ベランダ菜園の楽しみ(8)
ゴマ栽培は、意外にもベランダが向いている
たなかやすこ
日本人にとって古くからなじみのあるゴマは、ミネラルやたんぱく質、強い抗酸化作用を持つゴマグリナンなど、健康に良い成分を多く含むことで、ますます注目されています。しかしそのほとんどを輸入に頼っており、国内では九州や西日本を中心にわずかに栽培されているだけです。
生産量が減少したのは、収穫に手間がかかることが大きな理由のようです。ゴマはさやの中に小さな種(これがゴマです)がたくさんできます。さやは熟すと弾けて、種を地面にばらまいて子孫を残します。つまり、刈り取りにはタイミングが大事なのです。
株ごとタイミングよく刈り取ったら乾燥させ、ゴマ(種)を取り出し、さやのかけらや葉などの細かいごみとを分けるのが大変な手間です。
しかし、家庭でコンテナを使って栽培する程度なら、収穫後の選別もさほどの手間ではありません(「point!」参照)。栽培も難しくないので、ぜひ挑戦して、貴重な国産のゴマを収穫してほしいと思います。アフリカのサバンナが原産といわれるだけあって、暑さと乾燥に強く、熱帯夜の続いた夏にも、わが家(関東地方)のベランダでとてもよく育ちました。
5月中旬から6月に種をまき、9月から10月に収穫できます。間引き菜も食べられますし、ゴマとして食べずにスプラウトとして育てるのもおすすめ。少し苦味がありますが、私はサラダにして楽しんでいます。
【田中淳=撮影】
育ててみよう! ゴマ
ゴマが栽培されている様子を見たことがある人は、少ないのではないでしょうか? ぜひ自分で育てて、どんな花が咲くのかしら? どんなふうになるかしら? といった好奇心を満足させましょう。
-
step1
コンテナに鉢底石を敷き、培養土を入れ種をまきます。数回間引いて、本葉が5、6枚の時に10センチ間隔になるようにします。乾燥に強いので水はけのよい土で、水のやりすぎにも注意します
-
step2
草丈は60~100センチ程度になります。薄紫色の花が咲き、茎の根元のほうから順番にさやができます。
-
step3
摘み取ったさやは乾燥させます。1つのさやに80粒程度のゴマが詰まっています。写真は金ゴマです。
point! さやを摘んで収穫しましょう
花は株の根元のほうから咲き、さやができます。根元から刈り取らず、黄色くなったさやから順に摘んで、風通しのよい場所で自然乾燥させましょう。乾燥させているうちに弾けるので、ゴマが飛び散ってなくなってしまったなどということがないように、目の細かい排水ネットなどに入れておくのがおすすめです。
プロフィール
たなかやすこ
イラストレーター、ガーデニングクリエイター。
1957年北海道小樽市生まれ。著書に『とれたての幸せ。はじめてのベランダ菜園』(集英社)、『おいしいベランダ菜園 シンプル&エコに育てる』(家の光協会)ほか。
ベランダ菜園バックナンバー
UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]
UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。