特集:団地の未来 「団地再生」から「未来のかたち」へ > 団地に農場が誕生。地域の人々が集う拠点に!
団地に農場が誕生。地域の人々が集う拠点に!
日の里団地 福岡県宗像(むなかた)市
博多と小倉のほぼ中間に位置する宗像市の日の里団地。
その敷地内にこの春誕生した農場が、早くも地域活性化、多世代交流の場となり、注目を集めている。
6月の日曜日、日の里団地では朝9時半から朝市が開かれていた。会場は、団地内の広場に今年4月に誕生した「団地の農場 日の里ファーム」。幅8メートル、長さ33メートル、高さ4・4メートルの本格的なビニールハウスだ。
ハウスの中で青々と元気いっぱいに育っているのは、小松菜にチンゲン菜、ワサビ菜に水菜、ミックスレタス……。好きな株を選んで自分で収穫することも可能、1種類につき3株セットで100円とお得なこともあって、お客さんが次々にやって来る。「前回買ってとてもおいしかったから、また買いに来た」という日の里団地にお住まいのリピーターが多いが、友人に聞いて近隣から初めてやって来たという人も。友人同士、夫婦で、親子でと客層の年代は幅広い。
全国初の試み。誰もが参加しやすい団地内農場
UR都市機構では、多様な世代が生き生きと暮らし続ける住まい・まちづくりを目指し、さまざまな取り組みを行っているが、団地に本格的な農場をつくるのは初めて。居住者の高齢化が進むなか、その対応を危惧する宗像市や地域関係者と協力し、日の里団地を地域医療福祉の拠点とするためのモデル事業として、「団地の農場 日の里ファーム」をスタートした。
「農場をつくることで、高齢者の外出を誘い、高齢者から子どもまで一緒に活動することで、多世代交流や、生きがいづくりの場にできればと考えています」とUR都市機構の団地マネージャー西村正則は語る。
高齢者や車椅子の人でも参加しやすいように、東レ建設と連携し、腰を曲げずに作業できる「高床式」の栽培方法を取り入れた。土の代わりに、水はけのよい、地元の遠賀(おんが)川流域の砂を使っているのも特徴。水や液肥は自動漏水のため、特別な農機具は必要なく、手軽に野菜栽培を楽しめるのも魅力だ。グリーンファームの榊原慎也さんが野菜の栽培指導を行う専門スタッフとして常駐しているため、初めて参加する人にも心強い。
農場で自然に多世代交流が実現
4月のオープン以来、農場では会員を募って種まきや苗植え、収穫体験のイベントなどを開催。「こんなに人が集まるとは思わなかった。予想以上に子どもたちもたくさん参加してくれて、自然に多世代が交流できています」とスタッフは口を揃える。
平日は9~15時まで農場を開放。自分が植えた野菜の生育を確認しに来る人、農作業の手伝いにやってくる人、学校帰りに顔を出す子どもたちなどでにぎわう。葉野菜は種まきから1ヵ月強で収穫できるため、日に日に成長する様子を見るのも来場者の楽しみになっている。
6月19日には会員組織の発足式を兼ねたオープニングイベントも行い、約100名が参加してにぎわった。
今後は育てた野菜を使っての料理教室を開催するほか、宗像市のコミュニティーサロンでの直売や、学校給食での活用などの計画も進行中。農場にまかれた種が芽を出し、葉を広げて育つように、団地内にコミュニティーが生まれ、新たな活動へと広がり始めている。子どもからお年寄りまで、たくさんの笑顔にあふれる農場が、輝く団地の未来を感じさせる。
【妹尾和子=文、竹居鉄也=撮影】
「人」と「空間」を生かして団地の価値を再発見する
昭和40年代につくられた洋光台のまちで、今、世界的な建築家・隈研吾氏やクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を迎え、団地を核にした画期的な地域再生の取り組みが進められている。
「集まって住む」
その力が未来を開く鍵になる
洋光台団地をモデルケースに始まった「団地の未来プロジェクト」。
そのキーマンである佐藤可士和さんに、このプロジェクトの目的や、実際に進めていくなかで感じている可能性などを伺った。
夢追う若者に無償で部屋貸します!
築50年、戸数1421の白鷺団地で、若者に住戸を提供して団地再生への道を開こうという試みが進められている。
「ワカモノ応援プロジェクト」と銘打った、そのユニークな取り組みとは?
団地に農場が誕生。 地域の人々が集う拠点に!
博多と小倉のほぼ中間に位置する宗像市の日の里団地。
その敷地内にこの春誕生した農場が、早くも地域活性化、多世代交流の場となり、注目を集めている。
UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]
UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。