街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第18回見学・交流会 質疑応答・意見交換

これまでの活動の紹介

活動議事録

質疑応答・意見交換

司会
  • ここからは、本日ご説明頂きました大内係長、中山主査、青木課長代理と、荒川二・四・七防災まちづくりの会会長の安部様、副会長の金田様、同じく副会長の加藤様をお迎えして進行いたします。
中山氏
  • はじめに荒川二・四・七防災まちづくりの会についてご紹介させていただきます。まちづくりの会は平成18年の3月に発足しています。会員は50名弱で、荒川二・四・七丁目地区の19町会から各1名以上と、小学校のPTA、消防署の方、公募会員から成っています。その中から年数回の協議会には出席できる方が出席しています。活動内容は、まち歩きを行って危険個所を確認したり、見学会を行ったり、毎年の防災フォーラム開催やまちづくりのアンケート調査を行ったり、まちづくりのルール=地区計画について話し合ったりしています。また年に数回ニュースを発行し、地区内全戸に配布をしております。
  • 最近の活動は、要素に分けると3つほどありまして、一つは防災まちづくりの意識を高めるということ、それから区の事業などの情報交換の場になっていること、3点目は区と地元の協働の場ということです。一例として防災まちづくりの意識を高めて情報共有をするために、昨年度「そなエリア」(防災体験学習施設)の見学会を開催しました。また情報共有の場としては区の密集事業の進捗状況などの説明があったり、地元から危険に感じられる個所の意見が出たりなどがあります。協働の場のひとつの例として、昨年度は不燃化促進用地の使用ルールを決めておりますが、アンケートをとり意見をまとめて決めていきました。先程も紹介ありましたように平成28年度は6月に1回協議会を開催しておりますが、その中で公園計画について区の方から注意点を伺ったり、公園の事例を紹介したり、意見交換を行っています。10月の本年度2回目の協議会では公園の事例見学会を予定しているところです。
  • 協議会の活動の補足や自己紹介なども含め、会長・副会長にお話をいただきたいと思います。
安部氏(荒川二・四・七防災まちづくりの会 会長)
  • 私はまちづくりの会3代目会長で、現在9年目です。私自身は生まれも育ちも荒川で66年経ちました。初代会長とは神社に関してかなりの活動をしてまいりました。荒川区南千住に素盞雄(すさのお)神社という神社があり氏子としての活動をしているのですが、神輿を行徳にある浅子という御神輿屋さんへ直しにだし、その際神輿を船に積んで隅田川を運びます。そして千住大橋で引き上げるという行事を行っていました。当時初代会長が実行委員長で私が補佐として活動をしていました。なんといってもお金がかかりますので、スポンサーを探しておりましたら手を上げる業者はいるのですが、荒川区と告げるとみな降りてしまい、最終的に就いてくれたのが1つの企業だけという、20年以上前の話ですが荒川区というだけで悔しい思いもいたしました。そんなこともあり、荒川区を良くしていきましょうという思いで、まちづくりの会で私もお手伝いできたらと活動しております。本日まちを回ってまいりましたが、狭い道が多く何かあったら危ないでしょうと感じました。また家も密集しており見てきた場所で何回か火事もございました。私は今消防団もやっておりますので、火事になると大変な思いをして消さなければならないこともございます。そういった中で、安心安全なまちを作るため、地区内のどこを整備したらよいのかということでルールを作ったりしています。
  • 今一番目に見える工事をしている所が「ゆいの森あらかわ」で、来年3月に出来るということで楽しみにしておりますが、そのためにまわりの道も6mに拡幅して、先程補助第90号線の話も出ましたが、急に計画が出てきたような印象もあり戸惑いもありますが、それはそれとしてまた街を良くしようと思い、計画に沿えるところは沿ってやっていこうと思っております。
  • 私の町会もまちづくりの計画に当たっています。小さな町会で、元々は200世帯ほどあったのですが現在は135世帯ほどしかありません。URさんが作ってくれた住宅(コンフォール町屋)がある場所には以前都営アパートがありまして、その都営アパートに90世帯ほどが住んでおりました。その方たちが尾竹橋の方の都営アパートに移りまして、またアパートが出来上がったら戻ってくるつもりで皆さん引っ越したと思うのですけれども結局都営アパートがとん挫しまして、URになったのですね。そういうわけでコミュニティもなかなか難しいところで、URさん(コンフォール町屋)が20数世帯みなさん町会に入ってくれればありがたいのですけれどなかなか難しく、今2世帯が入ってくれていまして、全体で135世帯です。それがだんだんと増えて町会に馴染んでいただければよいなと思っております。安心安全なまちづくりのために少しでも活躍できればと思っております。
加藤氏(荒川二・四・七防災まちづくりの会 副会長)
  • 今、会長の話にもありましたが、荒川・三河島というところはちょっと皆が助け合いの精神を持っている部分があるのですね。私事で恐縮ですが、娘が大学を出て、一般企業に入ったのですが、たまたま課長さんがその会社の地元のお祭りに誰か参加しないかと言うと誰も手を挙げない。そこで娘が手を挙げその後毎年参加し5年くらい経つと、部長さんが君はいい教育を受けている、引き受けてくれるのは君だけだ、会社のイメージが上がったと言われたという話がありました。荒川はちょっと大げさな所もありますが、お節介とかお陰様とかそういう精神があります。防災で自助共助公助という言葉がありますが、阪神淡路の震災で6千人のうち4千人が2時間で亡くなったということを聞きますと、近所の人の助け合いがとても大切だと思い、荒川区のそういう気質は誇りを持って良いところだと思います。
金田氏(荒川二・四・七防災まちづくりの会 副会長)
  • 私は今年の4月から荒川中央町会の町会長になりまして、防災まちづくりの会も4月から副会長として参加しています。今日の会も主旨が分からずに来ている様な勉強途中でありますが、町会長も何か月かやって非常に感じていることはあるのですけれども、町会は360世帯、町会員は170世帯、下町ですのでいろいろなお考えをお持ちの方が集まっている。お役所や国、あるいは都さんが立派な計画をやってらっしゃる、ところが私は40年住んでいますけれどもそういう状況を一つも知りませんでした。このまちづくりの会に入ってもこれまで知らなかったところで、本日大内係長から全体を説明頂いたことでようやく把握いたしました。これを町会長という立場でどう考えなければいけないのか、これを今日参加している最中ずっと考えていました。まちづくりをやっていく流れの中で、なぜこういうことが必要になるのかという説明をすること、住民の方にきちんと情報が伝わることが一番大事なことだと思います。
  • 今日歩いてみて、私も歩いたことがなかったところを歩きました。そうすると確かにこの狭さでは災害時に危険だと感じました。また逆に、この下町の良さ、界隈性の魅力も発見しました。地域がお互い信頼できる関係を作ったうえで、なおかつ災害に強いまちを作らなければいけません。これには物理的な解決だけではなく、人的な納得であったり連携であったりが必要だと思っています。
  • 私は20名くらいのレスキュー隊として活動していますが、結局こういった集まりが地域の核になり、お祭りもやり、夜警もやり、おそらくこの会で得たような情報を地域の方たちにしっかりとお話しして説明できる、そういう状況を作ってやらないと、やはりトップダウンでやるということだけではなかなか伝わって行かないのではないかということを感じました。
質問1
  • 各権利者の相談に乗りながらきめ細かい対応をしようとされていることを、まちを見たりお話を聞く中で感じました。URが不燃化促進用地を取得し代替地に利用したりなどしていますが、もうしばらく前ですと直接行政が行っていたのではないかと思うのです。今もう一つの主体であるURがやるというのはどんな事情からで、どの様な効果を発揮しているのでしょうか。
中山氏
  • 豊島区の密集地域の東池袋ではまちづくり用地を区が買っていた経緯がありますが、区が保有していると「道路用地」「公園用地」と決まった目的・予算で入手する必要があり、目的外使用が困難で出口に困っているという状況があったそうです。その様な中で現在同地区ではURが土地を取得しておりますが、URの方が割と機動的に土地を取得でき、使用方法も自由度が高い事が挙げられます。
大内氏
  • 今のご説明の通り、自治体が土地を取得するには目的をはっきりさせることが必要不可欠です。そうしますと先に土地を確保し後から使い方をみんなで考えるということは出来ません。URの不燃化促進事業の中で不燃化促進用地として確保する方法ですと、みんなでまちづくりを考える「場」ができることになり、有効に働いていると感じます。
質問2
  • 一般財産としての購入という方法が全くないわけではないと思うのですが、例えば代替地として買うことは現実にはなかなかないのでしょうか。
大内氏
  • 土地の確保に関わる用地担当者が区には非常に少なく、なかなか機動的に動けない実態があるとともに代替地で取得したなら代替地と用途が限定されるので、URの制度は有効であるというところです。
質問3
  • 関連した内容ですが、URが土地を取得する際に、当然人件費また金利などのコストがかかって来ると思いますが、その財源を教えていただけますでしょうか。
  • また、東京都が残地を買えないケースでは残地も含めてURが取得し隣接の方に譲渡するという話もございましたが、特定譲渡されるときに経費など添加して権利者さんに買っていただくことになるのか、そこのところもお聞かせいただければ。
中山氏
  • 結構よく質問される内容で、取得した土地代に人件費と金利を乗せて譲渡するのではないかと言われることがあるのですが、URでは取得の時も適正な土地の価格で取得し、譲渡の時もその時点の適正な土地の価格で譲渡しており、人件費などかかったお金とは無関係に価格を決めています。当然結果としては黒字になる土地、赤字になる土地はありますが、経営体全体としてバランスをとることで許容していこうという考え方です。
質問4
  • 練馬区や川口市で協議会のコンサルタントをしています。区の方と協議会の方に質問です。一つは区のご説明の中で固定資産税の減免は大きいとお話がありましたが、こちらの街でどれくらいの効果があったのかわかれば教えてください。二つ目は協議会の資料に最初の頃の協議会のニュースのご説明がありましたが、記事にある「一町会一改善」というのがいいなぁと思いました。歩いた中で西側のエリアは密集事業もあまり手が入れられていませんが、どのような「一町会一改善」をやっているのでしょうか。小さなことでも、コツコツとやっていることがあれば、参考にさせていただきたいです。
大内氏
  • 税制の効果は具体的な数字では検証できていませんので、感覚的なお話になりますが、東京都全体の特区制度の中で平成27年までに建替は400件程、除却621件であるのに対し、荒川区全体での特区内の実績は建替88件、除却62件と、荒川区の数値は大きく表れています。私の個人的な感覚ですが、まちの改善を図るには建替の促進が一番ですが、これまでの建替えの状況を見ていると法改正あるいは税制改正があった時に建替が非常に進むという感覚を持っています。木造3階建てが可能となった建築基準法の改正の際には木造建物の改築が非常に多くありましたし、税制に関してはかつてのマンション減税の時にマンションが非常に売れました。
安部氏(荒川二・四・七防災まちづくりの会 会長)
  • 私も途中から参加でしたので「一町会一改善」については詳しくはありません。先輩から聞いた話ですが、町内の道を車で右折する際に電信柱が邪魔なので移動させたいという時に、東電さんは自前でやってはくれませんので、協議会を通して実現したということがあったそうです。今はまち歩きで危険な個所を確認したり、全体の計画については荒川区さんが計画を立てて一緒にやっているので、(まちづくりの会全体での活動となっており)町会ごとの活動ではありません。
閉会の挨拶
玉川まちづくりハウス林泰義氏
  • 私は世田谷区の地元のまちづくり協議会で地区計画などまちづくりに20年くらい携わっており、それと並行して昔からの町会も両方で協力してやっております。こちらの会長さんをはじめ皆様いろいろなご苦労があることと思います。今日は大変勉強させていただきましてありがとうございました。
  • 密集は事業自体がとても複雑に組み合わさっていて、仕事もお金も縦割りの状態で、区もURさんも本当に大変なことと思います。同じお金を使うのであれば、地元で役所と町会が一緒になって考えたことが、使いやすい形で使えるような、制度、法律、予算を動かせるような道筋が理想だろうと思いますが、これが色々な縦割りに阻まれ難しいものです。専門家というのはどこかにいるかもしれませんが、やはり現場で知恵を出し合うこと。また出てきた知恵が活かされるような仕掛けや関係が、どうやったら出来るのかが一番重要なポイントではないでしょうか。改めて感じました。この地域の場合は毎年毎年実にたくさんの施設だったりという「もの」が生まれて来ます。どうしたら地域の方々がそのことをとても面白い素敵な事なのだと実感でき、一つずつ楽しみになっていくような進み方をするのでしょうか。例えば「不燃化促進用地」という単語はお役所の呼び方ですから、その土地を楽しく生活の中で大切にうまく使えるようなことを実感できないと思うのです。やっていること(施策)を住民の感覚で名づけたり、名前の方が実態を変えていったり、縦割りが一つになっていったりという物語が出来るといいなと感じました。皆さんの様々な熱意が活かされるために、そこがポイントであるなと思います。

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