復興の「今」を見に来て!第6回 Part3
落ち着いて暮らせる住まいの提供、魅力的なまちづくりに向けて、UR都市機構のさまざまな復興支援事業が今も続いている。
浦戸(うらと)4島での住宅建設に挑戦
宮城県 塩竈市
日本三景で知られる松島湾に浮かぶ桂島(かつらしま) 。周囲約7キロのこの島で、2015(平成27)年12月25日、災害公営住宅の完成式が開かれた。ひき続き催された祝賀会にも島内外から多くの人々が集まり、住宅の完成を喜び合った。
塩竈市との復興にかかわる基本協定のもと、桂島を含む浦戸諸島の4つの島の災害公営住宅の建設を担当したUR都市機構にとって、離島での住宅建設は初めての挑戦。天候や潮の干満に左右される資材の運搬の調整に苦労しつつも、何よりこだわったのは島の生活に合った住まいづくりだ。
「ある程度の要望はあると思っていましたが、神棚が全世帯に必要だと言われたときは驚きました」と振り返るのは、UR都市機構宮城・福島震災復興支援本部 住宅整備部住宅計画チームの松村尚。島民の要望を受けて松村は塩竈市と話し合い、方角など決まり事を尊重した神棚のスペースを全世帯に確保した。
そのほかにも隣の部屋と襖でつながる間取りや両側の部屋から使える収納スペースの確保、漁具や畑から収穫した野菜を洗うための外付け水栓や共同花壇の設置など、室内外において島の人たちの声に耳を傾け、その実現に向けて尽力してきた。
災害公営住宅の近くに自宅があり、毎日工事の様子を見ていたという浦戸諸島桂島区の区長・内海粂蔵(くめぞう)さんは、「大変なご苦労があったと思いますが、島民のために素晴らしい住居を建ててくださって本当に感謝しています」と挨拶された。「震災後、離れて暮らしている親とこれでやっと一緒に暮らせます」と語る内海由美子さんをはじめ、入居者の皆さんの安堵の表情に包まれた完成式だった。
中学生の災害公営住宅見学会
岩手県 大船渡市
各地の復興支援で、ハード面だけでなくソフト面の支援にも力を入れているUR都市機構。災害公営住宅の入居者と地域の人々をつなぐ役目もそのひとつだ。大船渡ではUR都市機構と市が協力して、完成した所通東(ところがよいひがし)地区災害公営住宅に地元中学生を招いての社会科見学を実施した。
越喜来(おきらい)中学校の1年生18人が4班に分かれて行った住宅見学は、UR都市機構の職員が案内して設備の特徴や工夫した点についてクイズ形式で紹介。中学生からはピカピカの住宅や低い位置に設置された電気のスイッチなど、年配の方も暮らしやすい工夫、最新の機能に驚きの声が上がった。
住宅見学に先立ち、今回の社会科見学のプロジェクトリーダーであるUR都市機構の松本京子から「災害公営住宅とは何か。建設にはどのような仕事があるのか」などを説明。また建設に携わったUR都市機構の木下彰子と株式会社匠建設の冨田高一郎所長が今の仕事に携わるようになった経緯や、今回の建設に至るまでの説明をし、中学生からの質問にも答えた。
見学後は、中学生が災害公営住宅に住む人たちとどのような交流ができるかを各班で話し合って発表した。共に社会科見学を企画した大船渡市都市整備部住宅公園課住宅管理係の大津泉係長は語る。「実際に住居を見学することで、復興や被災者について考える良い機会になったと思います。URさんがいつもコミュニティー支援や地域貢献を重視してくださっていることを感じます」。子どもたちが自分たちのまちに貢献していく一助になることを願っての見学会は好評のうちに幕を閉じた。
大船渡市の復興事業の動き
JR女川駅前に商店街が誕生!
宮城県女川町
UR都市機構が復興まちづくり事業のパートナーシップ協定を締結し、町全体の復興を包括的・総合的にサポートしている女川町。UR都市機構が担当し基盤整備が完了した女川の中心市街地に昨年12月、テナント型商店街「シーパルピア女川」がオープンした。
JR石巻線の女川駅前から海に向かって伸びる商業エリアのメインストリート「プロムナード」に沿って立つシーパルピア女川は、瀟洒(しょうしゃ)な平屋6棟が並ぶ造りで、ミニスーパーや飲食店、雑貨店など27店舗が入居している。また、海側には町立の「女川町まちなか交流館」もオープン。ホールや音楽スタジオ、キッズコーナーなどもあり、商店街とともに地元の人々や観光客が気軽に立ち寄れるスポットの誕生に注目が集まっている。
【妹尾和子 = 文、竹居鉄也 = 撮影】
動画
復興の「今」を見に来て! 第6回
宮城県塩竈市桂島
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