【公団誕生70年】集合住宅をもっと快適にするJSの研究開発拠点 団地クローズアップ
浴室を快適に
団地誕生から今日までの団地設備の変遷やJS(日本総合住生活(株))が時代のニーズに合わせて開発した設備について紹介します。
今回は浴室回りにフォーカス。風呂釜の変化や、安全、快適性を追求した工夫を紹介します。
風呂釜の変遷

浴槽は木製
団地が誕生した昭和30年代、浴室には内釜式の木製の浴槽が置かれていた。ガスの排気は煙突から屋外に排出される各戸煙突方式だった。
BF式風呂釜で安全に
昭和40年代には、BF式風呂釜が登場。これは浴室内の空気を利用せず、戸外へ突き出した吸排気筒から燃焼用の空気を取り入れ、同時に排気ガスを直接排気する方式で、ガス中毒に対する浴室の安全性が画期的に高まった。この頃の浴槽は耐久性の高いホーロー製だったが、徐々に現在一般家庭でも使われているFRP(繊維強化プラスチック)に変わった。
FF式風呂釜で浴槽がワイドに
JSが開発したFF式風呂釜。それまで浴槽の脇に置かれていた給湯付風呂釜を浴槽の手前側(エプロン内)に収めることで、浴槽の幅をそれまでの80センチから100センチに広げた。浴槽の大型化を実現したこのタイプは、現在も使われている。
水回りの安全性と快適性の向上

昭和30年代の浴室と洗面台
初期の浴室の床はタイルで、またぎの部分は人研(じんどぎ)石。これはコンクリートに小粒石や割石などを混ぜ、表面を研磨したもので、冬場は冷たいという欠点があった。
また、この当時の洗面台の幅は50センチ。この住戸タイプの場合、建物の構造上、窓があるため、正面に鏡を設置できず、鏡を側面に掛ける家庭もあった。
改良された在来浴室
床面は浴室塗膜防水HU-B工法によって、水はけがよく滑りにくい防滑性ビニールシートで再生。FF式風呂釜でワイドになった浴槽、壁面には手すりも付いて、ストレスなく入浴が楽しめるようになった。
1.コンパクト洗面化粧台
洗面台も進化している。JSが開発したコンパクト洗面化粧台は、幅50センチに10リットルの大容量ボウルと鏡付きのキャビネットを収めた。コンパクトながら機能性にあふれた洗面化粧台だ。
2.浴室人研ブロック樹脂カバー
浴室のまたぎの部分に使われている人研石の冷たさと古さを解消するために、JSでは上からかぶせて固定する樹脂製のカバーを開発した。
ユニットバスに手すりを付ける

平成6年頃までのユニットバスには、壁面に手すりを付けることができなかった。そこでJSは、ユニットバスのパネル壁は壊さず、その奥にある壁を利用して手すりを付ける専用器具を開発した。これで約60キロまで耐える手すりを設置することができるようになり、風呂場の安全性が向上。UR賃貸住宅では申請を受けた住戸について設置可否を調査し、設置可能な場合、無償で取り付けている。
洗濯機用サイホン排出管システム

日本住宅公団の初期の団地には、洗濯機を置くスペースが設けられていなかったため、室内に置いた洗濯機の排水をどうするかは、大問題だった。これを解決するために、JSは洗濯機用サイホン排出管システムを開発。床下に排出管を収め、浴室に排水できるようにした。これによって床上の排水ホースにつまずいたり、水が漏れたりする心配がなくなった。
JSの研究開発拠点
「スクエアJS」
 
	
        URの関係法人である日本総合住生活(株)(JS)は、1961(昭和36)年の設立以来、当時の日本住宅公団のサービス部門をはじめとした一部業務を担うと同時に、集合住宅の質の向上のため、さまざまな研究を続けている。埼玉県さいたま市にある「スクエアJS」は、このJSが研究と実験、訓練などを行う施設。建物はA棟からF棟まであり、D棟のJSギャラリーでは、ここでご紹介するような同社の技術の変遷や開発商品などを、デジタルサイネージの映像と現物展示で紹介している。
●スクエアJS
埼玉県さいたま市桜区田島7-2-3
TEL:048-714-5002
【青木登、菅野健児=撮影】
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