街に、ルネッサンス UR都市機構

川原川・川原川公園

概要

川原川は陸前高田の市街地を流れる河川であり、震災前の骨格が残る数少ない場所です。大規模なかさ上げによる大きな高低差を解消するための緩傾斜河岸は河川空間と周知の街並みを滑らかにつなげながら、街中からごく自然に水面に近づける環境を形成しました。また、復興公園などにもつながっています。
所在地:高田地区(岩手県陸前高田市)

第3回復興設計賞

受賞年度:2021 主催者:復興デザイン会議
受賞物件名:川原川・川原川公園
共同受賞者:
(発注者)岩手県・陸前高田市・UR都市機構
(監修)吉村伸一
(県設計)アジア航測株式会社
(市設計)株式会社オリエンタルコンサルタンツ・清水・西松・青木あすなろ・オリエンタルコンサルタンツ・国際航業陸前高田市震災復興事業共同企業体・緑景・共立設計設計共同体

【講評】
川原川公園を横断する小規模な橋梁群は、見上げの視点からも丁寧にデザインされ、くぐり抜ける楽しさを生み出しながら、震災前の橋の位置に設置された潜り橋と共に公園の遊歩道のシーケンスを豊かなものにしている。河岸は捨石処理やバーブ工などによる多自然型の処理によりサケの遡上や大量の魚の群も観察される状況が生まれるなど、山と海が一体となった豊かな生態系をもった水辺の空間を生み出している。こうした魅力にあふれた親水空間は県による河川整備と市による公園整備が組み合わされたものであるが、河川アドバイザーの存在や緻密な調整により、制度的境界線は全く感じられないものとなっている。また、検討時の市民ワークショップによる丁寧な聞き取りにより生活と水辺の関係が再構築され、新たな風景のデザインが成功している。

2022年度 土木学会デザイン賞 「最優秀賞」

受賞年度:2022 主催者:公益社団法人土木学会景観・デザイン委員会
受賞物件名:川原川・川原川公園
共同受賞者:
吉村伸ー/山本陽/阿部勝/永山悟/片山直/菊地博/本間崇志/岡田裕司/小久保英博/工藤容子/中茂政/井上大弥/川原川・川原川公園に関する県・市合同会議/岩手県大船渡土木センター/岩手県県土整備部河川課/陸前高田市/アジア航測株式会社/株式会社オリエンタルコンサルタンツ/緑景・共同設計 設計共同体/清水建設・ 西松建設・ 青木あすなろ建設 ・オリエンタルコンサルタンツ ・国際航業陸前高田市震災復興事業JV/株式会社板宮建設/株式会社岩辰/株式会社たかしん興業/株式会社佐賀組/株式会社寒風/川原川ファンクラプ/高田地区コミュニティ推進協議会/高田保育所

本作品は、川原川と川沿いに配置された公園を一体的な空間としてデザインし、嵩上げされた街とつなげるプロジェクトである。
造成盛土によって川の深さは震災前の3倍(8~9m)にもなる。本作品におけるデザインの核心は、深くなる川を身近な生活空間に転換する空間デザインである。深さを感じさせない、水辺に近づきたくなる川がつくる複雑な形と生き物の賑わい、均一ではない多様な形の川、川から見える氷上山や広田湾の眺望、これらを統合した空間の形を目指した。河川と公園を組み合わせただけでは「統合空間」は生まれない。「川でもあり公園でもある街の空間」を創造するべく、川と公園の境界は決めず、統合設計の結果として川と公園の境界が決まっていった。ただしそこに空間としての境界はなく、川でもあり公園でもある空間をデザインした。
ここまで川を活かした復興事例は他にないであろう。川原川は陸前高田の自然・文化・記憶の継承の軸である。

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