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特集: 大阪府吹田市 千里青山台団地

URPRESS 2018 vol.50 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

千里青山台団地 大阪府吹田市 みんなの庭でつながる 花壇から団地の新しいコミュニティーが生まれる

緑豊かな屋外空間を生かして、歴史ある団地に新しいコミュニティーづくりの試みが始まっている。
きっかけとなるのは「花壇」。
花に魅せられた人々の輪が、少しずつ広がっている。

集会所前に作られた「ハーブの庭」。収穫したハーブで「ハーブソルト」を作り、イベントで配布した。

団地の庭に生まれた私たちの花壇

大阪府吹田市、千里ニュータウンにある千里青山台団地は、完成から49年。丘陵地の勾配を生かした広大な敷地には木々の緑が豊かにあふれ、その中にゆったりと建物が配置されている。「朝は鳥の声で目が覚めます。窓を開ければ緑がいっぱいで、風が通り抜け、まるでリゾートにいるような気分です」

こう話すのは、この団地に住んで3年目という加村晴香さん。加村さんはUR都市機構が進める「みんなの庭」プロジェクトに参加して、自分の住む住棟の前に、ステキな花壇を作っている1人だ。「今、咲いているのはカモミール。チューリップは球根を採るために、花が終わってもそのままにしています。もう1つの花壇にはヒマワリを植えています」

この花壇を見て、1階に住む人から「私もやってみようかな」と声がかかった。このように今、千里青山台団地には、ここに住む人たちの手による花壇があちこちに誕生し、静かに増殖中だという。

カモミールの花が咲く花壇と加村さんご家族。
花壇には、それぞれ名前と番号が付いている。

「みんなの庭」でコミュニティーづくり

千里青山台団地では2年前から、建築家の伊東豊雄さんとともに「みんなの庭」プロジェクトをスタートさせた。担当するUR都市機構西日本支社技術監理部企画課主幹の片岡有吾にその目的を聞くと、「団地の屋外空間に『みんなの庭』を作ることをきっかけにした、新しいコミュニティーづくりの試み」だという。

団地が誕生した頃、日本には地縁型のコミュニティーが健在で、それは団地でも同様だった。だが、時代は変わり、人々は他人との関係性をつなぐ必然性を感じなくなっている。とはいえ、やはり私たちは人とつながることで幸せを感じるのではないか。人と人がつながるきっかけを、団地の屋外空間に求めてみてはどうだろう。そこに現代の新しいコミュニティーが生まれるのではないだろうか。

そのような考えのもと、2015年、伊東氏とともにまず「みんなの庭を考えよう」というワークショップを開催した。そこで住民から提案された「BBQができる庭」は、さっそく集会所前の空間を利用して実現した。「みんなのテーブル」と名づけられ、休みの日には、ここでBBQを楽しむ人々の姿が見られるという。

次に「ハーブの庭を作りたい」という声が上がり、集会所前にハーブの花壇を作った。この世話をする人は現在7人。その1人である石村至男(よしお)さんは、少しずつだが団地の中に庭を媒介にした新しい関係が生まれてきたと話す。「僕の場合、それまで団地の人とのつながりは、子どもを通した関係だけでしたが、今では離れた棟の人とも庭を通じて知り合いになりました。花壇という空間に人が集まり、人が集まると空間が広がっていくんですね。花壇を通したコミュニティーづくりは、とてもいいアイデアだと思います」

石村さんはそれまで土いじりにはまったく興味がなかったという。だが、今では花壇に水やりをしていれば、誰かが声をかけてくる。採れたハーブを使って、次は何をしようかと仲間とも話がはずむという。

コミュニティーづくりの一環として、5月末に「集会所をペチュニアの花で彩ってみよう!」を開催。
たくさんの参加者が苗の植え付けを体験し、集会所のベランダにプランターを並べた。
苗の植え付け終了後は、集会所前の「みんなのテーブル」で食事会。ハーブチームの石村さん(右写真)が作った料理などをいただいた。

花から始まる人とのつながり

現在、団地内にできた花壇は22。そのひとつ、C8号棟前にある「なでしこの庭」は、同じ棟に住む中田茂世子(もよこ)さんをはじめとする12人のグループが管理している。中田さんは定年退職するまで仕事一筋で、団地の人との付き合いはほとんどなかったという。「でも、この花壇作りを通して友達ができました。通りかかった人から『きれいねえ』と声をかけられるとうれしいですね」と新たな生きがいを見つけたようだ。ときには他の花壇を見に行き、「もっとこうしたら」と声をかけることもあるという。「そうなんです。ここで花の世話をしていると、それじゃ寄せ過ぎだとか、知らない人からいろいろ指導が入るんですよ(笑)」

それが楽しいと話す若い夫婦は、自分たちの住む住棟の前にレンガを積んで、花壇そのものも手作りした。「ここに引っ越してまだ1年と少しですが、団地でこういう暮らしができるとは、考えもしませんでした」と楽しそうだ。

千里青山台団地の花壇は、少しずつ増えている。その花壇の前に、人々の大輪の笑顔の花が咲きはじめた。

中田茂世子さん(右)と、一緒に世話をする中川富枝さんの「なでしこの庭」。水やりや花がら摘みは当番制だ。
モルタルをこねレンガを積むところから手作りした花壇の前には、1階に住む人から提供されたブロックで敷石を置いた。

【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】

みんなの庭でつながる
花壇から団地の新しいコミュニティーが生まれる

緑豊かな屋外空間を生かして、歴史ある団地に新しいコミュニティーづくりの試みが始まっている。
きっかけとなるのは「花壇」。
花に魅せられた人々の輪が、少しずつ広がっている。

子育てを助け合う
団地からまちへ地域コミュニティーの輪を広げたい

少しの間、子どもを預かってほしい。お迎えに行ってもらえたら…。
そんなとき気軽に頼める子育て共助の関係をつくり、そこからコミュニティーの輪を広げていければ。そんな新たな子育て支援の取り組みを開始したメゾンふじのき台を訪ねた。

カフェでつながる
ここに来れば誰かがいる団地の安心交流拠点が生まれた

福岡市にある星の原団地では、コミュニティーづくりを目指してカフェと食堂を始めた。
するとここに外部からも人がやってくるようになり、交流の輪が広がり始めている。

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