特集 つながる ひろがる 復興するまちを訪ねて2 宮城県東松島市野蒜地区
宮城県東松島市野蒜(のびる)地区
5月30日に仙石線が開通 1日も早く、高台にまちをつくる
津波で大きな被害を受けて不通になっていた鉄路が、またひとつ結ばれる。
JR仙石線の新たな線路は、造成された丘陵地を走る。
緑に囲まれた丘陵の上部に広がる台地。津波で甚大な被害を受けた東松島市野蒜地区は、丘陵地を造成して高台にまちをつくっている。この高台に500メートル内陸へルートを変えたJR仙石線の線路が走り、駅舎も完成した。高台移転用地は総面積約92ヘクタール、平成28年度末までに448戸の宅地が完成、引き渡しが行われる。
東松島市とUR都市機構が復興まちづくりの協力協定を結んだのは平成24年3月。
「復興で最も求められるのはスピード。1日も早くとの地元の要望にいかに応えるかが一番の課題でした」
UR都市機構の東松島復興支援事務所の市街地整備課長、吉原康史は語る。
迅速に工事が進められるよう、市は用地を全面買収、UR都市機構は事業全体のマネジメントに専念するCM方式という手法をとった。基盤工事課長、芳賀直によれば、「詳細設計をしながら同時並行的に工事を進め、関係者との調整を重ねて、設計変更にも素早くかつ柔軟に対応できる体制をとりました」
何よりの推進力になったのは、巨大なベルトコンベヤーの採用だ。これなら1日に1万6500トン、10トントラック1650台分もの土砂を搬出できる。また、削る土の量が少なければ工期も短縮できるので、JR東日本とも協議して造成地の海抜を当初の予定より上げて22mに変更。鉄道用地を優先して造成し、済んだ端からJRに引き渡して、線路工事に着手してもらえるようにした。
成果が実り、土砂の搬出は予定より5カ月も早く10カ月で終了。27年度の10月が目標だった仙石線の開業も、5月30日に早められた。復興の加速につながってほしいとの思いを担ってJRも力を尽くし、誰もが待ち望んだ仙石線が全線開業。もちろん野蒜の人々にとっても、新たなまちづくりに向けての力強い一歩が刻まれる。
西上原三千代 = 文、平野光良 = 撮影
UR職員からとっておき情報が届きました。
ここでしか食べられない美味や、心癒やす温泉など、地元ならではのチョイスの数々。さあ、次のお休みにはぜひ東北へ!
UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]
UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。