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街みちネット 第12回見学・交流会「京島周辺地区不燃化推進特定整備地区について」

これまでの活動の紹介

活動議事録

京島周辺地区不燃化推進特定整備地区について

墨田区都市整備局都市整備課密集担当 秋山 和栄氏・原 禎昌氏
墨田区の市街地形成の歴史
  • 墨田区の密集市街地のまちづくりについてご説明させていただきます。墨田区は大正12年9月1日に発生したマグニチュード7.9の関東大震災によって南部地域が殆ど焼失しました。
  • また、昭和20年3月10日の東京大空襲によって区の半分以上が焼失し、再び壊滅的な被害を受けました。
  • 関東大震災、東京大空襲によって2度にわたり墨田区の大部分を焼失したことから、墨田区としましては、災害に強いまちづくりを目指す、という歴史的な背景があります。
地域危険度測定調査(東京都調査)
  • 東京都の方では、5年に一度、都内の約5100町丁目で地域危険度測定調査を行い、建物倒壊の危険性、火災の発生による延焼の危険性、建物倒壊や延焼の危険性の総合危険度を、5つのランクに分けて評価しております。
  • こちらの表は平成20年に発表されたものになりますが、墨田区の京島2丁目につきましては建物の倒壊危険度が約5100町丁目の内の第1位、墨田3丁目につきましては総合の危険度で第1位となっております。その他の地域につきましても、危険度ランクは4や5と高い数値となっております。
地域危険度測定調査
墨田区における取組み
  • 墨田区では、区の北部でも地域危険度の高い地域に密集事業を導入しています。現在は、鐘ヶ淵周辺地区と北部中央地区と京島地区の3か所で事業を導入しています。
  • また今回墨田区では特に危険性の高い鐘ヶ淵周辺東地区と京島周辺地区を(木密地域不燃化)10年プロジェクト先行実施地区として選定し、今年度の4月から不燃化特区の指定を受けました。
京島二・三丁目地区のまちづくり
  • 京島二・三丁目地区のまちづくりについて、紹介させていただきます。京島二・三丁目地区は、墨田区の中央部に位置しております。
  • 京島地区の特徴は、第二次世界大戦の際に戦災の被害が少なかった、ということもあり大正時代から昭和初期の長屋が現存しており、古い家屋と町工場が混在し東京下町の古くからの街並みが色濃く残っている地域となっております。
  • しかしその一方で、木造の戸建や賃貸住宅が大部分を占め、都市基盤が未整備な密集地域となっております。
  • 戦前の建物が多く、敷地は狭小でかつ権利関係も複雑で、狭い路地による緊急車両の通行の問題や、地震などの災害時の対策も課題となっております。
  • そのため、墨田区では、昭和49年から課題に向けた対策の調査に入り、昭和53年にまちづくりについての意識調査、昭和54・55年に市街地整備計画の策定としまして改善方策の検討をすすめ、昭和55年6月に地域の方々と京島地区まちづくり検討会を発足させました。昭和56年には京島地区まちづくり協議会に発展しまして、同年12月にはまちづくりの目標を定め、まちづくり計画の大枠の合意をいたしました。
  • まちづくりの目標は4つとなっております。
     1.京島にふさわしい良好な居住環境のまちを目指す
     2.住商工が一体化した職住近接のまちを目指す
     3.地震・火災に強い安全なまちを目指す
     4.人口の定着を図るべく活気ある街を目指す
  • まちづくりの目標を実現していくため、まちづくり計画の大枠を地元の協議会の皆様とともに定めました。
1.生活道路の計画
  • 地区の将来目標を実現するうえで、防災・車サービス・歩行空間を確保するため、100m程度の間隔で最小限必要となる主要な生活道路を6~8mに拡幅・整備していくことを計画しました。
2.建物の計画
  • 老朽建築物を解消し、住宅・店舗・作業所を質的に向上させていくこと、また不燃化建物については建替える場合は一年を限度にコミュニティ住宅の方に入居できる規定も設けております。
3.コミュニティ施設の計画
  • 京島二・三丁目地区を一つのコミュニティと考え、高齢化社会など社会状況の変化にあわせて適切なコミュニティ施設を検討していき、併せて住環境の改善や防災性向上に資する小規模な緑地を配置・整備していくとしました。
まちづくりの成果
  • 平成24年度末までに、事業用地を13,339m2取得しました。
  • 道路の拡幅整備としましては、6~8mの道路拡幅を、仮整備も含めまして約579m、4m道路拡幅につきましては114箇所で約1,489mを整備しています。また、まちづくりに協力して下さった権利者の方が入るための従前居住者用のコミュニティ住宅を17棟173戸整備しております。
まちづくりの成果
  • また、緑地やポケットパークを20箇所、雨水貯水槽を13箇所163トン、そして集会所も2箇所整備しています。
まちづくりの成果
事例紹介
  • こちらの写真は道路の拡幅整備の事例となります。上の写真は、元々4mを8mに拡幅整備したものです。こちらの箇所につきましては、平成12年度に拡幅整備を行いました。
  • 下の写真は、老朽木造住宅が建っており道路が元々無いところを用地買収して新しく道路を整備したものです。こちらの箇所につきましては、平成23年度に拡幅整備を行いました。
整備状況
  • この写真は緑地整備の事例です。上の写真は緑地の整備前・整備後の写真です。こちらは平成20年度に整備しております。
  • 下の写真は平成24年度に整備した広場になりますが、約700m2の広場を整備しました。こちらの広場は、町会さんの災害時一時集合場所として指定されており、設備も、ソーラー照明灯や緊急時の救出工具、災害用トイレ、かまどベンチ、収納ベンチ等を配備しております。
京島三丁目地区防災街区整備事業
  • また、建物の共同化と道路拡幅の基盤整備を一体的に進める防災街区整備事業を今年平成25年度7月完成目指して、約0.2haの規模で進めております。(施行:都市再生機構)
京島三丁目地区防災街区整備事業
木密地域不燃化10年プロジェクトについて
  • 東京都では、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえて、平成23年度から木密地域の改善を一段と加速させるために「木密地域不燃化10年プロジェクト」を立ち上げました。
  • このプロジェクトの中で、特に改善を図るべき地区を「不燃化特区」と定め、従来よりも踏み込んだ積極的な対策を図り、都と区が協力し不燃化を強力に推進することとしました。
木密地域不燃化10年プロジェクト
  • 墨田区では京島周辺地区と鐘ヶ淵周辺東地区がこの不燃化特区に指定され、事業の実施期間である平成25年度から平成32年度まで、安全・安心なまちづくりに向けた集中的な取組みを行ってまいります。
  • 京島周辺地区は、平成23年度末現在、面積は約40ha、不燃領域率は約53%となっております。鐘ヶ淵周辺東地区は面積は約39ha、不燃領域率は約42%となっております。
  • 10年プロジェクト推進事業の進め方につきましては、まず事業期間の前期、平成25年度~28年度につきましては、「まちづくりコンシェルジュ」を活用した権利者の方へのきめ細やかな対応により、不燃建築物への建て替え促進や安全な避難のための支援を行ってまいります。
  • 後期の平成29~32年度につきましては、地元合意が図れた箇所で大規模な共同化事業等を実施してまいりたいと思っています。その他に道路拡幅や市街地再開発事業等のコア事業の実施も行ってまいります。
墨田区木密地域不燃化10年プロジェクト推進事業の進め方
取組内容
1.まちづくりコンシェルジュ
  • 不燃化特区内の不燃建築物への建て替え及び優先整備路線の拡幅整備、こちらを促進するために権利者の意向に沿った建替え手法や生活再建策を提案し、支援していく総合的な相談窓口「まちづくりコンシェルジュ」を組織しました。本組織は、区やまちづくり公社、建築・法律・税務等の専門家によって構成しておりまして、積極的に地元に入って、権利者にアドバイスを行いながら、建替え等の促進を行って参りたいと思います。
2.まちづくりの駅
  • 「まちづくりコンシェルジュ」が常駐する現地事務所となります「まちづくりの駅」というものをまちづくり公社に設置しました。こちらは京島3丁目に事務所があります。こちらのまちづくり公社ですが、平成25年12月に京島会館:京島2丁目に移転する予定となっております。
まちづくりコンシェルジュ
3.10年プロジェクト不燃化助成制度
  • 不燃化特区内で一定基準に適合した木造を除く不燃建築物を建築した建築主の方に、助成金を交付します。この助成制度を建築主にご利用いただき、不燃化特区内の面的な不燃化建替を促進していきます。
  • 従前から墨田区では不燃化促進事業の助成を行っておりましたが、その内容に新たに建物の除却費・建築設計費等を加えました。
  • ただし、こちらの助成については、燃えないまちづくりを目指すということで、木造建築物の方は対象外となっております。
  • 助成額につきましては、基本助成額150万円、その他に対象となる方につきましては以下のような加算助成があります。
10年プロジェクト不燃化促進事業
   
  • 不燃化の建て替えを行われた方には、仮住まいとしましてコミニュティ住宅を利用していただけます。
  • また、不燃建築物に建替えを行った方に対して、都の税制が優遇されることも積極的にPRしてまいります。
4.アクアサポート
  • 道路整備や建替え促進はすぐに進むものではありません。そのため、ハード整備に併せて震災等が発生した場合の住民の避難時の安全性を確保するために、初期消火に寄与する消防水利の確保や、狭隘道路の防災機能の向上、避難時の輻射熱対策の整備を行うなど、まちの安全のトータルコーディネートを行ってまいります。
  • 例えば、京島地区内にあります既存の事業用地を活用しまして、防災井戸を掘ったり、路地尊:雨水ポンプの増設による雨水利用の促進、防災無線ラジオの配布等、災害時の防災力向上のための策を検討してまいります。
  • 防災施設の設置、施設整備に関しましては、今後、消防署や防災課等関係部署や地元の町会、まちづくり協議会等と協議して整備を行ってまいります。
アクアサポート
10年プロジェクトにおけるコア事業 エリア別の取り組み
1.曳舟周辺拠点エリア
  • こちらのエリアは曳舟駅の周辺となりますので、駅前にふさわしい安全性と拠点性を備えた地域全体の安全性向上に資するまちづくり、を目標に定めました。
  • 事業方針としまして、共同化による建物の不燃化や高度利用の推進及び一体的なオープンスペースの創出を目指していきます。
  • 加えまして、駅前広場等の公共施設整備を推進することで災害時にも安全な拠点の形成を目指していきます。
<コア事業>
  • 京成曳舟駅前東第三地区第一種市街地再開発事業
  • 京成曳舟駅前東第二北地区第一種市街地再開発事業(予定)
2.押上通り沿道エリア
  • このエリアにつきましては、幹線道路沿いの延焼遮断帯の形成を実現するため、共同化・街区再編の誘導により地域の安全を守るまちづくりを目標に定めました。
  • 整備方針としましては、都の事業による道路の拡幅事業によって生じる残地等を活用した共同化の誘導や、街区再編に関する規制誘導の導入を検討してまいります。
  • 沿道建物の不燃化及びまとまりのあるオープンスペースの創出を推進し、延焼遮断帯機能の向上を目指していきます。
<コア事業>
  • 補助線街路326号線街路事業(曳舟たから通り)  幅員11m→17m、延長128m
  • 放射32号線街路事業(押上通り)  幅員11m→20m、延長860m
  • 特定整備路線に定められました「押上通り」につきましては、幅員が20m、延長860mの事業となります。「曳舟たから通り」につきましては、幅員が17m、延長128mの事業となります。
3.密集市街地エリア
  • こちらのエリアにつきましては、従前より密集事業を行っていますが、10年プロジェクトを契機に、道路の拡幅整備や建替え・共同化の促進による、住環境の安全性を高めるまちづくりをより促進してまいりたいと思っております。
  • 整備方針としましては、道路:優先整備路線の拡幅整備事業及び、建替え更新や共同化等を推進する補助事業の導入や、積極的な人材投入を検討することによりまして、特に不燃領域率の低い当該エリアの不燃化の推進を目指してまいります。
  • また、災害時の安全な避難に対する支援策を行う等、住環境の安全性の向上を目指します。
<コア事業>
  • 京島三丁目地区防災街区整備事業

質疑応答

質問1
  • 用地買収費が大部分だと思いますが130億円の事業費の用途を教えてください。
墨田区
  • 用地買収費とコミュニティ住宅の建設費、広場の整備費等で利用させていただいています。
質問2
  • まちづくり事業用地の約13000m2のその後の利用について、おおよその用途を教えていただきたい。
墨田区
  • 道路買収の部分と広場の部分とコミュニティ住宅の建設に使用しており、買収した土地はほぼ事業用地として活用しています。
質問3
  • 「押上通り」等の街路事業については、いつごろまでに具体的にどういう形で拡幅しようとしているのかを教えていただきたい。
墨田区
  • 「押上通り」ですが、都施行になりまして、特定整備路線の完成を平成32年度までに都の方も積極的に進めると聞いています。事業認可も下りているので、今年か来年ぐらいから用地買収に入って行くのではないかと思われます。もう一つの「曳舟たから通り」の方はあと数件で用地買収は終わりますので、平成27年度までには市街地再開発とあわせて道路整備の方も完了する予定となっております。
質問4
  • 緑地整備をした後に災害時の一時避難場所として使うことは良いことだと思いますが、普段はどういった使い方をされているのかを参考までに教えてください。
墨田区
  • 普段は、街の方々が自由に出入りできるような公園・広場というかたちで使っております。そして、いざとなったときにそこに集合できるような状態にしております。
質問5
  • ちなみに、災害地の一時避難場所として使用する際の色々な災害用の器具等を置いてあると思いますが、普段のメンテナンスはどのようにされていますか。
墨田区
  • かまどベンチがありますが、消耗品については、1回目は区の方で用意しましたが、2回目以降は町会さんの方でご用意していただくようになっています。あと、救助工具といったものは収納ベンチの中に収容しておりますが、空けられたら危ないので、鍵を近所の方と町会の防災担当等にお配りしておりまして、いざとなったら空けていただいてご利用いただくようになっています。

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