花咲く団地1 - 若い感性が生み出すまったく新しい部屋
東京と京都で、女子大生による団地のリノベーションプランを競うコンペが行われ、これまでの団地とは一線を画す新しい部屋が生まれている。
光が丘パークタウン × 日本女子大学
3DKがワンルームの明るく広い空間に変身
ドアを開けた途端、「オオー」と思わず声が出た。一歩踏み込んだ部屋の中は、明るく広々とした大空間だ。外廊下に面した玄関側の窓からベランダの窓まで、12メートル近くにわたってひと続き。団地といえば2DKや3DK、何部屋にも仕切った間取りを見慣れた目には、じつに新鮮だ。
東京23区内最大の緑豊かな計画都市、光が丘パークタウン(東京都練馬区)。若い感性を生かして時代に合った住戸を創り出そうと、日本女子大学家政学部住居学科と同大学院家政学研究科住居学専攻の学生を対象として行われた「UR賃貸住宅リフォームコンペティション」で、3DKだった空間をワンルームとして提案した2作品が最優秀賞に輝いた。
「壁で仕切らず、仕上げや家具の配置で変化をつけ、開放的に使える空間を目指しました」という鈴木あいねさんの作品「溶けていく、暮らし。」は、玄関と一体となった土間的なスペースがあり、食のスペース、居室的スペースへと続く。審査員を務めた篠原聡子教授いわく「土間の奥に続き間がある、日本の伝統的住宅が持っていたフレキシビリティーをうまく生かしたプラン」。
一方、高藤万葉さんの作品「いろんな壁といろんな居場所」は、玄関側の窓からベランダの窓まで光と風が通る道を確保し、その左右に収納や書斎、ベッドスペースに使うことを想定して設けた、長さがまちまちの袖壁が新鮮だ(右写真を参照)。
「部屋ではなく〝居場所〟を作ることを考えました。いろいろな使い道に対応できるよう、壁の奥行きや間隔を工夫しています」と高藤さん。篠原教授も「なかなか思いつかない斬新なアイディア」と評価する。
実際に施工し、入居者募集も行うコンペだから、汎用性も重要だ。施工に向けてプランを詰める段階では、部屋として仕切ることもできるよう引き戸を加えるなど、両案とも住む人の使い勝手を高める変更を加えている。
「実際に住みたいと思ってもらうには何が必要か、とても勉強になりました」
「施工やコスト面など、プランを実際に形にする難しさも体験できて、貴重な機会でした」
二人は口々に語っていた。
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