参加している方たちが遠浅の海が広がる風光明媚なこの地に戻れることへの喜びや感謝を口にしていたことが印象に残った。

そして、山の麓で親しまれていた「てんぐさん」と呼ばれる古峯農商神社が、高台造成地の奥に遷され残ることを、多くの方が喜んでいた。

見学会では地元の方々と談笑する大学生の姿も目立った。立教大学コミュニティ福祉学科助教の熊上崇さんが率いる学生たちがいわきを訪れるのは8回目。若者が加わることで住民の方の参加と、住民同士の交流が増えることを目指し、地域のイベントに参加している。
30年来の友人である大谷加代さんと一緒に見学会に参加した鈴木雪子さん(左)。海が見えるし、平場に住む予定の大谷さんとの行き来もしやすそうと喜ぶ。

被害が甚大だった2地域の復興を支援

いわき市と協力協定を結んでいるUR都市機構は、被害の大きかった薄磯、豊間の2地区の復興まちづくりを支援している。高台移転のための市街地整備や海側の防災緑地の整備だ。「津波で約9割の家屋が全半壊したこの地では、山を切り崩して宅地を造成。高台(平均20メートル)と平場に、居住者の土地を再配置しています」

見学会で現地を案内し、参加者の質問に応じたUR都市機構いわき復興支援事務所所長の佐藤秀城は話す。薄磯地区の宅地は3月に平場から引き渡しが始まり、平成29年5月までには高台も含め引き渡しが完了する予定だ。

UR都市機構いわき復興支援事務所所長の佐藤秀城(左写真)と、工程管理を担う基盤工事課課長の本藤栄二(右写真)。防災緑地に植えるドングリを地元の人たちと一緒に育てるプロジェクトなどソフト面の支援にも力を入れている。
塩屋埼灯台の南に広がる豊間地区でも宅地造成工事が進められている。

UR都市機構ならではの仕事を

UR都市機構の提案で始まった現地見学会は3回目。今回は地元の方の要望を受けての開催だ。「図面だけではイメージがわかないので、実際に薄磯の人に自分の土地を確認して安心してもらいたいと思ったんです」と開催の目的を語るのは、いわき市薄磯区の区長・鈴木幸長さん。実際に参加者の表情を見て、開催してよかったと振り返る。「防災緑地や公園、道路も整備される予定ですし、震災前より格段によい環境になると思います」とほほ笑むのは、いわき市都市建設部都市復興推進課の根本英典課長だ。「大規模開発における豊富なノウハウをもつURさんのマンパワーやスピード、品質管理は頼りになりますので、今後も地域の皆さんと連携しながら、住みやすいまちづくりを進めていく予定です」

その期待に応えるべく、UR都市機構の職員も日々奮闘。薄磯地区の場合、市街地整備はいわき市から、防災緑地整備は福島県からの受託。市と県それぞれと話し合い、安全かつ確実にスケジュールを守りながら作業を進めることに心血を注いでいる。言葉にするのは簡単だが、実行するのは大変だ。「複雑に絡み合う工程を、さまざまな事業者とコーディネートしながら進める作業は、URならではの力が役立っているという自負がある」と語るUR都市機構いわき復興支援事務所基盤工事課課長の本藤(ほんどう)栄二のように、気概をもって日々仕事に励むUR職員にとっても、整備された宅地に立つ住民の方々の笑顔は大きな活力だ。新たなまちの誕生を目指して、日々地道な努力が続けられている。

「高台に移転される古峯農商神社は、5年前の3月11日、多くの人が避難して一夜を明かした場所でもあります」と薄磯区の区長・鈴木幸長さん。
「住民の皆さんにとっては待ちに待った引き渡しです。見学によって少しでも新たな再建に希望をもっていただけたら」といわき市都市復興推進課の根本英典課長。

完成間近! 福島県復興公営住宅

2棟72戸の宮沢団地。県の標準プランに沿いつつも、周辺地域に配慮した色彩計画にするなどUR都市機構らしさを匂わせている。右から、福島復興支援部の山口祐基、渡邊正彦、久保田琢斗。

UR都市機構は「福島県復興公営住宅」の建設も担当している。いわき市で建設中の「宮沢団地」もそのひとつ。原子力災害により避難指示を受けている浪江町の人々が入居予定だ。
平成23年7月に岩手県大槌町に着任以来、復興支援に取り組み、その後、福島にやって来た福島復興支援部担当役の渡邊正彦が中心になり、若手職員を現場で指導・育成している。「現場で学びながら、1日も早い引き渡しに向けて、日々懸命に取り組んでいます」と住宅計画チームの若手、山口祐基と久保田琢斗は口を揃える。

【妹尾和子=文、佐藤慎吾=撮影】

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