特集 つながる ひろがる 復興するまちを訪ねて3 岩手県
岩手県
それぞれの思いを胸に踏み出す新たな一歩
UR都市機構は岩手県の7市町村で復興まちづくりを支援している。
今も多くの人が仮設住宅で暮らし、復興支援事業は道半ばだが、各地で着実に次のステージへ向けた動きが始まっている。
それぞれが夢や希望、使命感を抱いて……。

落ち着いて暮らしたい!まちを活気づけたい!
大槌町でUR都市機構が建設を手がけた大ケ口二丁目地区災害公営住宅は、地域景観に配慮した木造和風の一戸建て。玄関に車椅子や手押し車を置けるスペースを確保するなど高齢者にも配慮した造りが特徴だ。
昨秋、その一軒に入居した三枚堂(さんまいどう)一男さん、純子さん夫妻は、「父や息子の部屋もありますし、お隣の音を気にせず、落ち着いて暮らせる一軒家は本当にありがたいです」と口を揃える。リフォームしたばかりの自宅を東日本大震災で失い、避難所や仮設住宅での生活を続けてきた三枚堂さん一家。念願の一軒家では、仮設住宅では別々に暮らしていた親御さんともひとつ屋根の下で暮らせるとあって喜びもひとしおだ。
顔見知りのほとんどいない新たな地でのスタートだが、三枚堂さんは自治会の班長を引き受け、 コミュニティーづくりを始めている。


新居を待ちわびている人もいる。山田町織笠の仮設住宅に暮らす菊地サカヱさんもそのひとり。UR都市機構が整備を進めている織笠地区の高台造成地の一角に新居を建設予定だ。災害公営住宅ではなく、菊地さんが土地の購入と新居建築の自力再建にこだわったのは、後生に残せるから。「自分たちがいなくなった後も、子どもや孫が帰って来られる場所、ふるさとを残したいと思って」
造成工事の音をうるさく感じたことはないと語る菊地さん。「機械の音が聞こえると、工事が進んでいるわとワクワクするの」
菊地さんをはじめ多くの人たちの夢を一日でも早く叶えるべく、懸命な造成工事が続けられている。
「ふるさとを活性化させたい」との思いで立ち上がったのは、陸前高田市の下和野団地内で「理容∞美容 髪遊(かみゆう)」を営む佐々木佳子(けいこ)さんだ。以前は大船渡で働いていたが、「いつかは地元、陸前高田に戻って独立したい」という夢が東日本大震災を機に急展開。「若い人が減っていくなか、育ててもらったこのまちを活性化させたいと強く思い、決意しました」
折しもUR都市機構が手がけた下和野団地で入居店舗を募集中。応募して、昨年12月に開店した。「身だしなみがきれいになると気分もすっきりするので、明日への活力につなげてもらいたい」と佐々木さん。ふるさとの将来を見据えながら、地域住民に寄り添った店づくりに励む毎日だ。

●理容∞美容 髪遊 TEL:0192-47-5251

大船渡プラザホテルもまちの活性化のために英断した。
津波に耐え、その後早々にリニューアルして営業を続けてきたが、大船渡市が発表した復興まちづくり計画は、大船渡駅周辺を津波復興拠点として整備し、行政施設や商業施設などを集約するもの。そして大船渡プラザホテルの敷地には幹線道路が造られるという計画だった。

厳しい状況にあって大船渡プラザホテルが駅前用地を確保でき、先陣を切って着工したことについて、今野廣己支配人は「このまちを復興させたいという市民の思いや、復興には宿泊施設が必要という社長の早い決断により進みました」と語る。
新たな場所でのオープンは来年3月予定。ランドマークとなる新生大船渡プラザホテルの完成を、多くの人たちが今から待ちわびている。


文 = 妹尾和子、撮影 = 青木登
動画
UR職員からとっておき情報が届きました。
ここでしか食べられない美味や、心癒やす温泉など、地元ならではのチョイスの数々。さあ、次のお休みにはぜひ東北へ!
UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]
UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。