街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第10回見学・交流会「コレクティブハウス聖蹟」

これまでの活動の紹介

活動議事録

コレクティブハウス聖蹟についての説明

CHC高田氏
コレクティブハウジングとは
  • コレクティブハジングは共同生活と言っても、すべての人が一緒に何かやらないといけない訳ではなく、一人でいても、緩やかに人とつながっている暮らし方である。
  • 各住戸には、水回りも確保されて、その中で暮らしを完結できる。住戸の他に共用スペースとして、共用のダイニング、キッチン、ランドリー、屋上菜園もある。そういうハードと、生活の一部を共同化して暮らすのが、コレクティブハウジングの暮らし方である。私たちNPOはそのような暮らし方を提案しているが、コレクティブハウスには、単独の建物もあり、マンションのワンフロアだけのハウスもあり、色々な形がある。
  • 「価値観の同じ人が集まっているのか」ともよく聞かれるが、共通項はあるだろうが、みんなが同じ生き方や考え方をしていることはあり得ず、それぞれの暮らし方がある。コミュニティとプライバシーのバランスが取れた空間と仕組みがある暮らし方をコレクティブハウジングと私たちは呼んでいる。
  • 事業主、大家さん、地主さんなどは、かなりの金額を銀行から借りて事業を始めるが、建物が完成して、本当に人が入ってくれるのか不安を抱えている。一方、居住者の方も、どういうまちで、どんな暮らし方をしたいのかが大事なことなのに、実際は、家賃、駅から何分、広さなど、数字だけで住まいを選ぶことに不満や不安を感じている。そういった居住者と事業主さんたちを、私たちが間に入ってコーディネートして、三者が対等の関係で賃貸住宅を作り上げるのがコレクティブハウジングである。
自主管理や家賃について
  • 居住者組合という、全員参加の任意団体でここを自主運営している。管理人は存在しない。もし問題があれば、我々外の者が口を出すことはなく、自分たちで解決していく。このハウスは、賃貸住宅だが、計画段階から居住者と地主さんたちが一緒に参加しながら、プランニングや暮らし方を考えているので、ハウスに対する愛着度は、普通の賃貸とは全然違うのではないかと思っている。
  • 家賃は、住戸家賃の他に組合費が聖蹟の場合は月1万500円、他に入る時に、組合への出資金として1人当たり25万円いただいている。大きな備品、什器は、事業主さんが用意するが、食器、家具、カーテン、ブラインドなどを出資金で買う。退去する時は全額お返しして、次に入る人にまた同じ金額をお払いただいて運営をしている。
  • 家賃は、周辺相場と変わらないように設定している。住居に加えて、コモンスペース分も居住者が負担しており、金額はハウスの大きさや住戸の数によって違うが、大体家賃の13~20%ぐらいとなる。コモンスペースの分も負担していると言っても、ここは20戸に対してコモンスペースが110㎡あり、その全てを24時間365日いつでも使えると考えればとてもお得になる。小さな家にお住まいの若い人も、お友達が来るとコモンスペースで過ごすという使い方をしている。
  • このハウスは個人事業主による国内で初の新築一棟建てで、郊外型のハウスとして、多世代の暮らしをしている。年齢構成は、10歳以下の子どもが8人、30代、40代の人たちが多く、ファミリーも独身の方もいらっしゃる。それと60代、最高齢が70歳となっている。居住形態は、一人暮らしの若い方から70代までが全体のほぼ半分となっており、親子、家族などのファミリー世帯が30%くらい、他にカップルがいらっしゃる。20戸しかないのに東京都の世帯構成とほぼ同じ構成となっている。
居住者
  • ここは2階のみのコンバージョンで、上の階に区分所有の分譲マンションがあり、その方たちの組合もあるので、この改修に当たってかなり厳しい注文があった。価値が変わってしまうからということで、一切外観は変えないということで、サッシ類は全て元のまま、バルコニーもない。ただ、その厳しい条件の中、設計の提案を居住者とやり取りし、事業者も乗ってくれるというような形で、比較的気持ちよく改修できた。中の付き合いより、上とのつき合いの方がよほど難しい。
  • このハウスでは、4つのハウスの中でも、特に地域に開くという主旨の活動を何年にもわたって丁寧に続けてきている。だから大分認知度が上がっており、告知をしていないと、外からイベントをやらないのかと言われることもある。地域に突然舞い降りてきたような人たちが地域との関係を作っていくというのは、本当に時間がかかるし、簡単ではないが、それも4年もやっていると、かなり地域との繋がりができてくる。そういう努力をしているという特徴がある。
居住者
入居前
  • 大家さんとは契約前にも一緒に聖蹟の街歩きをしていただいた。大家さんのお持ちだったアパートが建替えにあたり、地域の方ともつながりがあるような賃貸住宅にしたいということで、コレクティブハウスを選ばれた
  • 賃貸だが、建物の模型を作って、必要なものやしつらえについて、まだ居住するかどうかわからない人も含めて月2回ほどのペースでワークショップで話し合いをした。建設予定地にロープを引っ張って線を引き、完成後をイメージしたり、各住戸内の水回りの位置やハウス周辺の植栽のことなども細かく話をした。それから、住まい方や、コモンミールの食材のことなども話し合いをし、インテリアについても、インテリアコーディネーターにも入っていただいて、家具の配置を考え、ショップめぐりをして選んだ。キッチン用品も合羽橋に行って揃えた。「仲間集め」のチラシも自分たちで考えて作成して、駅前で配布した。
  • 大人数の食事を作ることはみんなあまり経験がなかったので、コレクティブハウス巣鴨のキッチンをお借りして、お試しコモンミールを行い、メニューを考え調理し、巣鴨の方とも一緒に食事をするということもした。
  • 建物の周辺も、どのように魅力的に植栽していくかを緑のコーディネーターの方にも入っていただいて、参考になる建物などを見学・勉強しながらみんなで考えた。
  • まだ多摩市に引っ越していない頃に、多摩市の助成金申請のプレゼン発表会に参加した。結局、助成金はいただけなかったが、他の参加者にコレクティブハウスに興味を持っていただけたので、参加した意義はあったと思う。
  • 居住予定者が、コレクティブハウスの地鎮祭や上棟式にも出た。大家さんの自宅のお庭にある蔵でみんなでお食事をしたり、タケノコ掘りをさせていただいたりと、交流をさせていただいた。
  • 玄関の引き戸は、設計者が秩父の骨董屋さんで見つけたもの。各住戸のイケアのクローゼットは、引っ越してきた居住者が、順番でみんなで組み立てた。
コレクティブハウスでの生活
  • 子どもたちは広い廊下で遊んだり、夏はかき氷大会をやったりしている。大人は、オープン当時は夜な夜な、誰かが仕切る訳でもなく、自然に飲んで話をしたりしていた。
  • オープニングパーティでは、建設にかかわった方々をお呼びして、手料理でおもてなしをした。
  • 2階にあるガラス細工は、既に退去された居住者のお友達のコーディネートで居住者が協力して作った。パーティでプロのミュージシャンに演奏していただいたこともある。毎年七夕は、階段の所に笹を置いて、大人も子どもも願い事を書いている。花火大会の時はみんなで場所取りをした。クリスマス会もやっている。年末年始は、ご実家に帰らない方は、料理を持ち寄ってテレビを持ち込んで、年越しをみんなで過ごし、年が明けると、近くのお寺に鐘をつきに行った。屋上やロフトのテラスでバーベキューをやることもある。
  • 楽しむばかりでなく、もちろん暮らしについて、みんなで真剣に考えている。毎月1回定例会の時には、庭の手入れをしたり、コモンスペースなどをみんなで一斉に1時間かけて掃除をしている。
  • 組織としては、対外的な係とハウス内の係に分かれていて、みんなが必ずどちらかに所属して、誰かがいなくなっても、次に入ってきた人もできるような仕組みづくりをそれぞれのグループがやっている。
  • 定例会では、毎月グループから議題を1つと、各個人が気になることも挙げて、話をしている。
  • コモンミールは、最初は毎日やりたいと思ってやってみたがとても大変だったので、今ではできる日を表に書き込む形にして、月半分ぐらい実施している。今は、メイン、サブ、片づけの3人体制でやっている。
  • 掲示板には掃除当番表、戸締り当番表、水やり当番表などが貼ってある。
  • 定例会だけでなく、定例会で出た議題なり、問題なりについてワークショップなどで深く掘り下げて話し合う時間を持ったりしている。
  • お隣にお住いの生け花の先生が月に1回来て、お花代だけで、教えていただいている。
  • コモンミールは食べる場所も時間も自由だが、ファミリーや休日はコモンスペースで食べる人が多い。

質疑応答

CHC高田氏
  • では、質問を考えていだたく間に、簡単に自己紹介を。
居住者
  • コレクティブハウスのことを知ったのがちょうどプロジェクトがスタートする時期で、タイミングが良かったので、最初から参加している。
居住者
  • ここができる半年ぐらい前からワークショップに参加して、完成と同時に入居して、家族5人でファミリータイプの部屋に住んでいる。
居住者
  • 夫と赤ちゃんの3人で住んでいる。このハウス自体は、この間3周年パーティがあったが、私たちはこの9月で2年になった。
質問1
  • 入居の募集は不動産業者経由か。
CHC高田氏
  • 不動産業者は経由せず、NPOで毎月3回行っている居住希望者へのオリエンテーションで、ここでの暮らしや基本的なことをご説明しハウス訪問していただく。既存のハウスに入居したいという方には、空き住戸があればハウスをご案内して、居住者がハウスの暮らしをご説明して、コモンミールなどに参加していただく
  • その他に、すぐではなくコレクティブハウスを作るワークショップから参加したいという方も、会員としてかなりの数いらっしゃり、グループを作って活動をしている。
質問2
  • 助成金とか補助金など、行政との関わりはあるのか。
CHC高田氏
  • ハウスの建設に関しては、一切ない。
居住者
  • 行政との関わりではないが、地域では、この辺のお祭りに参加したり、あと、サンマルシェといって、公園での手づくりのお店の集まりに、こちらのコレクティブハウスとして出店して、ここのハウスの暮らしを紹介したり、そこで色々な人と関わりをもって話し合うということをしている。 たまたまこの周りには自治会はなかったが、ご近所の方とのつながりがあって、お庭の木をいただいたりしている。自分たちの暮らしが落ち着いてきたので、ワークショップで今後地域とのかかわりを持つようにしていきたいなという話し合いはしている。
質問3
  • コレクティブハウジング社への質問で、建替えのタイミングで事業をやられたということだが、家主さんを見つけるのが大変なのではないかと思ったが、それはどういうネットワークから。
CHC高田氏
  • 特にネットワークはない。事業者からの問合せはあるが、基本的なところですれ違ってしまうと後で難しい。この事業に賛同いただける地主さんや事業主さんとお会いするには、見学会に来ていただいたり、あと、知りたい方オリエンテーションを行っており、最近はそちらに事業に関心のある方は参加していただいており、そこから広がっていっている。
  • 居住会員の方は自分たちで資料を作って、近くの地主さんから問合せがあったら、お見せしたり、話し合いをしたりしている。ただNPOに登録して、地主さんがあらわれるのを待っているということではない。
質問4
  • 高齢の方も一人暮らしをされているということだが、もしこれから介護が必要になったら、介護保険を利用しながら、しばらくはコレクティブハウスに住んでいけるのか。
居住者
  • 60代、70代の人が多いので、事前ワークショップの時からそういう話が出ているが、具体的にどうするかまではまだ決まっていない。若い層のほうが、方法を模索できないかという意見が多く、逆にご高齢の方は、ここで役割を担って普通の居住者としてやっていけなくなった時は出るべきという方もいらっしゃるので、まだこれから具体的に話していかなくてはいけない。
質問5
参加者
  • この辺りは、昔から高級な住宅街があり、河川も水がきれいで、環境がとてもよいが、この場所が気に入られたのか。こういう場所でなければ、次の物件を待とうという考えもあったのか。
居住者
  • 最初に巣鴨を見たが、聖蹟の環境が非常に好きである。結婚をして引っ越してきたが、単身だったら都内など、便利なところを選んでいたと思う。ここでこういう暮らしをして、子供たちが前より伸び伸びしているのは、場所の環境もあると思う。私自身もここがすごくいいと思っている。
居住者
  • うちは、全然土地勘がなかったが、大家さんがこの辺を案内してくださる街歩きに参加し、あと、ワークショップで2週に1回通ってくるうちに慣れてきたということがあると思う。
質問6
  • 後から入られた居住者の方に伺いたいが、慣れるまで、でき上がった関係性の中に入ってくることに戸惑いはなかったか。
居住者
  • 最初はとてもあった。性格にもよると思うが、最初は慣れないのと、仕事をしていたので、ミール以外はあまり接することがなく、人と話す機会もなかった。部屋にいたければいられることはいいところでもあると思うが、逆に、なかなか慣れなくて、部屋に閉じこもったこともあった。でも、イベントや、日常、一緒にミールを作ることで関わりがどうしても出てくるので、徐々に慣れてきた。
質問7
  • 仕組みに結局慣れなくて、出ていかれたという人は。
居住者
  • ワークショップにずっと参加されていた方で、入居したが、仕組みだけでなく、個人的な事情もあって、やっぱり違うという方はいらっしゃった。だが、オリエンテーションやハウスを実際に見に行って説明を受けて、コモンミールにも参加されて居住者とも話をして居住されているので、思っていたのと違ったということはそんなにないのかなと思う。
CHC高田氏
  • 入居を決めるまで、こちらから催促することは一切せずに本人の意思を尊重し、入居の気持ちが決まったらまたご連絡くださいというやり方をしている。皆さん時間をかけて考えてお入りになるので、全然違ったということは今のところはないのでは。それまで住んでいたマンションの処分などの個人的事情で数ヶ月で出られた方がいらっしゃったが、あとはあまりない。
  • 意外に思われるかもしれないが、賃貸なので、出入りはかなりある。この暮らしを選んで、ワークショップで長い時間をかけて作ったのだから、長く住んでいると思われるかもしれないが、普通の賃貸と同じくらい、平均3年ぐらいで変わる。コレクティブハウスに住んでいても、結婚、離婚、親の介護、転勤などの事情は皆さん同じなので、人の出入りはかなりある。
質問8
  • 入居の催促はしないということだが、大家さんにしてみれば空いていれば収入がないということか。
CHC高田氏
  • そうだが、ありがたいことに、催促するような大家さんは今のところいない。
  • 普通の賃貸事業だと、隣近所に同じような物件ができればそちらに移って、古い方は人が減り、3年、4年たつと家賃を下げないといけなくなるが、10年たっているかんかん森もほとんど家賃を下げていない。つまり年を経るほどコミュニティは醸成されていき、ここの暮らしの価値は保たれていくので、入居率が下がることはない。事業主さんからも早く空き住戸を埋めてくださいとは言われない(様な役割分担になっている)。
質問9
  • 高齢者の方は、民間のアパートは最初から断られるケースがいまだにあるが、ここはそういうことはないと考えていいのか。
CHC高田氏
  • 高齢者だからお断りすることは一切ない。例外はあるが、保証人は要らないし、家賃が払えるかどうかの審査もあまりしていない。組合で連帯保証しているので、高齢だからといってだめだということはない。家賃が払えるという確認だけできれば。
  • あと、シングルマザーの方が、不動産屋から、男性の保証人を立ててほしいとと言われて、苦労していると聞くが、ここはそんなことはないので、シングルマザーの方たちも各ハウスに何人かいらっしゃる。
質問10
  • 20戸という規模は、お住まいになっていてちょうどいいか、もう少し小さい方がいいのか。
CHC高田氏
  • 20人が小さいということはない。一番小さいのは巣鴨の11戸、大きいのがかんかん森の28戸で、人数は大人が40人近くいる。40人だと学校の1クラス分ぐらい。クラスのみんなの顔は知っているが、みんなが仲良くというわけでもなく、ほとんど口をきかずに卒業した人もいるという感じに似ているかも。それくらいが限界で、それ以上、50人、60人になると、コミュニティとしては難しいかも。あと、役割分担がどうか。11人だと、あっという間に、10日に一遍役割が回って来る。
居住者
  • 他のハウスの状況はわからないが、何人かが退去されて大人の数が減ると、とたんに当番が早く回ってきてしんどくなるので、通常は多過ぎず少な過ぎずという感じなのかなと思う。
CHC高田氏
  • つながりぐあいの強さ、弱さも、その人の好みがあって、あまり強くつながらないほうがいいという人は、規模の大きいかんかん森を選ぶし、もう少し家庭的なほうがいいという人は規模の小さい巣鴨を選ぶ。それぞれ感じ方は違っているのではないかなと思う。
居住者
  • あとはバランスで、同じ20人でもここは多世代なのがとてもありがたい。例えば、20人が全部子育て家庭、全部高齢者ばかりとなると、また話は違ってくるような気がする。
質問11
  • シェアの相手は、選ぶのか。自分で連れてくるのか。
CHC宮前氏
  • 小学校つながりが多い。
CHC高田氏
  • 相手とはもちろん他人だが、選ぶ、選ばないはしない。シェアは水回りスペースだけの問題で、自分の部屋には鍵もかかるので問題ない。

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