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街みちネット 第7回見学・交流会「密集市街地改善に向けた最近の動きや取り組み事例」

これまでの活動の紹介

活動議事録

密集市街地改善に向けた最近の動きや取り組み事例
住生活基本法の見直しについて

羽入 久仁 氏
密集市街地の整備改善の現況
  • 最近の国の動きとしては、現在、住生活基本計画中で位置づけられている密集市街地の整備改善の内容が見直しの過程に入っている。現状で、重点密集市街地が全国で約8000haで、東京・大阪にそれぞれ2300haほどあり、現行の住生活基本計画では住宅の密集度、延焼危険性の解消率等が基準となる「最低限の安全性が確保されている市街地の割合」が平成14年の段階で0%というところを、平成23年までの10年間で概ね100%に持っていこうという目標を掲げていた。実際の進捗状況は、平成21年度の段階で約4割弱であり、平成23年度で100%は難しい状態である。
  • 密集市街地の成立過程については、大都市圏、地方圏など色々なタイプがある。住生活基本計画の見直しの中で住宅宅地分科会での議論では下記のような理由が挙げられている。
    1)地形等の特殊性、歴史的な側面(特に京都など)、斜面地など
    2)財政面、人、金、財政面を整えるのが難しい
    3)高齢化、若者の減少、特に漁村密集などでは人口そのものの減少による活力停滞
    4)行政と住民の危険性の認識のギャップ
  • これまで重点密集市街地の整備改善の1つの目標として、不燃化を大きなものさしと捉えてきたが、不燃領域率の計算の中では、狭あい道路の拡幅、行き止まり道路の解消、老朽建築物の除却等のきめ細かい密集市街地での対応が評価できないという実態がある。

密集市街地の整備改善の現況

羽入 久仁 氏
  • 今後は、(1)大規模、面的な基盤整備、公共施設整備だけではなく、きめ細やかな対策を密集市街地の改善の1つのものさしとして取り込んでいく必要がある、(2)ソフト的な部分で住民活動の強化等を評価軸の中に入れていく必要がある、という課題認識の下に、取り組みの整理を図っていく。
  • 今までは延焼危険性という1つものさしだけだったが、新たな評価指標では、避難困難性を加えることによって、仮に燃えやすい状態であっても逃げやすくなっていることで密集市街地の整備が進んでいるという評価の考え方を入れ込んでいこうとしているところである。
  • 逃げやすさは地区内の閉塞度合いで評価する。1つのモデル的な市街地を想定して、非常に狭あいな道路から地区周辺の防災環境軸や主要生活道路といった街区を形成しているような道路まで逃げられるかを、狭あい道路に面している建築物が崩れることによって閉塞してしまうことなども考慮し確率論的に算定する。
  • これまでの重点密集市街地に対して、地区内閉塞度という新しいものさしを加え、平成22年度に各地方公共団体にアンケートを行って密集市街地の洗い出しを行い、次なる10年間での重点密集市街地として位置づけられるところが約6000haくらいありそうだということがわかってきており、住生活基本計画の見直しでは、成果指標で平成22年の段階で約6000haあるものを10年間で概ね解消、面積をゼロに持っていこうという指標に置き換えているところである。
  • これまでは整備率というわかりにくい表現だったので、今回は面積数字で表現をして、「地震時等に著しく危険な密集市街地の面積約6000haを概ね解消」という成果指標を置いている。
住生活基本計画の変更に向けた今後の流れ
  • 現在、パブリックコメントを実施している。(「住生活基本計画(全国計画)の変更(案)」に関する意見の募集、平成23年1月27日から2月16日まで)その後まとめを行い、住宅宅地分科会でご審議いただき、3月中には住生活基本計画を閣議決定という形をもって国の計画として確定させる。

事例の紹介

羽入 久仁 氏
  • 今まで不燃領域率で評価できなかったきめ細やかな密集市街地の整備の取り組みの実例を紹介する。ここで紹介するのは、ハードとしてもきめ細やかなもので、ソフト的な要素も含まれている。
緊急避難路整備協定(東京都板橋区)
  • 板避難路を道路のように整備するのではなく、通路上で庭先や建物の間等を、緊急の際には避難に使っていいという避難協定である。密集法でいうところの避難協定と同じであり、地区内閉塞度の評価の段階でも、新たな評価として加えることが可能となる。逆に言うとこういう先駆的なソフト的な取り組みがあったので、それを何とか評価するために閉塞度を持ち出したという経緯もある。
緊急避難路整備協定事例(東京都板橋区)
老朽木造住宅緊急除却事業(大阪府大阪市)
  • 時限的な制度として実施されているものだが、老朽木造住宅が放置されて防災的にも防犯的にも非常に危険な状態にあるものを未然に取り除こうということで、除却に対して助成を行う取り組みである。通常、老朽住宅を除却した後の土地利用については、空地として確保するなどの制限がかかっている事例が多いが、この事例は跡地利用についてあまり制限がないことが特徴である。
袋路における避難の改善に向けた取り組み(京都府京都市)
  • 袋路の整備推進を図り、二方向避難の確保、あるいは逃げ道として安全性を確保する取り組みを行っている。こういった取り組みで避難の確率が上がれば、地区内閉塞度の評価も上がる。
歴史的な街並みに配慮する街並み環境整備事業(東京都台東区谷中、奈良県橿原市等)
  • 住市総の一類型だが、修景改善に対して国から助成ができるので、それに加えて地区内の基盤整備を行っていくものである。具体的には住宅・基盤整備だけではなく、公園整備や電柱地中化、道路美装化、修景整備の他にも、老朽建築物を改修することによって地域の公共施設として再利用することなどにも助成ができる。
街並み環境整備事業事例(奈良県橿原市)

住宅建築物の耐震化の予算の暫定措置について

羽入 久仁 氏
  • 目標としては、平成17年の地震防災戦略においては特定建築物の耐震化平成27年までに9割、平成22年6月に新成長戦略として閣議決定された住宅の耐震化については 平成32年までに95%という方針が決まっている。それに合わせて住宅の耐震化についても助成を引き続き行う必要があり、住宅建築物の耐震改修についてはこれまで国と地方で15.2%だった補助率の時限的な23%への引き上げが行われてきた。 平成24年までに着手する事業に限り、補助率は暫定措置であった23%が継続される。あるいは緊急輸送路沿道、または避難路沿道の耐震改修についての時限措置も平成24年度までに着手するものに限り延長される。
  • 平成22年度補正予算で住宅の耐震改修について、国からのサポートで補正予算を組んでいるところがあるので、各地方公共団体にお問合せいただきながらご活用いただければと思っている。
会場の様子

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