街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第20回見学・交流会 質疑応答・意見交換

これまでの活動の紹介

活動議事録

質疑応答・意見交換

質問1
  • 百反通りの事業地には、地主さん、借地人さんは昔からずっとおられたわけだと思います。借地権割合が70%、80%と取り決められたとのことですが、最初の取っ掛かり、紐解きなどはどのような形で始まったのでしょうか。初めから割合などが決められたのか、かなり厳しいやりとりがあったのでしょうか。
UR都市機構 川島氏
  • 基本的には、品川区やURが先に借地権者の合意を得たものを、地主に「これでよろしいでしょうか」と伺いに行くような形だったと思います。70%というのは、この地区の路線価図に書かれている割合でしたので、それが妥当な数字であると示しやすかったのが一つ、また鑑定士にも間に入っていただき、合意形成が図られたと考えております。ただし、S造の堅固建物を所有されていて転出された方は、割と新しい建物でしたので、特にその方の合意がこの事業を進めるための一つの条件であったと思います。その方も含めて、堅固建物の方が10%上乗せの80%という内容を地主の方にもご了解いただきました。逆に保証料については、残存期間がある場合は返す、払い切り、など特に法律で定められているものではありませんのでいろいろな考えがあると思いますが、これを払い切りにしたことで地主側の合意形成が得られたと考えております。
質問2
  • 現地を十数年振りに見て、ずいぶん建替えが進んだのだなという感想を持ちました。日影規制についてお伺いします。東京都の条例で街並み誘導型地区計画を導入すると、自動的に日影規制が消えると思いますけれど、当時もそうでしたでしょうか。
品川区 神田氏
  • 正確には覚えておりませんが、地区計画の中で地区整備計画をかけることによって日影規制が自動的に消えるのは、再開発促進区と街並み誘導と記憶してございますので、その記憶に間違いがなければ当時からあったと思います。
質問3
  • 最近の街並み誘導ですと、地区計画の地区整備計画の中に日影規制の項目を新たに書き込んでいるところが多いと思いますが、戸越の場合は書いていませんね。ということは、商業地域は4階まで建てられる12mに高さ規制されていますが、その周りは日影規制が消えたままですから、従来の都市計画よりは日影が出ている事になりますが、特段住民から苦情はなかったでしょうか。
品川区 峰金氏
  • 日影規制は、確かなかったと思います。ただ、それに関して住民の方からの訴え等は今のところございません。当時まちづくり懇談会等の中で、様々な周知をさせていただきましたので、恐らく皆様からの了解を得て地区計画の内容を決めたと思いますので、当時の行政の担当やURも含め、皆さんでやっていただいた地区計画の導入に向けた合意形成の仕方が非常に良かったのだろうと、私どもは考えております。
質問4
  • 地区計画について、地区整備計画区域を段階的に広げていったとのことですが、どのような形で広げていったのか、経緯や範囲について教えていただければと思います。
品川区 峰金氏
  • 平成17年の拡大は、四ツ塚通りの少し南側の合意形成が取れたことで拡大したと聞いています。当時の資料が少なく、それ以前の拡大の経緯や範囲は詳しくご説明できず申し訳ございません。
品川区 神田氏
  • 現地見学の中で「ここがかつての協議会の事務所です」とご案内しましたが、地元のまちづくり協議会の会長は当時の町会長さんにお引き受けいただきました。非常にご熱心な方で、まちづくりについて様々な検討を重ねて参りました。その中で建替え促進を集中的にまずやってみようと、一番最初の範囲を決めました。広い通りに面している場所では余りメリットを与えることができないので、アンコの部分をとにかく攻めようというのが始まりでした。町会長さんと行政では立場は異なりますが、大勢の地元の方を相手に説明をするには、エネルギーも必要ですし人も必要になります。そこで、地元の方と協力してできる範囲は恐らくそのくらいだよねと、最初に決めた覚えがあります。その過程を見ていただき、随時「じゃ、私のところも」と要望がまいりましたので、すぐに範囲を拡大し、その後は私も中途で離れてしまったのでわかりませんけれど、地域からご要請があって広げていったということです。先ほどのご説明だと、残念ながらその後は話が来ていないということで、少々残念には思いますけれども、もし今後地域にそのような機運があれば、品川区には引き続き地区整備計画の範囲を拡大していくつもりがある、ということだと思います。
質問5
  • 私は北区に住んでおりまして、密集市街地が結構あるのですが、余り整備に積極的ではないような気がしています。本日戸越を見学して、街並み誘導型地区計画による幅員4mの確保は、まだ現状では結構細い道路だと感じたのですが、建替えの自然更新に任せるだけでなくもう少し積極的に進める意向はあるのか、もう既に積極的に進めているのか、どの様な状況でしょうか。
品川区 神田氏
  • 街並み誘導型地区計画はかなり前からある手法です。品川区では、確か文京区の事例を参考にさせていただいた覚えがあります。北区とは現在お付き合いをさせていただいていますが、結構熱心です。地元の方のまちづくりに対する意識やご要望がどこにあって、それに対する解決策にどのようなものがあるのか、という展開をしてく方がいいような気がします。密集事業は10年が単位ですが、10年出来ることはとても限られます。戸越の場合も東京都の木密事業から始まっている事業ですので、賃貸住宅が多く老朽化した場所で建替えを進めていこうと、始めました。その直後に阪神淡路で震災が起き、その後東北の災害も発生し現在に至る過程で、品川区としては賃貸住宅の建替えを進めることにより、不良なストックを新しいものに変えていくことに注力しました。併せて、二項道路でなかなか下がっていただけなかったところを下がっていただくには、とにかく建替えを進めないとだめなのだと。
  • 建替えを進めるにあたってこの地域で多かった阻害要因は、建主さんの高齢化でした。資金調達能力がなく、借金もできない年になってしまっています。一方で二世帯住宅、三世帯住宅の要望は多くあり、子の代がお金を出すことによって建替え、二世帯住宅を建てられる見込みがありました。そこで、二項道路でセットバックして小さくなってしまった敷地に、容積率が160%に抑えられている地区で、どうしたらまともな建物が建てられるかを検討するところから始まって、街並み誘導型を使えば容積率200%まで使える、これはいい手法だと。高さを抑え、壁面は後退する必要がある代わりに、総3階建ての家が建つことは、子の代を建主にした建替えがそれなりに進むのではないかと推測し「それはいいからやってみよう」と、地元の方と話して取り入れたと記憶しております。
  • 私が平成14年にこの仕事から離れた後、15年、16年当時に建替がどのくらい進んだかと聞いたら、いままでの倍で進んでいると返ってきました。品川区平均の建替え件数を戸越に置き換えますと、1年に1件となるのですが、地区内におよそ100軒ありましたので、それまでのペースでは全ての建替えに100年かかります。それをせめて50年にできないかと言うところでしたが、翌年あたりから2件建替えられた、という事なのですけれど。最近の実態については把握しておらず申し訳ありませんが、地区計画という手法により、密集事業が終わった後にも何か引き続きやっていただくという意味からも、一定の成果が上がってよかったと、地元の方と話していた、というのが当時のお話でした。
質問6
  • 整備計画の内容にプラスして何かの条件を満たすのが認定基準で、それによって緩和をするという仕組みになっていると思います。認定基準の内容は、どの部署を訪ねれば分かりますでしょうか。
品川区 神田氏
  • 地区計画に関して役割分担をしております。建築基準法関係の条例、認定許可の関係は、品川区取り扱いの案件は全て建築課が対応することになっております。認定基準そのものは、当時は住環境整備課というところと建築課が協議して、住環境整備課にもありましたが、現在の木密整備課には引き継がれていないようでして、私のいる都市開発課で引き継いでおります、属人的に引き継いでしまいました。建築課に行っていただければ間違いないです。中身は1点だけ、壁面後退によって下がった空中について、整備計画においては工作物の制限だけですから、認定基準で歩道状にして下さいという条件を付けております。50cm下がっていただける方は大体そのつもりで下がっていただいておりますし、品川区の場合、細街路整備事業をかなり昔からやっているので、後退したところを道路状にすることは地元の方の理解も高まっていると思います。もちろん建築手続き上条例化していますので、条例は守っていただき、プラスして道路状にして下さいという事です。

閉会の挨拶

首都大学東京 名誉教授 高見澤 邦郎 氏
  • 今日は大変沢山の方に来ていただき、企画した側として大変うれしく思っております。品川区の金子さん、峰金さん、神田さん、URの川島さん、戸越銀座商店街の亀井さんには、大変いいお話をたくさん聞かせていただきまして誠にありがとうございました。事務局の方々も、事前の準備は大変だった事と思いますが、立派な見学会になって良かったと思います。
  • 密集事業、あるいはそれ以前からすれば、もう30年近い歩みです。密集はいつ終わりになるのだろう、補助金をもらう事業が10年20年で完了したらお終いなのか、という議論が昔からよくありますが、戸越の場合はうまく地区計画に結びついて、それが今も機能しています。もう一つは亀井さんのお話にもありましたが、基本的には商店街と言うのは周りに住んでいる人たちのためのものですが、まちづくりは「住みたくなる様なまち」にならないとなりません。戸越は東京の住みたいまちにも度々取り上げられていると聞いています。確かに防災の面では木造の建替えは大事ですが、それとともに大切なのは「住みたくなるまち」であるという事ですから、我々もハードだけではなくまちの良さを更に活かして行くような仕事としていかなければならないと思います。
  • 今回が第20回目の見学会ですが、これまでの見学会の内容を見ますと「アートによるまちづくり」ですとか「環境共生のまちづくり」など、必ずしも密集ハードそのものだけではなく、まさに住み良いまちを作るという点に注目した見学・交流会が行われて参りました。会員の皆さんには、もし「こういうところを見たい」、「ここを見たら面白いんじゃないか」という事が思い出されましたら、ぜひ事務局の方にお寄せいただければ、またコア会議で議論して毎年2回の見学・交流会で順次取り上げていきたいと思いますので、一つよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。

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