街に、ルネッサンス UR都市機構

審査講評 審査の風景

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審査講評

※敬称略

大西 みつぐ(写真家)

非常に内容が充実していました。復興中の工事現場の風景があったり、悲しみを象徴するような建物やモニュメントがあったり、お祭りがあったり、応募された皆様の目線で時の経過をきちっと伝えていこうという視点がはっきりしてきました。写真を上手く写そうとか、構図をしっかりしようとか、美しい色彩を表現しようというような技巧に走 ることなく、素朴に、ストレートに応募された皆様の現在を記憶して行くことが、この復興の歩みの記録として、しっかり息づいていくことだと思いました。

千葉 学(建築家)

震災から5年も経つと、被災地の方たちにとって極めて特異な状況だった造成や工事の 風景が、日常の風景になっています。その中にも、次に向かう気づきを積み重ねて行こうとしていたように感じられました。逆に、まちが復興され、被災地の風景が見えなくなってきている中で被災地の状況に、もう一度目を向けられるような作品も多くあって、震災から5年が経ったということが象徴されていたのではないかと感じました。

なかだ えり(イラストレーター)

復興の作品について、以前はインパクトの強い大漁旗とか、被災した船などが多かったと思いますが、震災から5年が過ぎて、日常を取り戻そうとした何気ない風景に被写体 が変わってきています。年月が経ち、被災した方も、被災地を訪れた方も含めて、少しずつ自然体に戻ろうとしている前向きな光のようなものが感じられました。また、「忘 れてはいけない」という被災地からのメッセージがあると思いますが、応募者の方からも“伝えたい”という心意気が感じられて非常に良かったです。

池邊 このみ(ランドスケーププランナー)

震災から5年が経ち、3年目くらいまでは復興というと暗い写真が多い中で、元気になるような、応援できる写真を評価していましたが、今回は海産物だとか、そこで働く若い方たちが、まさに復興が住宅や道路や構造物だけでなく、産業の方にも行き渡ってきたということが伝わってきました。また、スケッチについては非常にレベルが高くなって きた印象を受け、工事中の重機の音が聞こえてくるような作品、あるいは人々の産業に対する活気や喜びなどの生活が伝わってくるような作品に感動を得ました。

審査の風景

復興の歩み大賞(フォト)

「記憶と記録」

大西みつぐ
旅行へ行って普通にみかける風景にも見えますが、非常にしっかりした方向性があります。美しいトーンですが、その裏腹に恐さ、悲惨さを秘めてます。しかし、一縷の望みのように水面が光っていて、決して暗く閉ざされていないということを強く主張しているようです。
なかだえり
この暗い紺色の映像の中から、5年の悲しみから立ちあがろうという全てを感じ取れるような良い作品です。
池邊このみ
重機が写る松島湾というのは、地元の方としては違った思いがあって、非常に気持ちのこもった美しい作品です。
なかだ えり 氏

復興の歩み大賞(スケッチ)

「復興に流れる白滝 ~大槌風景~」

大西みつぐ
震災は全く今まで味わったことのない非日常だったわけで、人間が抱えるスケール感というのは非常に大事な物差しになりますので、こういうものの見方、風景のつかまえ方は大事だと思います。
千葉 学 氏
千葉学
独特な色調も含めて、まず目を引いた良い作品です。全く別の世界で、この地球上のものではない雰囲気になっていることも含めて、いい絵だと思いました。なかだえり 異様に感じる風景というのは、人間の力技を使わないと復興できないという力強さ、太陽と働く現場を入れることで、明るい兆しを感じる作品です。
池邊このみ
自分たちの今まで住んできたところとは全く違う風景がつくり出されようとしていますが、それを前向きに捉えて、自分自身へのエールも含めて捉えているところがすばらしいです。
池邊 このみ 氏

復興の歩み賞(大西みつぐ 選)

「虹色の橋かかる」

大西みつぐ
虹を捉えるというのは、簡単そうに見えて、難しいのですが、建物とのコントラストを際立たせるような構図をしっかり捉えている美しい作品です。また、復興の一つの希望を虹で象徴しているところが巧みです。
千葉学
構図が古典的な気もしたのですが、虹がかかる空にしては見たことのない色で、独特の雰囲気を出しています。庁舎と虹の組み合わせが面白いと思いました。
大西 みつぐ 氏

復興の歩み賞(千葉学 選)

「休 日」

千葉学
まさに重機があちこちでひと休みしているかのような風景で、あれだけの広大な造成地に点在している構図が面白いと思いました。色調としても面白くて、トラクターの重機が何となく人格を持っているようにも見え、とても興味深く思えました。
池邊このみ
重機はいろいろな面で復興を感じさせますが、住民の方にとっては、重機が動いていないときは、やや静けさを取り戻しているということも大切かなと感じました。

復興の歩み賞(なかだえり 選)

「僕らが頑張る」

大西みつぐ
練習船での水揚げを撮っているのですが、それを真ん中に入れて、単なる水揚げの風景だけでなく、それを見守る男たちの願いも含めて、画面にしっかりと伝えている作品です。
なかだえり
水揚げのシーンは、海に対して恐怖があったと思いますが、それを水産高校の若者たちがすごく楽しそうに大漁を喜んでいる。海に向き合い、前向に復興していこうという若者たちのエネルギーをすごく感じました。

復興の歩み賞(池邊このみ 選)

「命の道に血が通う」

池邊このみ
大船渡の中に道路が開通して峠越えの難所解消に至ったということで、まさに地元の方の気持ち、動脈に血が通うが如く、道路ができて、地域が生き返っていく様子を表していました。

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