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街みちネット 第21回見学・交流会「神田警察通り賑わい社会実験について」

これまでの活動の紹介

活動議事録

講演2「神田警察通り賑わい社会実験について」

独立行政法人都市再生機構 都心業務部 千代田区エリア計画課長 三木 弘之 氏
はじめに
  • はじめに配布資料の説明をさせていただきます。
    緑色のパンフレットは公共空間、道路空間と駐車場空間を使った社会実験のご案内資料です。地図になっており、12個のアイディアと実験を行った場所がプロットしてあります。参加型ということで、関心のある方や神田に勤めていらっしゃる方などにチームを作っていただいて実施しました。このちよだPFSの近辺にもいくつか実施した場所がありまして、神田駅に向かって東へ行きますと、路地を使って社会実験を行った場所があります。
    赤色のチラシは昨年の6月にアイデア募集をした時の物です。80名集まっていただき、皆様非常に神田に関心が高いということがわかりました。
  • もう一つは昨年の10月の末に行った社会実験の当日の様子です。神田は土日、人がいなくなってしまうのですが、千代田区の小学校や幼稚園にご協力をお願いし、呼びかけていただいて、土曜日には子どもさんに集まってもらって野球教室を行いました。それから、縁結びパーティーとして路上で結婚式、ストリートウェディングをやりました。地元の町会の方、よそから来た方もいて、一緒になって楽しい成功体験ができたと思います。
    本日は、この社会実験開催に至るまでの2年間、継続的な取組みの内容をご説明させていただきます。
社会実験2017実施までのプロセス
  • 先ほどのご説明の中で東京電機大学の北千住への移転のお話がありましたが、その際に北千住のURの土地と神田の大学の土地を一部交換したこともあって、千代田区さんから警察通りのお仕事への協力を依頼されたところから7年ほど、神田警察通りの沿道整備に伴う協議会のお手伝いもさせていただいています。
    この社会実験は、ガイドラインを実現していくためのチャレンジといいましょうか、公共空間を使って、まちの活動を喚起していくような目的があります。車中心の道路を人と賑わい中心の道路に転換するというのが、コンセプトとしてしっかり方向づけされている1番大きなポイントだと思っています。
  • また、神田警察通りを軸として多様なまちづくり活動を喚起し連携するために、エリアに関わる様々な人たちが連携してまちづくり活動をしていくというのも、一つのコンセプトの軸として社会実験の企画をしました。
    これまでの2年間のうち初めの2016年は、いわゆるきっかけづくりとしてのミニ社会実験、パイロット版として、4車線のうち1車線のコーヒー屋の前だけで、パークレットという空間体験を試みました。これは2カ所実施しました。
  • それから、デンマークのゲール・アーキテクツに来ていただき、共立女子大の学生さんも行動調査に参加していただいて、一緒にゲールの調査手法でエリア調査を行いました。
    さらに、トークセッションとして、東京R不動産の馬場さんとゲール・アーキテクツとのインスピレーショントークの後に、みんなでワークショップをして、未来の神田を語りましょうということをやりました。
神田警察通り賑わい社会実験について
  • 実施後は、町会長さんにもお声かけをして、報告会を行っています。その中での主な論点は、神田らしいヒューマンスケールのまちのよさ、まちの将来像共有の必要性、それから、複数の再開発が進行していますけれども、拠点開発進行による大手町化の懸念、危機感を持っているというご意見がありました。また、多様なプレーヤーの連携する場づくりが必要じゃないかとか、いわゆる神田らしさとか、継承すべき神田のまちの魅力とは何なのかというようなことが論点として出されました。
    2017年に向けては、「神田らしいまちの将来像の共有」と「多様な関係者による連携」が重要ではないかと、目標化をしております。
神田警察通り賑わい社会実験について
  • 神田の中での私どもURのポジションについては、どうエリアに関わって行けるのか、いろいろ悩ましいところもありつつ、内部で議論を行いました。「警察通り沿道整備推進協議会」を構成するのは、町会、地権者、商店街と、千代田区、民間デベロッパー、URですが、この中でURは行政と民間デベロッパーの間で調整役であったりします。千代田区、民間デベロッパー、URの3者の中でやっていく事も結構多いのですが、地元が主体的に関わる場面では、地権者さんたちで構成する街づくり協議会のような場が必要となります。神田というまちは平日と休日で使われ方が全く違っていて、住民も少ないですし、住民以外にも来訪者、オフィスワーカー、商業者という少し外側に見える関わり方、それから、中小ビル、リノベーションといった非常に特殊な関係性というのも、実はまちの方向性を決めるにはすごく重要なところであります。ここでこれらをどの様に関連づけ、交流をしながら進めるかは、欠かせないポイントと考えます。
  • それから、お茶の水が近いこともあり、学識の会議体というのもあって、いろいろなアイデアが議論されていたりしますが、そこにURとしても積極的に関わり方を大事にして行こうと、いろいろな関係者を繋いでいくというのがURの役割だと考え、とても大変だけれども、やっていかなければいけないだろうと思っています。
  • 神田というところは多様性があり、個性もありますが、ただバラバラにそれぞれが成り立っているような印象もありまして、ビジョンといっても、何か形を求めるとか再開発したいということではありません。神田のお祭りはみんなで共有しているものですけれども、それ以外のところで、ものすごく少ないかもしれないけれども、将来に向けて何か共有するものを導き出していければなというのが、この社会実験の一つのビジョンです。
    2017年の社会実験の企画は、いろいろな方が関わるということを意図しておりまして、社会実験実行委員会を先ほどの沿道整備推進協議会にご提案する形で、実務はURがやりますので地域ぐるみでやっていきましょうと、実行委員会を組織させていただいています。
  • それから、アイデア会議参加者として募集しました、神田在住・在勤者の方やイノベーターの方、前年度のワークショップの参加者、それから企画支援企業としてデベロッパーの方など、様々な得意分野のある企業に協力をいただいて、アイデア会議・講評会を行いました。地域の町会の方から講評会でご意見をいただいたり、東京大学と共立女子大学にアドバイスをいただいてスタートしました。
  • アイデア会議は参加型プロセスで進めています。チームをつくり、チームミーティングを行い、アイデア講評会では4名の町会長からご意見をいただきながら、12個の企画アイデアを現実できるよう企画調整を行ってきたというのが今回のチャレンジです。
神田警察通り賑わい社会実験について
  • 実施予定場所(1)(神田錦町)というのが今日の会場(ちよだPFS)の辺りで、子供を含んだ多世代を対象とし、町会の方々や、多世代の方が交流することをイメージした、縁結び学校という企画でした。
    実施予定場所(2)(内神田)は路地を活用してお酒を飲む場所を設け、夜の楽しみというような演目が多かったと思いますが、中にはアートですとか、野菜を作るなんていうこともやっています。ベンチプロジェクトでは実験期間中道路空間上にベンチを置いて、誰が座るかなど効果測定を行いました。
神田警察通り賑わい社会実験について
社会実験の視点や狙い、効果測定について
  • 社会実験を行うに際して、勝手にやってもらってもいけませんので、参加者にはアイデア会議で共有した神田のことを考えていくという基本的な方針や視点を持っていただいています。神田らしさ、パブリックスペースの活用、地域との連携、エリアの個性という4つです。
神田警察通り賑わい社会実験について
  • テーマ・企画・効果測定の関係を図に表わしていますが、社会実験の狙いは、(1)神田にかかわる人をつなぐ、(2)パブリックスペースの新たな可能性を探る、(3)先ほどの人と賑わいの関係で賑わいのシーンづくりをする、の3つの軸であり、12個の実施プロジェクトがいずれかに合うように考えていただいて、さらにこれから出てくる効果測定の結果を見て、これに沿ってできたかどうか検証を行う予定です。
神田警察通り賑わい社会実験について
神田らしいまちを継承するためのビジョンと方策づくり
  • 今はまだ、社会実験の様な取組みをやりながら、エリアマネジメントの構築やビジョンづくり、共有というところを合せて、まちづくりを進めていく初期の段階だと思っています。まちの皆さんには関心を持っていただいてきていますけれども、こういった議論にはまだまだ時間がかかるでしょう。
神田警察通り賑わい社会実験について
  • 今回の仕掛けの部分での実行委員会と企業の役割分担ですが、警察協議や、区道の道路専用協議に関しては、URで担当しています。企画支援企業は12の参加者チームに対して、協賛をしながら企画の支援をする形で、住友商事、安田不動産、大丸有協議会がそれぞれエリア分けをしながら、お金を出し、コンテンツの支援をしていただいています。また、得意分野協力企業として、(株)コトブキや大日本印刷(株)のように特色・得意分野がある企業に参加していただいて成り立たせたものもあります。
  • この2年の社会実験を通じて、必ずしもよい意見ばかりではなく、反省点も多くあります。特に今回は、急に大きくやり過ぎたために、手が届いていない部分も非常に多くあり、大変反省をしているところです。しかし、社会実験は継続してやるということと、事後にきちんと評価をして次のステップにつなげていくということが大事なことであると感じ、また次に繋げていきたいと思っています。

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