特集:団地の未来 「団地再生」から「未来のかたち」へ > 夢追う若者に無償で部屋貸します!
夢追う若者に無償で部屋貸します!
白鷺団地 堺市東区
築50年、戸数1421の白鷺団地で、若者に住戸を提供して団地再生への道を開こうという試みが進められている。
「ワカモノ応援プロジェクト」と銘打った、そのユニークな取り組みとは?
団地が3人の若者の夢を応援
鋭くリズムを刻むドラムに、熱を帯びた歌声とギターの音色が絡む。夏の昼下がり、バンド演奏が繰り広げられているのは、ライブハウスならぬ白鷺団地の集会所だ。ロックやブルースバンド、弾き語りなどによるこのライブイベントは、「ワカモノ応援プロジェクト」の一環として行われた。
このプロジェクトは夢を追う若者に、無償で団地の住戸を1年間にわたって提供。夢の実現を応援すると同時に、団地の良さや暮らしの様子を若い世代にPRしてもらおうというものだ。「入居者の年齢を下げて団地を次の世代へつないでゆき、少しでも活性化していこうという狙いがあります」
UR都市機構の西日本支社大阪エリア経営部主査 市川洋はいう。白鷺団地の2012年時点の契約者の平均年齢は62歳。進む高齢化に抗して若い世代を呼び込もうと、昨年から年配者が敬遠する4・5階住戸の設備や内装を一新して、現代風にするリノベーションを進めてきた。プロジェクトで提供するのも、もちろんこのリノベーション住戸だ。選ばれた若者たちは、ここでの暮らしや活動をツイッターなどSNSで週3回発信し、集会所で月に1度、何らかのイベントを行うことが条件となっている。
ミュージシャンや漫画家、芸人、放送作家の卵など、予想を上回る43件もの応募があり、夢の実現への具体的なプランがあること、団地の良さを発信する手段をもっていることなどを選考ポイントとして、3名が選ばれた。「集会所でイベントができるのが魅力でした」(ギタリストの男性)、「何かおもしろいことができそうやな、と思って」(漫画家を目指す宮原リョウさん)と応募動機はさまざまだが、住まいへの高い評価は「きれいでおしゃれで驚きました」(ダンサー、シンガーのあんじゅさん)と共通している。
多世代が集う明日の団地へ
3人は4月から白鷺団地で暮らし始め、集会所でのイベントも7月で5回目。ダンスや音楽のほか、漫画家を目指す宮原さんによる作品展示や似顔絵描き、ライブペイントなども行ってきた。今後は、漫画作品がどうやって描かれるかを見せるイベントや、ギター講習を通じて音楽好き・楽器好きの居住者の交流にもつなげていこうと、プランをあたためている。
「自分の友人知人以外の客をいかに増やしていくかが課題です」とショウジさんはいうが、少しずつ来場者も増え、この日は団地の子どもたちや高齢の女性たちの姿が目立った。「同じ棟の5階に越してきた若い人が演奏するみたいなので、聴きに来ました」「また若い人がたくさん住む団地になるといいんやけど」と、団地の女性が若者に注ぐまなざしは優しい。自治会も「団地を知ってもらういい機会。課題はあるが、世代間の交流の道も探っていきたい」という。
リノベーション住戸は7月時点までに150戸供給され、その後も200戸が供給される予定。130戸の入居者の4割を20代30代が占め、平均年齢も42歳と若い。「実際に住んでもらえれば、世代間交流の機会も出てきます。3人の取り組みがそのきっかけになればと期待しています」(市川)
プロジェクトが始まってまだ4カ月。夢を追う若者たちが投じる一石が、団地の未来をどのように変えていくか注目したい。
【西上原三千代=文、佐藤慎吾=撮影】
「人」と「空間」を生かして団地の価値を再発見する
昭和40年代につくられた洋光台のまちで、今、世界的な建築家・隈研吾氏やクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を迎え、団地を核にした画期的な地域再生の取り組みが進められている。
「集まって住む」
その力が未来を開く鍵になる
洋光台団地をモデルケースに始まった「団地の未来プロジェクト」。
そのキーマンである佐藤可士和さんに、このプロジェクトの目的や、実際に進めていくなかで感じている可能性などを伺った。
夢追う若者に無償で部屋貸します!
築50年、戸数1421の白鷺団地で、若者に住戸を提供して団地再生への道を開こうという試みが進められている。
「ワカモノ応援プロジェクト」と銘打った、そのユニークな取り組みとは?
団地に農場が誕生。 地域の人々が集う拠点に!
博多と小倉のほぼ中間に位置する宗像市の日の里団地。
その敷地内にこの春誕生した農場が、早くも地域活性化、多世代交流の場となり、注目を集めている。
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