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街みちネット 第12回見学・交流会「京島三丁目地区防災街区整備事業について」

これまでの活動の紹介

活動議事録

京島三丁目地区防災街区整備事業について

UR都市機構 墨田都市再生事務所 事業計画課 岡村 智仁 氏
地区の概況
  • 墨田都市再生事務所では、これから説明する京島三丁目地区の防災街区整備事業や、曳舟駅前地区第一種市街地再開発事業(平成22年度事業完了)といった曳舟駅周辺におけるまちづくりを主に行っているところです。
  • これから京島三丁目地区の防災街区整備事業について、説明させて頂きます。前半は墨田区の説明と重複するところもあるかと思いますが、その辺はご了承願います。
  • 地区の概況です。隅田川と荒川に囲まれた墨田区北部の密集地域内にあり、スカイツリーから概ね1kmのところに位置しています。
  • 東武伊勢崎と京成押上線に囲まれた部分が曳舟駅前地区で、京島三丁目地区は京成曳舟駅から徒歩約6分のところに位置しております。
位置図
  • 機構だけでなく、様々な主体がまちづくりを行っており、京成押上線では連続立体交差事業、東京都や墨田区の街路事業、民間や再開発組合による再開発等の事業が進行しています。
  • 木密10年PJの動きとしては、不燃化特区(京島周辺地区)と特定整備路線(押上通り)があります。
  • 航空写真をご覧頂いたとおり住宅が密集しています。
航空写真
  • 明治時代から工業地帯として発展したことに加え、震災や戦災を免れて、多くの人が移り住んだことで、住商工が混在した密集市街地が形成されております。
  • 上位計画については、昨年発表された新重点密集市街地、東京都の重点整備地域の鐘ヶ淵周辺・京島地区、防災再開発促進地区、住市総密集型で京島三丁目地区のある京島地区、隣接して北部中央地区があります。
  • 墨田区の都市マスの将来都市構造図では、広域総合拠点として、押上・業平橋駅周辺地区や錦糸町駅周辺地区、両国駅周辺地区があり、広域拠点として曳舟駅周辺地区や吾妻橋地区が位置づけられております。
  • 地域別整備構想の中では、京島が密集市街地関連の主要推進プロジェクト、曳舟駅周辺地区や押上・業平橋周辺地区は拠点市街地関連の主要推進プロジェクトという位置付けがされております。
現況と課題
  • 京島二・三丁目地区の現況と課題ですが、平成20年度時点において、人口が約6,400人、住宅戸数が約3,500戸で、老朽建築物戸数率が約70%と多く、4m未満の道路比率が53%と幅員が狭い道路が多い状況があります。
  • 特に京島三丁目は総合危険度が約5000町丁目中7位ということで、火災発生時の延焼危険性が高い、避難路の確保が困難、緊急車両の進入が困難という課題があります。
これまでの取組み
  • 住市総の道路整備等の内容です。
  • 着色部分が主要生活道路で、オレンジ、黄色、緑のところは優先整備路線の位置づけがあり、オレンジは整備済み、黄色は未整備で、緑の21号線を今回の防災街区整備事業と併せて整備することになります。
墨田区の取組み
事業地区の課題
  • 従前の事業地区の写真です。
  • 古い長屋、木造の家屋、駐車場、北側の二項道路、墨田区の土地等がありました。
  • 大正末期に築造された長屋・木造家屋が密集しており、震災発生時には倒壊・延焼の危険性が高い、借地人や借家人が多く権利関係が複雑・零細であり高齢者も多いため自己建替えが困難、道路が狭隘若しくはネットワーク化されていないため、災害時の避難及び緊急車両の進入が困難、といった課題がありました。
事業地区の課題
  • 防災街区整備事業の制度については皆さんご存じかと思いますが、平成15年に改正された密集法に基づく法定事業で、施行者や権利調整システム、諸手続きについては第一種市街地再開発に準拠しています。
  • 土地の高度利用でなく防災機能の確保が目的となり、特定防災街区整備地区の区域内にあること等が区域要件になります。
  • また、権利者の申し出により、土地のみへの権利変換が可能で、これを個別利用区と呼んでいます。
防災街区整備事業とは
  • 今回、防災街区整備事業を選択した経緯について説明します。
  • 地区の状況という観点からすると、老朽化した木造住宅が存在していたため、耐火建築物整備の必要性がありました。
  • また高度利用を前提としたまちづくりは区の方針等に合致せず、現行容積率(法定容積率200%)での事業計画の必要性がある一方、低容積での事業性を担保する手厚い補助制度活用の必要性がありました。
  • また権利者の状況という観点では、従前戸建住宅に居住していたため、一部の権利者には共同住宅への抵抗感があり、共同住宅以外の生活再建方策の必要性がありました。
  • また墨田区としては、主要生活道路21号線の整備により道路ネットワーク強化を図りたい意向がありました。
  • そうした中で耐火建築物と公共施設との一体的整備、戸建住宅という選択肢の提供ということで、当事業の施行に至りました。
防災街区整備事業の施行
事業計画
  • 事業計画等について説明します。
  • 事業の目的としては、主要生活道路21号線の拡幅整備と併せた建築物の不燃化を促進することによる防災性の向上、密集住宅市街地における良好な住環境整備となります。
  • 事業概要としては、施行地区の面積が約0.2ha、事業手法が防災街区整備事業(機構による直接施行)、権利者数が17名、総事業費は約15億円で、事業施行期間は平成22~25年度、民間事業者の参画として特定事業参加者制度の導入を図っています。
  • 従前は一部の土地が墨田区の所有で、従後は共同利用区と、個別利用区に整備しました。
  • URは、共同利用区で宅地及び防災施設建築物の整備、個別利用区で宅地の整備を行い、個別利用区の戸建住宅建設は移転する方が行います。
  • 公共施設の整備としては、主要生活道路21号線を4mから6mに拡幅し、区画道路1号を2mから4mに拡幅しております。
  • 整備効果としては不燃領域率の向上、主要生活道路21号線の拡幅等による避難路及び緊急車両進入路ネットワークの強化、敷地内緑化等による住環境の向上及び新たな居住者の流入による地域の活性化といったことがあります。
  • 全体で約15億程度の事業費で、支出で大きいのが工事費で約9億円、収入で大きいのが特定事業参加者負担金の約9円億で、民間の東日本住宅に床を買って頂いた金額となります。
資金計画
  • 権利変換計画については、下記の図で、従前はA6の墨田区が1名、A5の土地所有者1名と借地人7名、A1~A4の土地所有者の4名と借家人4名がおりました。
  • 従後は共同利用区に5名(A1~A4の4名とBの借地人1名)個別利用区の底地に墨田区が権利変換を受けました。
  • 墨田区の土地の上に定期借地権を設定し、A5の借地人2名に施行者が原始取得した定期借地権を特定譲渡しました。
  • 36戸ありますが、権利床は9戸、残りの27戸は保留床として特定事業参加者の東日本住宅が取得することになります。
  • なお転出する方の多くが、墨田区が整備したコミ住(都市再生住宅)に移転しました。
権利変換計画
土地利用計画及び権利者等
  • 生活再建方策の一例として定期借地権の活用があります。
  • 普通借地の場合は従前資産額が借地権価格と建物価格になり、従後に100%所有権の場合、底地権に従前資産の多くを充てることになり、建物整備まで行うと自己負担が相当必要になります。
  • それでは生活再建が困難となるため、墨田区が土地所有者となり、定期借地権を設定し自己負担を軽減しております。
  • その他生活再建方策として、段階的整備により、仮移転なしで直接移転できるようにしております。
  • 防災施設建築物の概要については、建築敷地面積としては約1380m2、法定容積率200%、最高高さ16m、RCの地上5階建てで住宅戸数は36戸となっております。
建築計画 外観パース
  • 設計コンセプトとして、安全・安心(地区内における南北二方向避難路を確保する)、景観(分棟化することにより周辺市街地に対する圧迫感を軽減する、専用庭等を配置することで周辺市街地との連続性の確保に努める、路地の趣を継承した空間形成を図る)、環境(屋上緑化に努める、分棟化することにより風の通り道を確保する)といったことを考えております。
建築計画 コンセプト
  • 事業経緯及び事業スケジュールについて説明します。
  • 発端としては平成11年7月まで遡り、相続の話を受けた土地活用方策について当時の公団に、隣接する墨田区の土地も含めた検討依頼がありました。
  • それから協議を重ね平成13年12月に区と機構との間で基本協定書を締結し、平成15年12月に密集法が改正され防災街区整備事業が創設されたことを受け、区と防災街区整備事業の検討会を開始しました。
  • その後権利者との合意形成を重ね、平成21年3月にすべての権利者の同意を頂きました。
  • 平成21年11月の都市計画決定、平成22年度の事業計画認可・権利変換計画認可、平成24年度は防災施設建築物の工事に着工し、平成25年度に事業完了を予定しております。
事業経緯及び事業スケジュール
  • 都市計画の内容について説明します。
  • 建築物の敷地面積の最低限度は100m2とあり、ご存じの方も多いと思いますが、敷地の細分化防止のため密集法の施行令で定められております。
都市計画決定の内容
  • 一般的に都心部で100m2は厳しいところがあり、京島の場合は120m2の敷地に基準法上1棟の建物を長屋形式で建設しました。
  • 今後都心部において100m2の是非は検討していく必要があるかと思っているところです。
  • 説明は以上になります。

質疑応答

質問1
  • 定借で借地人が上物をということでしたが、墨田区さんは地代をもらっている地主ということでよろしいのでしょうか。
UR都市機構
  • 借地人が墨田区に地代を支払う形になっています。
質問2
  • 意形成を図る中でバラバラと私も私も個別利用区に行きたいということになると個別利用区を設定する範囲を大きくせざるを得ないと思いますが、合意形成過程のなかでの個別利用区の範囲設定との関係性をもう少し具体的にお聞きしたい。
UR都市機構
  • 最終的には2名の権利者に対応するような形になっていますが、当初の計画では個別利用区はもっと多くありまして、10名程度対応できるよう計画していました。権利者との合意形成と調整の中で最終的にこのような計画に落ち着いたという経緯がございます。
質問3
  • 個別利用区に建てる建物も防災街区整備事業の都市計画の建築の構造の制限がかかるんでしたでしょうか。かかるとすれば木造以外の構造になるのでしょうか。
UR都市機構
  • 制限は防災施設建築物のみです。(個別利用区は)事業としては宅地の整備だけで終わっていて、上物は事業外で権利者の方が直接建設することになります。この建物は木造準耐火ですが、一般的な基準法や安全条例、新たな防火規制といった法規制の下で建てられるということになります。
質問4
  • 最後の、木造準耐火、というところで、密集市街地だからより燃えにくい建物となると耐火なのかなと思いますがそこまでの規制はせずに、そこまでというのは場合によっては地区計画等で構造の制限をかけて耐火にといった規制の仕方もあるかと思いますが、そこまでは行わなかったということでよろしいでしょうか。
UR都市機構
  • あくまでも基準法等だけの規制で、木造準耐火でOKとなります。先ほど墨田区から説明のあった不燃化特区の中では鉄骨で準耐火以上を推進することになっていますが、それはそれで今後10年プロジェクトの中でそのようなアプローチをしていくのかなと思いますが、この段階では一般的な法規制だけで考えていたということです。
質問5
  • 資金計画の中の収入の部のところで、公共からの補助金の割合がどの程度だったかお聞かせ願えませんでしょうか。
UR都市機構
  • いわゆる補助金は分担金と公共施設管理者負担金になります。分担金は調査設計計画費が2/3、土地整備費や共同施設整備費が9/10といった一般的な補助金で、約5億円あります。主要生活道路21号線、区画道路1号という墨田区の整備するところは、墨田区から公共施設管理者負担金という形で頂いて整備しています。ただ(公管金)収入16百万円というのは少ないと思われるかもしれませんが、元々墨田区の従前所有地は約270m2あり、最終的に個別利用区は120m2になり等積ではないのですが、これは墨田区の土地を有効活用するという考えのもと、区有地を道路拡幅分に付替えをしておりまして、純粋に墨田区が一から土地を取得して整備したところは、この部分の金額のみで済んだということで、見え方としてこのようになっています。
質問6
  • 区有地を(個別利用区として)定借で貸し出すという形になっているんですけれども、区有地を貸し出すということが区の内部的に簡単に話がまとまりましたでしょうか。
UR都市機構
  • 色々と調整事項はあったようです。
質問7
  • 最終的には定借なので更地にして60年後には返していただくということになりますか。
UR都市機構
  • そうなります。

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