美団地九州 シーサイドももち

コンセプト
景観に溶け込む美しいスカイライン。
地域にひらかれたオープンスペースが豊かなももちの美団地
from 福岡県福岡市早良区百道浜
福岡の副都心でありながら、海や川などの自然や文化施設に恵まれたももちにある3つの美団地。住棟の輪郭線はベイエリアの景観に美しく溶け込み、パブリックアートやオープンスペースが充実した見どころ満載の団地です。
シーサイドももちにはイイ顔がある!(サウスステージ)
ももちの南の玄関口です。
街路樹が整えられた団地内のオープンスペースは車路と歩行者路をひとつにして広がりを感じさせ、室見川を臨む静かな環境にありながら、住まう人が集う広場として賑わいを見せています。すべての住棟は南向きで陽当たりもよく、高層棟から見える川の眺望も抜群です。
シーサイドももちにはイイ広場がある!(イーストステージ)
これぞももち!ヤシが彩るリゾート街区。
海を感じるベイエリア、副都心、充実した文教地区というロケーション。そして、ドーム周辺から敷地内へと続く「ふれあい橋」は歩行者橋として親しまれています。団地内に目を向けると、街角広場や地元学生デザインによるゲートが設置され、コミュニティ形成の場としても機能しています。
シーサイドももちにはイイアートがある!(センターステージ)
ももちアートと暮らしませんか?
住宅棟と表通りをつなぐスカイデッキ「エアロギャラリー“デューン”」(※)は地域にひらかれたパブリックスペースでもあり、ストリートファニチャーや国内外の作家によるアート作品が数多く設置されています。住棟は周辺と調和した美しいスカイラインを描き、そのシンボリックな外観もまた見どころです。
- ※スカイデッキ「エアロギャラリー“デューン”」…住宅棟と施設棟を2階部分でつなぐ人工地盤。
団地のシーン
足を向ければリゾートが佇んでいます。
マリゾン、福岡ドーム、福岡シーホーク、そして福岡タワー。日常の中でリゾートが広がるシーサイドももち。ここに住むことで得られる豊かさは、想像以上かもしれません。

シーサイドももち 当時の設計記録をご紹介します。
古くから大陸文化の受け入れ口として重要な役割を果たし、海とともに発展してきた福岡市に昭和62年度から建設されている「シーサイドももち」の計画および設計記録の概要をご紹介します。
(シーサイドももち アーバンデザインマニュアルより一部転載)
はじめに
平成7年のユニバシアード開催にむけて福岡市によるシーサイドももちのまちづくりが進められました。海に開かれたアジアの交流拠点都市を目指す福岡市は、平成元年に、平成12年を目標とした第6次福岡市基本計画を策定し、この中で博多湾を海の玄関口とするウォーターフロント計画を大きな柱として展開しました。福岡市の中心「天神」から西方約4kmに位置し、国際化、情報化の進展や市民意識の多様化など新たな時代のニーズに対応した住宅、文化・スポーツ・レクリエーション機能やそれと調和した、情報・商業・業務施設等これらの諸機能が複合合流する21世紀を目指した“まちづくり“を開発のコンセプトとした計画が進められています。

シーサイドももちにおける埋立事業概要
シーサイドももちは、地行地区と百道地区の2地区からなり、公有水面埋立法に基づき、福岡市が施行した埋立事業です。事業期間は、昭和56年1月の公有水面埋立免許出願をスタートとして、平成6年完了予定で進められており、現在では、土地処分もほとんど終えている状況です。

【住宅用地】
戸建住宅、中高層住宅等、都市の種々なライフスタイルに応じた多様な規模、様式の住宅を供給し、魅力と活気あふれるまちづくりを進めます。
【情報文化施設用地】
博物館や図書館などの文化施設や福岡市がアジアの拠点都市をめざすうえで必要な国際交流施設などを配置して、国際交流の機会や文化情報収集・創造の場を提供します。
【情報業務施設用地】
産業・経済の国際化や情報化の進展に対応するとともに地域経済の活性化を図るための、ソフトウェアなどの情報関連産業や研究・研修機関の集合化を行うなど情報業務施設を配置します。
【スポーツレクリエーション施設用地】
余暇時間の増大に伴う都市型スポーツ・レクリエーションの需要に対応するとともに、都市の個性化、活性化を図り、21世紀にむけて大きく飛躍していくために必要なスポーツ、コンベンション、観光施設などの大規模な都市型レクリエーションの場を提供します。
【住宅複合サービス利便施設用地】
生活関連施設やカルチャーセンターなどの生活文化施設を配置するとともに、これらの施設や各種店舗などを複合した都市型住宅を配置します。

シーサイドももちアーバンデザインマニュアル
福岡市は、シーサイドももちの“まちづくり”の基本的なルールについて、共通した認識をもつことが全体として整った街並みをつくるだけではなく、それぞれの建物のデザインなどの個性、創意を主張するためにも不可欠であるとして、「シーサイドももちアーバンデザインマニュアル」を作成し、シーサイドももちの美しい“まちづくり”の道しるべとしています。
その中で、「集合住宅地区」では下記のような項目を実施しています。
- 外観の後退
敷地境界線に沿った外壁を後退することによって、ひろがりがある街路空間やゆとりある地域環境を共同してつくりだします。とくに道路沿いでは、それぞれの道路の性格や沿道の土地利用にあわせ、豊かな植栽、解放された広場、憩いやにぎわいを演出する屋外ファニチャー等を設け、うるおいのある歩行者空間をつくり「シーサイドももち」らしい街並みの表情を演出します。

- 街角の広場化
地区の玄関口となる交差点、地区内緑道の主要交差点角地を広場として解放します。主要交差点のイメージアップを図るとともに、にぎわいや憩いの場として魅力的な街角広場をつくります。モニュメント、シンボルツリー、屋外ファニチャー等の配置をふくめ、街並みの結節点として積極的な演出を工夫します。

- 街並みの形成
連続する壁面やスカイライン、また住棟形態の高さの変化を演出し、遠くからのランドマーク、街角のアイストップとしてのポイントを魅力的に形づくることなどによって街並みに魅力ある変化をつくります。
- 屋外照明
適切な照明計画により、夜間の歩道通路等外部空間の安全性を確保すると同時に、夜の雰囲気を演出します。とくに沿道の利便施設等については、明るいショーウインドウや透視性シャッターなどによって、夜のオモテ通りのにぎわいある表情を演出します。

シーサイドももちにおける住宅計画
シーサイドももちの土地利用計画では、住宅用地28.5haで、3,000戸を目標としています。その中で、賃貸住宅は、約1,200戸で、公団賃貸住宅はそのうち約60%、739戸を計画しました。
公団の事業概要
当公団は、シーサイドももちにおいて、3地区(イーストステージ、サウスステージ、センターステージ)で約900戸の住宅と、約54,000m²の施設を計画しました。
- イーストステージ
イーストステージは樋井川沿いに位置し、公団として最も早く建設を行ったところです。シーサイドももちでの初の供給となることから、需要予測を検討する中で、土地の高度利用を図りつつ、様々なライフスタイルに対応した都市型住宅からなる良好な住環境の実現をめざして賃貸住宅2棟97戸、分譲住宅3棟157戸、計254戸の建設を計画しました。勾配屋根やアースカラーの外壁、ブロンズ色のサッシ等のカラーコーディネートを行うことにより海や樹木、周囲の建物との調和を図りました。敷地形状に応じた建物高さを採用し、また一部に採光・眺望に優れた雁行型住棟を採用することにより、スカイラインに変化を持たせ美しい建物群を構成しています。
- サウスステージ
サウスステージは室見川沿いにあって、シーサイドももちの南側を東西にはしる幹線「荒津豊浜線」に面した、シーサイドももちの西の入口とも言える立地にあります。周辺建物との調和に配慮して賃貸住宅3棟219戸を計画し、3棟とも全戸南向きとして採光を確保しました。幹線道路沿いに位置する団地の顔となる14階建住棟はバルコニー形状や外壁面の仕上げを低層部・中層部・高層部で分割することにより巨大感・圧迫感を緩和し、周辺の景観との調和を図りました。
- センターステージ
センターステージは、まさにシーサイドももちの中心部分に位置し、シーサイドももち全体に活力を与え、魅力的な生活環境形成の場を提供する施設の集積を図る地区として位置づけられていました。公団として、その開発基本構想に合致した、地域社会に密着したまちづくりを目指して開発方針を策定し、その方針に基づき賃貸住宅423戸と市街地分譲施設を計画しました。住戸の日照等に配慮して南側に配置された住宅ゾーンと北側の地行百道線沿いに配置された商業業務施設ゾーンをスカイデッキ上の広場で接続し一体的な都市空間を形成しています。建築基準法上は1敷地1建物と扱われているが消防法上はスカイデッキに吹き抜け等の開放性を担保することで別棟と扱われ消防設備を設置しました。その他、地区計画区域として壁面線の後退(3・5M)及び駐車場附置義務があります。住宅ゾーンにおいては、九州支社初の20階建超高層を配置することにより高密度化とオープンスペースの創出に努め、センターステージ全体のスカイラインに配慮したシンボリックな外観としました。周辺への巨大感、圧迫感の緩和を図るために水平・垂直方向に変化をつけて面を分割した建物ファサードとしています。



団地配置図
