街に、ルネッサンス UR都市機構

URが取り組むグリーンインフラ

UR都市機構では、昭和30年(1955年)に設立された日本住宅公団の時代から、緑を重視し、自然環境が有する多様な機能を活用するグリーンインフラの概念を先取りしながら、数多くの住宅団地建設、ニュータウン開発、都市再生等の事業を手掛けてきました。これまでに創り出された緑の空間は時間の経過とともに成熟し、今日のグリーンインフラを体現しています。
1 戦後の住宅不足解消(概ね昭和30~40年代)

 昭和30~40年代は数千戸規模の大規模な団地の建設やニュータウン開発が、主に大都市の郊外部において行われました。
 開発や建設にあたっては、地域の自然環境や既存の地形を活かしつつ、団地内広場や公園といった子供の遊び場にも展開し、団地内や開発地域内を歩行者専用の通路でネットワーク化しました。これらの空間は、今日の広域の緑や生態系ネットワーク形成の基となり、まとまった緑はクールスポットの役目も果たしています。
 なお、この頃に建設された団地は、設備の老朽化や多様化するニーズへ対応するため、昭和60年以降に建て替えられるようになりました。建て替えの際には、居住者の記憶や団地の象徴となっていた地域資産の継承にも配慮し、既存の緑を保全・活用しながら、良好な緑環境の継承、維持に努めています。

2 総合的な居住環境づくり(概ね昭和50年代~平成初期)

 昭和50年代になると郊外部のニュータウン開発に加えて、新たに都心居住の促進や都市機能の更新等に係る事業が、都心部の遊休地等において行われました。
 都心部では良好な都市環境の形成を図ることが急務であったことから、都心部の事業においては、まずは広場や緑地などオープンスペースの確保に努めました。オープンスペースの整備にあたっては、地域の特徴付けや景観性も考慮しつつ、自然環境が有する多様な機能を引き出すため、植栽基盤を改良し多様な樹木による緑化を行いました。河川沿いや臨海部の事業では、水辺の立地特性を活かした親水空間の創出にも配慮しました。
 これらの空間は、今日では良好な都市景観や自然環境を生み出しており、都心のヒートアイランド現象の緩和や雨水浸透による雨水流出の抑制といった都市環境の改善効果も発揮しています。

3 環境や安心・安全に配慮したまち・すまいづくり(平成初期~)

 平成以降は、顕在化する地球環境問題への対応と、平成7年に発生した阪神淡路大震災への対応が契機となり、まちづくりやすまいづくりにおいて、環境や安心・安全に配慮した取り組みが強化されています。
 環境に配慮した取り組みとしては、都市においても生物多様性の保全に配慮し、豊かな自然環境を形成するため、既存樹林の活用や水辺の整備によるビオトープ空間づくりを進めました。雨水は浸透・涵養させるだけでなく、水辺のビオトープにも活用しました。これらの取り組みにより、多様な生物が棲息できる豊かな自然環境が都市部にも生まれ、さらにこれらの空間を飛び石的に連続させることにより、広域な生態系ネットワークが形成されました。自然環境が豊かな空間は都市の魅力を向上させ、地域の憩いの場にもなっています。
 安心・安全性に配慮した取り組みとしては、既成市街地内における災害時の避難経路の確保、避難場所や救護活動拠点となる防災公園等の整備を行いました。防災公園には防火機能を併せ持つ植栽帯を設け、災害時の安全性向上に配慮しました。このような既成市街地内の一定規模の屋外空間は、都市環境の改善やまちのにぎわいづくりにも役立っています。


4 震災からの復興まちづくり

 UR都市機構は前述の阪神淡路大震災の復興事業に加え、平成23年に発生した東日本大震災の復興事業も数多く手掛けています。東日本大震災の復興事業においては、被災を免れた地域資産の継承や、共同住宅や地域のコミュニティの早期形成を狙いとした緑に関する取り組みが行われています。


5 最後に

 近年、地球規模の気候変動、激甚化する自然災害、生物多様性、脱炭素社会への対応など、様々な社会課題を解決する方策としてグリーンインフラが注目されています。
UR都市機構では、半世紀以上前から緑の多様な機能を活かす取り組みを行ってきました。時間の経過とともに成長、成熟した当時の緑は、今日では緑・水・生態系のネットワークを広域化させ、数多くの団地や事業地区において豊かな緑環境を形成し、まちに溶け込んでいます。今後もUR都市機構はグリーンインフラを活用して、まちの課題解決や都市・居住空間の魅力向上に努めてまいります。



UR都市機構事業紹介

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