街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第7回見学・交流会「関西圏における密集市街地改善の取り組み」

これまでの活動の紹介

活動議事録

関西圏における密集市街地改善の取り組み
関西圏の密集市街地の状況について

田中 啓介 氏
密集市街地の整備改善の現況
  • 大阪府下で重点密集市街地は約2300haで、豊中市、門真市、寝屋川市、大阪市に集中している。兵庫県下では約300haで、神戸市の臨海部と山麓部に集中しているという特徴がある。
  • 成り立ちについては、大きく分けるとインナーエリアと都心エリアの2種類がある。インナーエリアは大阪市の縁辺部にあたり、戦後、高度経済成長期にベッドタウンとして急激に都市化が起こった。 特に昭和35~45年にかけて若年労働者が郊外部や地域都市から移り住んできた人の住宅が建設され、道路等の都市基盤が未整備のまま過密住宅地が形成された。都心エリアは主に大阪市内であり、 JR環状線の外側の戦災を免れた地区で、戦前からの長屋が密集しているという状況である。
  • 門真市は昭和30年~40年代にかけて人口が4倍になり、京阪電車の古川橋駅の北側の地区は、農地にそのまま木賃住宅(関西の木賃住宅の特徴として文化住宅が7~8割を占める)が建てられ、 あぜ道がそのまま道路になった。現在でも狭い路地の両側に文化住宅が建っている状況が見られる。
  • 文化住宅をデベロッパーが買い取って3階建てのミニ戸建にしたり、上下二戸一化して貸したり、模様替えをして分譲しているケースもある。
  • 堺市の新湊地区には、紀州街道沿いに門型長屋形式(トンネル)の入口があり、裏路地沿いに長屋が続いている密集市街地がある。 大阪市海老江地区では長屋と長屋の間が風情のある石畳の路地になっており、メンテナンスも良くされて、住み続けられている長屋もある。

都市機構西日本支社の取り組み

田中 啓介 氏
密集事業・防災公園事業について
  • 密集事業は完了5地区、事業中2地区である。また、都市機構は防災公園事業を全国で15地区実施しているが、その中で9地区、約6割を西日本支社のエリアで実施している。 平成7年の阪神淡路大震災以降、こういった防災公園に取組んでいる。
寝屋川市東大利地区について
  • 西日本支社の密集市街地の面的整備の第1号である。全体で約7,000?の地区で、従前は文化住宅と木造アパートが立ち並んでおり、 道路幅員が大体3m弱でそこに自転車やバイク、洗濯機などが置いてある状況だった。公団の賃貸住宅と民賃制度による共同化がトリガー的な整備となり、 周辺の民間の共同建替えが連鎖的に起こり、昭和61年から平成12年までに、399戸の木賃住宅が106戸のRCの住宅に建て替えられ、市は道路の拡幅と公園の整備を行った。
  • 民間の共同建替えは全て同じ設計事務所に設計・デザインを依頼し、デザインコードを決め、同じモチーフを使い、景観に配慮してトータルなデザインを意識して造られている。
東池尻コートについて
  • 阪神淡路大震災で倒壊した木造長屋の共同建て替えを行った事例である。コミュニティの保持のためお地蔵さんを残した。居住者の方に住宅として買っていただくためにグループ分譲制度を使っており、 元々の家主さんについては民賃制度で住宅を建替え、それを共同住宅として共同化を行った。

門真市本町地区における防災街区整備事業について

田中 啓介 氏
門真市における密集市街地整備の取り組みについて
  • 門真市の住宅市街地総合整備事業の密集区域は全体で461ha、門真市の市域の面積1,200haに対して、3分の1強が密集市街地という状況であり、 現在、市内で事業を完了している地区が5地区、事業中の地区が6地区ある。その中の1つの本町地区で西日本支社が施行者になり防災街区整備事業を進めている。
門真市本町地区の立地と従前の状況
  • 京阪本線の西三荘駅が最寄りであり、JR環状線の京橋駅から約7分、距離にして5km、大阪の都心までは10kmという、非常に都心に近いところに密集市街地が広がっている地区である。
  • 本町地区は最寄り駅から徒歩3分程度で、地区面積は0.5haである。密集市街地の整備は、地区内と地区の南側に木造の市営住宅があり、 平成12年に地区内の市営住宅を地区の南側に集約し高層に建替えるところから始まっているため、防災街区整備事業の着手時には地区内の市営住宅は既に更地になっていた。 昭和30年代に建てられた木造の公設市場の跡地もあり、こちらも除却されて更地になっていた。市営住宅跡地周辺の木造アパートの家主に声を掛け、 できるところから始めるということで事業エリアは不整形になったが市と一緒に整備を進めている。
  • 整備の課題としては老朽木造住宅の不燃化、主要生活道路の防災道路としての整備、防災道路に接続する避難路としての区画道路の整備があった。
整備の内容について
  • 土地利用計画は、区画道路を整備し、北側の市営住宅跡地は防災施設建築敷地とし、それ以外は民間地権者、門真市、機構、また、保留地としての個別利用区としている。
  • 整備の流れとしては、防災街区整備事業の認可前に申し出があった2人の権利者から従前の建物と土地を先に買収し、その後土地権利変換を行った。 防災施設建築敷地には5階建てのRCの分譲住宅を建設する予定である。残った保留地にあたる個別利用区については戸建住宅の建設を予定している。民間の個別利用区については権利者が賃貸住宅経営を検討している。
  • 整備効果としては、まず地域防災性の向上に関して、延焼遮断帯の形成については、市営住宅の建替え、防災街区整備事業により燃えにくい建物を軸として整備して行こうと考えている。 消防活動困難区域は、今回の整備により2.8haから1.9haまで減少する。良好な居住環境の形成に関して、市の開発指導要綱で戸建住宅の敷地規模が80m2以上とされているが、 この地区では100m2以上の敷地規模で戸建住宅を整備しようと考えている。また、現在デザインルールブックも作成している。
  • 事業スケジュールは、既に施行認可、権利変換計画認可、事業参画者の公募が終わっており、昨年の秋から道路の整備工事に入っている。現在の状況としては、事業参画者が決まったので、 この4月から防災施設建築物に着工し、来年の3月に事業の完了を目指している状況である。
  • 事業参画者の選定については、特定建築者として特定防災施設建築物の整備と、土地取得者としての保留地の取得及び戸建利用区の建設をペアで行うことを条件として参画者を募集した。
  • 防災道路は現況幅員2~3mから事業地区内に6.7mに拡幅する。歩道は段差をつけずに、車道と同じインターロッキング舗装を考えている。
門真市本町地区の従前の様子と整備イメージ

西日本支社の今後の取り組み

田中 啓介 氏
  • 神戸市と取組んでいる東垂水地区は急な斜面地で、地区内の通路は階段がほとんどという状況である。神戸市内の他の斜面地でも、 階段を自転車が通りやすいように工夫されているところなどもあるが、密集市街地の改善には至っていないので、今後、整備方針、整備計画を市と検討していく地区である。
会場の様子

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