街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第14回見学・交流会「世田谷トラストまちづくり の地域資源活用の取り組み・ワークショップの進め方」

これまでの活動の紹介

活動議事録

「世田谷トラストまちづくり」の地域資源活用の取り組み・ワークショップの進め方
ワークショップの進め方

世田谷トラストまちづくり 浅海課長
  • 今日のワークショップのテーマを一言で言うと、新しいものをつくるだけのまちづくりではなくて、まちの中にすでにあるいろんな地域資源、それを活かしながらのまちづくり、その未来像を今日皆さんで一緒に考えてみましょう、そんな感じのワークショップです。
  • 最初にプログラムを簡単にご紹介します。最初に僕のほうで、世田谷トラストまちづくりの地域資源活用の取り組みというのを幾つかご紹介したいと思っています。今日3カ所行きましたけれども、そことわれわれ財団との接点も触れられるかなと思っています。その後のワークショップの進め方は、最初にステップ1として、グループごとに地域資源、まち中のこういう地域資源はこれからのまちづくりでこんなふうに活かせるんじゃないか、そういうアイデアを、今日の各現場とか、私がこれからお話しする事例紹介なども踏まえながら、触発されて、皆さんにもっと発想を広げていただきたいなと思っています。そのアイデアシートというのを皆さん1人1人につくっていってもらおうと思っています。ステップ2では、集まったアイデアをグループ内で共有化した後、それを実現していくためにこれから必要なこと、大切なことは一体何なんだろうということをグループで話し合って、「地域資源を掘りおこし活かすための3カ条」にまとめていただきたいと思っています。それをステップ3で、全体で発表して、少し意見交換をする。全体の流れはそんな感じになっています。
  • 今日見学していただいた施設の運営者の方々もそれぞれ入っていただいて、一緒にディスカッションに加わっていただきます。
浅海課長

世田谷トラストまちづくりの地域資源活用の取り組み

世田谷トラストまちづくり 浅海課長
  • 我々がやっている事業の発想として「自宅をまちに開く」というようなキーワードになってくくられる事業があります。みんな各々が持っている資源を少しずつ分かち合うことで、徒歩圏の中でコミュニティキッチン、菜園・果樹園、子どもたちの居場所、DIY工房・ミニカレッジ、ギャラリー、茶室、そういうものができたり使えたり、そんなことが可能になるのではないか。実際、われわれの事業の中でそういう場所が生まれています。
  • ちょっと試算してみたんですけれども、 900人に1人、そういう自宅をまちに開く人がまち中にいたとしますね。そうすると、世田谷は90万人の人口がいるので、 1,000カ所、そういう場所が生まれます。1,000カ所あると、64小学校区ごとに15軒ずつそういう場所が生まれるとなると、カレンダーをつくると、月の半分はまち中を通ったら楽しいことが起こっている、そんなまちになるというイメージがあります。
  • それで、いまここ10年ぐらい力を入れて、庭や屋敷林の活用、自宅等の活用をやっていますが、今約50カ所。あと、950カ所を目標。がんばりたいと思います。事業を紹介していきたいと思います。

庭や屋敷林の活用(小さな森)

  • 「みどりをつなぐ、人をむすぶ」ということで、50平米以上の庭や緑地を協力いただいて、年に数回、オープンガーデンをしていただく。そのオープンガーデンの開催を我々が支援するという事業です。現在、10カ所あって、NPOのグリーンワークスという方々に協力いただいて、簡単な園芸講座をしながら庭を開いていく、そんなことをやっています。オーナーさんが手作りクッキーでご近所の方をお出迎えしてくださったり、ボランティアの方が一緒に手伝ってオープンガーデンに関わってくださっています。
  • 一つ、資源だなと思っているのは、お庭なので、果樹がいっぱいあるんですね。都市公園だと果樹はあまり植えられていないと思うし、あったとしても、勝手に採って食べてはだめというルールになっているんだけれども、私有地ですから、特に都会の子が触れられないようなものに触れながら、たとえば干し柿づくりなどをやっているんですけれども、そういう新たなまち中の緑の活用方策というのがあるんじゃないか、そういうふうに思っています。
  • それぞれのオーナーがそれぞれの個性でお出迎えをして、ちょっとお茶が出て、小さなコミュニティが再生される。そしてまちに波及効果が出る。実際、現場に行ってみると、「お久しぶりですね」そういう感じでみんな声を掛け合っているんですね。まち中に暮らしていても、暫く会わない人が、こういう場所があると、そのときにまた出会って、新たなつながりができて、新しいことが生まれるきっかけになる、そういうふうなことがあるんだろうというふうに思います。
小さな森のプレート
庭や屋敷林の活用(市民緑地)
  • これは国の都市緑地法の制度を活用していて、300平米以上の緑地、あるいは屋敷林をお持ちの方、世田谷だったら、たとえば竹林とか、旧家のお庭とかがあるんですけれども、そことわれわれが契約を結びます。その場所を毎日、一般に公開する。民有地なんだけれども、みんなの憩いの場所になる。
  • 我々はそこの場所の維持管理をボランティアの方々と一緒に行い、オーナーにとっては、固定資産税が減免になる。相続税も、もし20年以上の契約を結んでいただくと、土地評価が2割減、8割評価になる。そんな制度で、いま13カ所、そういう場所が生まれています。北烏山、これは旧家のお庭。地域団体も別の団体の方々が毎年節分の豆まきの日に、鬼のお面をかぶって、子どもたちをお出迎えする。 200人来るようなことになっています。それから国分寺崖線の斜面林で、竹の子ご飯、冬のお餅つきなどをしながら、ボランティアの方と一緒に守っていく、そういう活動もあります。それから竹林。世田谷はかつては竹の子の産地だった。そういうことがありまして、ただ、間伐しないと、すぐ荒れてきてしまいますので、そういうことをやりながら、春には竹の子掘りをする。そんな使い方をしています。それから成城のまち中の洋風庭園もあります。こんなような場所で、ここはご近所の高齢者施設の散歩スポットにもなっています。
市民緑地
自宅等の活用(地域共生のいえ)
  • お庭、屋外空間にプラスして、家を開く、そういうのを「地域共生のいえ」という事業で行っています。どういうものかというと、あなたのご自宅を地域に開いて、何か地域のために役立てませんかと、僕らが厚かましい呼び掛けをしている事業です。そういうのに応えてくれるオーナーさんがいたりするんです。いま全部で16カ所(平成26年12月現在17ヵ所)、そういう場所が生まれています。ちょっとした看板があったりします。それから家を開くための開き方を一緒に考えましょうということで、専門家だったり、NPOの方を派遣するということをしています。ただ、開いた後はオーナーの方ががんばってということで、金銭的な支援があるような仕組みではありません。
  • いま空き家が3軒。空き部屋が3軒。それから時間的な住み開き、週末、土曜日の午後だけは子どもたちの居場所にできますよという場所が8軒。それからアパートの建て替えとか、ご自宅の建て替えにあわせて、NPOの活動拠点だったり、地域の井戸端みたいなものを生み出したりというのが2軒ぐらいあって、トータルすると16カ所になります。
  • 僕らは3段階の支援ステップを持っていて、呼び掛けとしては、あなたの無理のない範囲でまちに開いて地域の居場所をつくってくださいということを言っています。まず一番目の支援としては、いろいろな思いの方がご相談に訪れますので、そのお考えを伺って、その活かし方を一緒に考えるまちづくりの専門家、NPOを紹介、派遣する。それで、使い方をオーナーさんと一緒に考えます。
  • でも、オーナーさんはそれだけだったらまちに開くと、知らない人がどんどん家に来て、困ったことが起こるかもしれないという不安があります。だから、二番目の支援として試行支援というものをやっていて、お試し期間を設けます。このときも専門家の派遣をして、たとえば運営体制とか、利用ルールを一緒に考える。一緒にお手伝いする人なんかもそこで見つけたりということもやります。それで、オーナーさんがこれだったらいけそうだと思っていただくと、三番目の開設支援で、地域へのお披露目ということで、「地域共生のいえ」のプレートが玄関先に飾られて活動が始まるということになります。
  • 特徴は「地域共生のいえ」憲章というのをオーナーさんに考えていただいて、どういう思いでその場所を地域に開いているのかというのを自宅の一角に飾っていただきます。
  • たとえば「岡さんのいえTOMO」の憲章は、「子ども時代によく立ち寄ったなつかしい昭和の家が開きました。思い出の詰まったこの家を取り壊すのは忍びなく、きれいに改装し、地域の皆さんに使っていただけるように準備しました。たくさんの子どもたちが集っていたこの家がまたかつての賑わいを取り戻し、生き返るようにゆっくりと育てていきたいと思います」となっています。
  • こういうようなことが発信されて、場所が使われることになっています。ここは空き家になった一軒家で、乳幼児を連れたお母さんたちは、子どもたちが自由にハイハイしたり遊んでいても大丈夫な集いの場というのがなかなかまち中になくて、そういう場所の一つになっているということです。
地域共生のいえ
  • 「椎の木」は、地域の高齢者施設に晩年お母さまがお世話になったので、そこのご恩返しをしたいということで、施設らしくない、ご自宅に帰ったかのような時間を施設の入居者と過ごしていただく場所になっています。
  • 「茶論ONECOIN」は、地域に孤立した高齢者がないようにということで、ご近所ネットワークで、レコード鑑賞会、社交ダンス、健康マージャン、日々さまざまなプログラムを提供しているお宅です。
  • 「ルツの家×おでかけひろば@あみーご」は、一軒家の1階部分の居間と庭を子育て支援をするアミーゴというNPOに提供されていて、区のお出かけ広場という事業にもつなぐことができて、そこからNPOの活動助成が得られているということになっています。
  • 開き方はオーナーの生活リズムに合わせて、それから家主の運営、共感する区民サポーターの支えによって運営されています。区民サポーターというのは大学生、団塊世代、NPOなど、さまざまな人が得意技を活かしているという形で運営されている場所になっています。
自宅等の活用(空き家等地域貢献活用相談窓口)
  • それから平成25年から「空き家等地域貢献活用相談窓口」というのを始めました。「地域共生のいえ」とちょっとコンセプトがかぶっているところもあるんですが、「地域共生のいえ」はオーナーがみずから自宅をまちに開くというオーナーのまちづくりという意味合いが強いんですね。「空き家等地域貢献活用相談窓口」はオーナーさんが持っている空き家の物件を地域団体につなぐ、そういうようなことを始めた事業です。これは世田谷区の事業をわれわれが受託してやっているという形になっています。世田谷区内には3万 5,000戸の空き家があります。この事業では地域交流や福祉的活用、広域的活用を目的としています。一応、法令遵守というのを活用の対象としています。相談窓口はオーナーの掘り起こし、活用希望団体とのマッチング、それからこういう取り組みを広げていくためのモデル事業の実施ということをやっています。
  • これまで、去年の7月からことしの8月まで1年1カ月ですけれども、34件の問い合わせがあって、ビルの1室、旧商店、旧診療所、この辺までは想定していたんですが、銭湯、倉庫、牧師館、そういう当初想定していなかった場所も相談に来られています。
  • 「シェア奥沢」は大正末期に建てられた空き部屋活用でコワーキング、音楽会、講座、シェアキッチンをやっている奥沢の事例です。モデル事業になった場所です。「タガヤセ大蔵」はいま見学してきた安藤さんの物件です。それから「グリーフサポート世田谷」これは集合住宅の1室、約110平米を死別した人の深い悲しみ、体験者に寄り添いサポートするNPOの活動拠点として使わせていただいているという例です。それから「きぬたまあそび村」は、きょうは代表の上原さんがいらっしゃっていますけれども、見てのとおり子どもが真ん中の居場所、そういう場所を地域でつくっている。もう一つ、「いいおかさんちであ・そ・ぼ」、これは地域の子ども、ママさんを支える昭和のお家ということで、二子玉川から歩いて15分ぐらい、音楽会とか、子どもプラス子育てのお母さんたちのための、月に2回の場所になっています。
タガヤセ大蔵
公益信託世田谷まちづくりファンド
  • まちづくり助成の「まちを元気にする拠点づくり部門」というのがありまして、これは国から 5,000万円、基金にお金をいただくことができたのをきっかけにつくった部門で、1件当たり 500万円ずつの助成をして、まちの活動を活性化させる拠点づくりをしようということで始めたので、いま10カ所、こういう場所が生まれています。公有地とか、民地がありますけれども、きょう訪ねた「楽ちん堂カフェ」はその10カ所目です。
  • 「やごの楽校」は都立の芦花公園の中にこういうようなビオトープの池をつくった団体が、その観察小屋だったり、公園の案内拠点、活動拠点づくりを支援したという例です。それから「のざわテットーひろば」、これは高圧線が通っている下の細長い敷地に住宅計画があったときに、隣の方がそれは嫌だなと思って土地を買った。ただ、子育てをするボランティアグループに貸したいということでした。それで、いまこういう場所になっています。道路側から見て、真ん中に建物があって、敷地の裏側に行くと、こういう土のプレイパークがある。そこで、NPOスタッフ2人が週5日常駐して子どもの遊びをサポートしているという場所になっています。おやつの時間があったり、育児を勉強するような会が開かれたり、そんな場所になっています。それから「楽ちん堂カフェ」、「イクツアルポック」、これは先ほど見てきたとおりです。
楽ちん堂カフェ
世田谷の地域資源とその活用
  • 世田谷の地域資源はいろんな空間資源があると同時にいろんな人材資源があります。そもそも市民活動が活発な地域柄なのです。そういうものを掛け合わせることで、いろんなまちづくりの可能性があるのではないかということです。
  • これからは、そういう地域資源をマッピングしながら地図に落として、まちづくりを発想していくというようなまちづくりの進め方があるんじゃないかと思っています。
  • そういう地域資源の創造的活用によってコミュニティの再構築、多様化する都市課題への対応、公助自助システムへのオルタナティブとしてのシェアによる社会イノベーション、大上段に掲げるとそういう可能性があるのではないかなと思っています。
  • これからワークショップですが、リソースコンバージョンデザイン(RCD)によってリジリアントコミュニティディベロップメント(RCD)を考えていきましょうと。つまり、いろんな課題対応力がある柔軟なまちにしていきましょう。“RCD”ということで、これからワークショップ、プレイボールになります。リッチな発想でこれからをデッサンしてみましょうということです。よろしいでしょうか。

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