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特集: 福岡市早良区 星の原団地

URPRESS 2018 vol.50 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

福岡市早良区 星の原団地 カフェでつながる ここに来れば誰かがいる 団地の安心交流拠点が生まれた

福岡市にある星の原団地では、コミュニティーづくりを目指してカフェと食堂を始めた。
するとここに外部からも人がやってくるようになり、交流の輪が広がり始めている。

カフェや食堂を中心になって運営する団地のボランティアメンバー。右から本岡美津子さん、川口雅世さん、新貝由紀子さん、藤村せつ子さん、福地美代子さん。

多世代が集うカフェが大盛況

次々に並ぶ朝採れ野菜を目当てに、団地のあちこちから人が集まってきた。ここは福岡市郊外にある星の原団地。第3土曜日の今日は、11時から集会所脇で、添田町にある道の駅「歓遊舎ひこさん」の出張販売がある。買い物を済ませた女性たちは、そのまま連れ立って隣の集会所にある「星の原カフェ」に入っていった。

星の原団地でカフェが始まったのは2015(平成27)年10月。団地の課題解決に向けてさまざまな大学との連携を進めるUR都市機構九州支社のなかで、星の原団地では福岡大学の地域活性支援塾の学生たちとの交流が始まった。「約5000人が住むこの団地も高齢化が進み、高齢者の一人暮らしも増えています。その高齢者から子どもたちの声への苦情が寄せられることがあり、その問題を学生たちもまじえ、団地町内会の方々と話し合う勉強会を始めたのです」とUR都市機構九州支社の団地マネージャー中村直寿。「子どものことを理解すれば騒音と感じることはないと思うので、まず高齢者と子ども、若い人たちが交流できる場をつくっては、と提案。それがカフェにつながりました」と地域活性支援塾の当時のメンバーが振り返る。

さっそくカフェをのぞいてみると、5人の女性たちがカウンターでコーヒーを入れ、客席を回っている。団地町内会でこのカフェを運営するボランティアの人たちだ。「『こういうのを待っとったんよー』と喜ばれました」と話すのは本岡美津子さん。カフェには高齢の方はもちろん、赤ちゃんを抱いたママなど、さまざまな年齢層の人がやってきて、その時々のイベントに参加したり、おしゃべりをしたり、思い思いに過ごしている。同じ時間に行われる道の駅の出張販売との相乗効果もあるようだ。「今日は野菜を買ってからカフェのイベントに参加して、お昼過ぎまで過ごします」という一人暮らしの高齢女性は、ここで顔見知りが増えたとほほえむ。それは子育て中のママたちも同様で、ここに来て先輩ママに子どもを見てもらいながら、相談ごとを持ちよる姿が見られるという。「初めて来られる方には『どちらからお越しですか?』と声をかけます。すると、暮らしの様子や困っていることなども自然に話してくれるんです。このカフェが、団地の皆さんのセーフティネットになればいい。カフェをきっかけに、住む人たちのゆるやかなつながりが感じられるようになりました」と本岡さんたちスタッフは手応えを感じている。

星の原団地は築45年、2000戸以上の大型団地。空室が少ない人気の団地で、高齢化率も高いが、子育て世帯にも人気がある。
団地の中心にある集会所。ここがカフェと食堂になり、カフェ開店の日には、すぐ横で道の駅の出張販売が行われる。
「団地の人たちが自主的に活動する基盤づくりが目的でした」と話す、福岡大学地域活性支援塾の初期メンバーたち。

この日のカフェのイベントには、福岡大学医学部看護学科の先生と学生さんが参加。夏の健康管理のお話や、クイズ、転倒防止体操などで楽しんだ。

外部の人も巻き込んで団地を交流拠点に

カフェを通して団地の様子が見えてくると、今度は別の問題にみんなが気づいたと中村は言う。「子どもたちの様子が気になったんです。親が働いている子どもも多く、夕食は子どもだけで済ませることも少なくない。それは高齢者も同じです。そのころ『こども食堂』の活動が全国で始まっていたので、この団地版を始めてみようかと話が進みました」

こうして2016年8月、「星の原やすらぎ食堂」が始まった。集会所を使ったカフェは毎月第3土曜の11時〜15時だが、偶数月には同じ場所で17時〜19時に食堂を開くことにした。カフェ運営の5人を中心に、団地の人たち、福岡大学や中村学園大学の大学生たちもボランティアで参加する。

メニューは豚丼やカレーなど。大人200円、子ども100円を払えば、子どもから高齢者まで誰でもOK。「ここでみんな一緒に楽しく食べよう」がコンセプトだ。

始めてみると利用者は回を追うごとに増え、現在では100人を超える人が食事に来る。そのうちの約6割が小学生だ。食堂があるときは、16時から集会所を開放し、大学生のボランティアが子どもたちの勉強を見たり、一緒に遊ぶ時間を設けている。九州TSUTAYAと個人から寄贈された古本図書館も開かれ、食堂が始まる17時を待つ。「やっぱり大勢で食べるとおいしいねえ」と、同じテーブルの子どもにデザートのケーキを分けていたおばあちゃんもうれしそうだ。

カフェから始まった星の原団地の活動。「ここに来れば、なんでも相談できる。情報が得られる。そういう場にしよう」と皆さんの気持ちはひとつになっている。カフェや食堂を通じて団地の課題や問題を見つけたら、それをどこかにつなぐ。中村は言う。「そのために、できないことは遠慮なく外部の力を借りて、いろんな人に関わってもらおうというスタンスです。いまこの団地には道の駅の人や、介護関係、大学や地元の小学校の人など、いろいろな方が来られるようになり、交流が生まれ、何かが動き始めています。けっして急がず無理をせず、この活動を続けるつもりです」

UR都市機構の中村直寿は、食堂で使う食材の調達も担当。企業や一般の方からの支援を呼びかけている。

「星の原やすらぎ食堂」の本日のメニューはカレーとケーキ。ケーキは福岡市のフードバンクから仕入れたもの。開店と同時に子どもたちが並んでいた。

【武田 ちよこ=文、青木 登=撮影】

みんなの庭でつながる
花壇から団地の新しいコミュニティーが生まれる

緑豊かな屋外空間を生かして、歴史ある団地に新しいコミュニティーづくりの試みが始まっている。
きっかけとなるのは「花壇」。
花に魅せられた人々の輪が、少しずつ広がっている。

子育てを助け合う
団地からまちへ地域コミュニティーの輪を広げたい

少しの間、子どもを預かってほしい。お迎えに行ってもらえたら…。
そんなとき気軽に頼める子育て共助の関係をつくり、そこからコミュニティーの輪を広げていければ。そんな新たな子育て支援の取り組みを開始したメゾンふじのき台を訪ねた。

カフェでつながる
ここに来れば誰かがいる団地の安心交流拠点が生まれた

福岡市にある星の原団地では、コミュニティーづくりを目指してカフェと食堂を始めた。
するとここに外部からも人がやってくるようになり、交流の輪が広がり始めている。

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