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街みちネット 第17回見学・交流会「区内における密集市街地整備の取組みと最近の動向について」

これまでの活動の紹介

活動議事録

講演1「区内における密集市街地整備の取組みと最近の動向について」

金井 潤一 氏(足立区都市建設部密集地域整備課課長)
金井氏
当地区を紹介する背景
  • 今回、関原一丁目を取り上げていただいた背景として、当地区は昭和62年度に住環境整備モデル事業で事業認可されてから平成25年度末まで28年間まちづくりに取り組んで、事業が完了して2~3年たちますが、これだけ長い期間まちづくりをしていろいろな知識も経験も積んできても、事業が終わってしまうと、職員もそれぞれほかの部署に移ってしまうので、こういう機会にPRして皆さんに知っていただきたいということがあります。事業は終わりましたが、まだ地元の方にとってはまちづくりは終わっていないという側面もありますので、皆さんにいろいろ現地を見て意見をいただいて、有意義な会にできればと思います。
足立区の概要
  • 人口は67万4,000人ほど、面積が53平方キロメートルで、23区で3番目の大きさになります。
  • 歴史を振り返ると、足立区で一番有名な駅というと北千住になると思いますが、千住は江戸時代から日光街道の宿場町として名前が知られています。それ以外のところは農村地帯でしたが、明治29年に今で言う常磐線の北千住駅が開設されました。
  • 明治32年に東武鉄道の北千住~久喜間も開通しております。
  • 明治44年に荒川放水路の掘削を決定しまして、20年にわたる大工事で昭和5年までかけて放水路の掘削をしております。放水路ができる前は、荒川というものはなかったので、北千住からここの関原まで地続きでした。そういう位置関係にあったということです。
  • 大正12年に関東大震災が起きまして、震災後、関原も含めまして、東京市内から多数の方が移住し、会社や工場も立地しました。
  • 昭和7年にそれまでの南足立郡という名称が東京市足立区になり、このときに足立区というものが初めてできました。
  • 戦後になりまして、千住は空襲にも遭ったのですけれども、その後、昭和30年代以降、区内で土地区画整理事業がかなり幅広に行われました。また、足立区は23区の中で公営住宅の戸数が一番多く、3万2,000戸くらいありますが、この時期そういった公営住宅団地の建設が盛んに行われました。
  • 人口は昭和20年に17万人だったのが、昭和50年で61万人と3倍以上に増え、やはり昭和30年代、40年代の人口の増加というのが非常に特色となっています。
  • 次に、市街化プロセスですが、先ほどの千住の宿の辺りに人が住んでいたのが、戦後だんだん人口が拡大し、かつ、高度成長のときに環七の以北は結構区画整理が行われ、公営住宅団地もこの時期に結構つくられました。密集市街地につきましては、戦後のスプロールの時に、農村地帯が基盤未整備の中、区画整理もない中で広がっていったということです。
  • 区の面積53平方キロメートルのうち18平方キロメートル、34%が区画整理事業区域となっています。また、環七の北側は広域に区画整理をされて、基盤が整備されているわけですが、逆に言うと、それ以外の環七以南や千住のエリアは基盤未整備のままずっときているということです。
上位計画等での位置づけ及び密集市街地整備事業に取り組んでいる地区
  • 防災という観点で東京都の地域危険度を見ていただこうと思います。総合危険度を見ていただきますと、全般に危険度が高いランク4や5ばかりで、特に関原地区や、千住地区も駅からちょっと離れた国道4号線の西側のエリアについては、5ランクがありますし、柳原もかなり危険、ワーストランキングで5,000町丁目の中でもワースト1桁の町丁目が千住地区でいくつか出ております。
  • 上位計画の位置づけとしては、国交省の新重点ということで、107haの網がかかっており、西新井近辺と千住の先ほど言った国道4号の西側のエリア、柳原、こういったところがいわゆる国の新重点になっております。
  • あと、東京都の防災都市づくり推進計画では整備地域604haがいわゆる木密地域で、いろいろな事業や地区計画が展開されています。
  • さらに、その整備地域の中の赤いところ、4地区ありますが、ここが私の課で所掌している密集市街地整備事業に取り組んでいる地区で、約150haあります。関原一丁目以外に西新井駅西口周辺、足立の一・二・三・四丁目、千住仲町、完了したものも含めて、4つの地区で事業に取り組んでいます。
  • 関原一丁目と足立一~三丁目につきましては、それぞれ平成24年度、25年度ぐらいで事業は完了して、西新井、足立四丁目、千住仲町の3地区で事業を実施中です。
  • 西新井の密集地区の中で区施行の街路事業として都市計画道路の整備も現在進めています。
木密不燃化10年プロジェクトへの取組み
  • 区内に2つの不燃化特区があり、1つが西新井駅西口周辺地区で、真ん中に先ほどの区施行の都市計画道路が入っています。コア事業として都市計画道路の整備や、密集事業の道路・公園の整備、不燃化建替えの促進といった、特区のメニューを使って実施しております。
  • 去年の夏に住民の方に配布するための特区の新メニューの案内チラシを出して、訪問やまちづくり協議会の中で配布して、特区メニューの活用を周知しております。
  • もう1つの特区は足立区中南部一帯地区です。先ほどの西新井の不燃化特区を除くエリアで、645haもあるのですけれども、平成27年度から指定を受けて取り組んでおります。
  • コア事業は、ハードの事業というよりは、エリアが広いので、規制と緩和で自主更新をうまく誘導することによって不燃領域率を上げていこうという取組みを行っています。新防火地域も昨年12月に施行して、今後の建替えは全て準耐火建築物以上の耐火性能を持ったものにしてくださいという規制も入れております。これは規制のほうです。
  • あわせて緩和、促進策ということで、建ぺい率の60%から80%への緩和、容積率の算定係数の0.4から0.6への緩和、道路斜線の制限についても勾配をきつくして、3階まで建てられるような緩和といった誘導策もあわせて昨年の12月に導入して、自主的な建替えをうまく誘導し、不燃領域率を高めていこうと取組んでおります。
その他の制度
  • 最近、区で取り組んでいる制度として無接道家屋建替え促進制度、緊急避難路整備助成制度、感震ブレーカー設置助成制度と3つあります。
  • 無接道家屋建替え促進制度は、建築基準法43条1項ただし書き許可をうまく活用して、無接道の建替えを進めましょうという制度です。無接道家屋が区内に8,000棟ある中で、こういった仕組みを昨年度から導入しているのですが、なかなか実績ができなかったのが、最近、2事例ほど実績が出てきたそうです。これは建築室という隣の部署で所管している事業で、協定通路型、接道長不足型とありまして、荒川区の連担建築物制度に少し似た制度です。無接道であっても、通路について一定のルールでセットバックするような一定の同意が得られれば、ただし書き許可を与えましょうという取り組みです。
  • 緊急避難路整備助成制度は、行き止まり道路の一番奥で、塀を壊して扉を設置して、いざというときは、その扉を使って向こう側に抜けられるようにという行き止まり解消の施策で、これを実施していただく世帯に助成するという事業です。似たような施策は板橋区さんに既にありますが、足立区は昨年11月から制度として打ち出しました。
  • 感震ブレーカーは、地震を感知してブレーカーが落ちるというもので、その設置助成は横浜市で先進事例がありますが、同じ平成27年11月からスタートしております。これは大好評で、今年度50件分の予算を組んだのですが、すぐに埋まってしまいまして、また来年度も募集します。これは密集事業から見ると大分ソフト的な対応になりますが、ご家庭に感震ブレーカー、5~8万円くらいするらしいのですけれども、こういうものを設置すれば、漏電による火災を防げるということで、地元の方の関心も非常に高いわけです。
  • もしご関心があれば、密集課に聞いていただいてもいいですし、ホームページでも情報は出ています。

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