街に、ルネッサンス UR都市機構

花咲く団地4 - 多世代が集う団地に「健康」と笑顔が広がる

URPRESS 2015 vol.44 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

芸人さんたちと運動会を楽しみ、保健室が居住者の健康を守る。
多様な世代が健康に生き生きと暮らす団地を目指した、さまざまなチャレンジを取材した。

みさと団地 埼玉県三郷市

「森脇健児の大運動会!!」は、笑いと運動で健康増進を図ることを目的に、UR都市機構と松竹芸能が共同で実施する健康増進プログラムのひとつ。

運動会でいい汗かこう!

朝の日差しがまぶしい団地のグラウンドに、スポーツウェア姿の人々が集まってきた。今日はみさと団地(埼玉県三郷市)で「森脇健児の大運動会! !」が行われる。松竹芸能の芸人さんが率いる4チームに分かれ、100人ほどの参加者がグラウンドに整列した。

この運動会はUR都市機構と松竹芸能が共同で昨年11月21日に開催。みさと団地にお住まいの方々と近隣の人々が参加した。最年少はお母さんに抱っこされた赤ちゃん、最高齢は70代後半だろうか。スリランカから来たという5人、2歳のお嬢さんの手を引いて参加するのは、ガーナから来た女性。年齢、性別、国籍もさまざまな方々が、大玉ころがしや、風船お尻割りレースなど、次々に繰り出される競技に汗を流す。初めて会った人たちがチームメートになったとたんに打ち解けて、グラウンドには声援と笑い声があふれていた。

顔見知りをつくるきっかけに

「この団地は近くに新しい駅ができて子育て世代が増えていますが、古くから住んでいる高齢者世帯とのつながりが希薄になりがちです。今日の運動会は、多様な世代が顔を合わせるきっかけづくり。顔を知っている人々が団地にいれば、何かあったときに安心ですから」
こう話すのは、UR都市機構ウェルフェア推進事業部の間瀬昭一。みさと団地は多様な世代が交流するミクストコミュニティづくりのモデル的取り組みとして、地域包括支援センターや高齢者の見守り拠点の整備も進められている。

みさと団地に住んで32年になる自治会長の宮林英也さんは、汗を拭きながら「こういう運動会は楽しいねえ」と満足気。1回で終わらせず、自分たちの手で続けていける方法を考えたいと話していた。

玉入れから始まって5つの競技に汗を流す皆さん。世代を超え、たくさんの笑顔がグラウンドに広がった。

「運動会はいろんな世代の人々が仲良くなる、とてもいい機会だと思います」と総合プロデューサーの森脇健児さん。森脇さんをはじめ安田大サーカス、なすなかにし、オジンオズボーン、チキチキジョニーらが参加、大会を大いに盛り上げた。
上写真左、右からなすなかにし那須、森脇健児、高島麻利央。上写真右は、安田大サーカスのクロちゃん。


みさと団地に浴室暖房を設置

高齢者の健康寿命を延ばす「健康寿命サポート住宅」の取り組みを行っているみさと団地では、アンケートで要望が多かった「浴室の寒さ対策」を試験的に実施。健康寿命サポート住宅の浴室に暖房設備を設置して、ヒートショックを防ぐ試みを始めた。今年度は全国7団地で同様の改修を行う予定だ。

浴槽の下部から温風が吹きだして浴室内を温める。

豊明団地 愛知県豊明市

団地に住む学生たちも、もちつきに挑戦。

健康相談ができる保健室

団地に保健室があると聞いて訪れたのは、愛知県豊明(とよあけ)市の豊明団地。2015年4月、豊明市と藤田保健衛生大学、UR都市機構が連携して「ふじたまちかど保健室」が団地1階にオープンした。平日に看護師や薬剤師、リハビリ療法士らが交代で常駐し、居住者からの相談を受け、ミニ講座も開催。昨年11月末までに延べ2100名の利用があった。
「自分や家族の健康に関する不安、福祉や介護、薬のことなど何でも気軽に相談できる場所として認知されつつあります」と藤田保健衛生大学の都築晃講師。団地の自治会副会長を務める糸魚川幸江さんも「無料で気軽に相談できるので助かっています。保健室の存在を団地の外にも広めたい」と話していた。

団地1階に開設された保健室。「脳の活性化」「お薬相談」といったミニ講座を平日に毎日開催している。

大学生が団地イベントに参加

豊明団地では、団地自治会のイベントに参加することを条件に、都築講師をはじめ同大学の学生16人が団地に入居している。団地には夏まつりや文化祭など自治会主催の五大行事があり、それ以外に「ふれあい食事会」が行われている。「学生さんが参加してくれるようになって、活気が出ました。行事の反省会では、こちらの気づかない意見が出たりして、いい刺激を受けています」と自治会長の山岸牧男さん。糸魚川さんも「ふれあい食事会では、おじいちゃんもおばあちゃんも、学生さんたちと話すのがとっても楽しそうで、高齢者にもいい刺激になっています」と大学生たちとの共生に期待を寄せる。

今年度から学生リーダーとなった加藤由基(よしき)さんは「今後は団地に住む高齢者や子どもたちの求めているものを知り、自分たちにできるかたちで団地に提供していきたい」と意気込みを語ってくれた。

取材で訪れた12月は、五大行事のひとつ「もちつき大会」が行われた。蒸し上がったもち米を、自治会のメンバーに混じって大学生たちがつき上げる。そのお餅を配るのは、近隣の中学生のボランティアたち。子どもからお年寄りまで、さまざまな年代の人々が集まり、団地はホカホカした空気で満たされていた。

自治会主催の「ふれあい食事会」。将来、医療関係の仕事に就く学生たちにとって、高齢者と接する時間は貴重な学習の機会でもある。

40回を数える豊明団地のもちつき大会。今年は藤田保健衛生大学の学生たちが準備から参加。地元中学生もお手伝い。

【武田ちょこ = 文、佐藤慎吾 = 撮影】

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