街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第15回見学・交流会「密集市街地でのまちづくりと街みちネット」

これまでの活動の紹介

活動議事録

4.「密集市街地でのまちづくりと街みちネット~多様な主体の参画を目指して~」

コーディネーター NPO法人玉川まちづくりハウスほか 林 泰義 氏
はじめに
  • 今回改めて、まちづくりって結構男の世界なんだなと。出席のメンバーを見て、女性の割合が非常に少ないような気がするのですが、いかがでしょう。もしご賛同を得るようであれば、次回からは、是非、半分ぐらいは女性が占めるというぐらいに変わっていくということを、やはりまちづくりの狙いの1つはそれもありますよね。それが1つ。
  • それから、もう1つつけ加えると、ここの参加者は大体二十歳ぐらいまでの人が極めて少ないのではないか。だけど、オリンピックの最近の選手は15歳ぐらいが登場してきていますでしょう。だから、簡単に言うと、オリンピックに登場する人たちの中で、少なくとも15歳ぐらいから始まって、もう二十歳ぐらいというのは優勝しようかというぐらいになっている選手とか、それぐらいいるから、そういう意味でも、年代ももっとティーンエイジの、ハイティーンぐらいから始まって、23、24という方が非常に多いという世界もいいんじゃないかなと、そういうようなことを思っております。
  • では、早速、パネルディスカッションに入っていきたいと思います。この中身のテーマは、すでに髙見澤先生の、なるほどというか、わかりやすいというか、そうなんだよ、ということに満ちていて、かつテーマがそれぞれ挙がっておりますので、これをベースにして、最初に、パネラーの皆さんの自己紹介プラス、それぞれ皆さんがこういうことが自分にとっては非常に大切なポイントになってくる、特にこれからの展開ということで、きょうの髙見澤先生のお話の展開で言うと、今日的課題を考えるという、そのあたりについて皆さんに、10分というのは結構な時間ですけれども、それをまずワンラウンドやっていただけるといいなと思います。10分が結構な時間だというのはあまり賛同されないかもしれないけれども、やはり話というと30分、1時間、昔はもっと2時間やるという勢いだったのですが、別に考えてみると、「美しく青きドナウ」という音楽がありますが、これは大体9分何十秒というので、戦争に敗れたオーストリアの国民を元気づけるためにシュトラウスがつくった曲で、10分あると相当なことが言えるのではないかという感じで、演説で言うと、リンカーンの「ゲティスバーグの演説」というのがそうだったわけですね。そういうことで、皆さんにそういう名演説を期待したい、名演奏を期待する、そんな感じの始まりにしたいと思います。
  • その後は、いろいろな形で皆さんからご質問を是非いただきたいと思います。皆さんのほうからご意見という時間が今までは全然ありませんから、この時間のできるだけ早い段階からそういう時間を一度持ちたいというふうに思っているので、そのつもりで、よし、聞いてやるぞということをお考えの上、お聞きいただければありがたいと思います。
パネルディスカッションの様子
パネリスト 旭化成不動産レジデンス(株) 開発営業本部 マンション開発第二営業部長 吉井 久孝 氏
吉井氏
旭化成不動産レジデンスの取組みについて
  • 皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました旭化成の吉井と申します。残念ながら、私も「高齢?」で「50歳」で「男」でございます。期待に添えなくて申しわけございません。
  • それでは、弊社からは「民間事業者」ということでの、取組み、会社の案内などをさせて頂きます。
  • 旭化成という会社は、皆さん、名前はご存じだと思いますが、「サランラップ」とか、「ヘーベルハウス」などを扱っている会社でございます。そのグループの中で、私どもは、今回のテーマである「木造密集地域」の共同化などを行っております旭化成不動産レジデンスというところに属しております。
  • 私どもは、ディベロッパーの部門ではございますが、昔、土地を買って失敗しまして、会社からは、「あまり土地を買うな!」と言われてしまいました。弊社は、ヘーベルハウスという住宅を手がけているのですけれども、戸建の建替えの相談の中から、「道が狭くて建てられない」とか、「ヘーベルハウスでは対応できない」という案件がいろいろ上がってまいります。そこを「立体買替えの特例」を使いまして、「等価交換事業(都心市街地の共同化事業)」などに特化し事業を行っております。それ以外にも、現在では「マンション建替え」「市街地再開発事業」を本日ご出席されている皆様の行政区の中でも、何ヶ所かやらせていただいております。
旭化成グループの紹介
旭化成不動産レジデンスの都市開発事業
  • 少しだけ宣伝をさせて頂きますが、我々は、今、社会的な問題になっています「老朽化マンションの建替え」というのをディベロッパーの中で一番多く手がけておりまして、推進中の案件を含めますと36件ほどの実績がございます。「マンション建替え研究所」というものをつくりまして、その取組や活動が評価されまして、これでグッドデザイン賞を受賞しています。
  • 私は市街地再開発事業をメインで担当させて頂いておりますが、「アトラスブランズタワー三河島」で10PJの竣工物件があります。取り組んでいるPJまで含めますと16。これ以外にも、本日発表させていただきます「防災街区整備事業」のコア事業も行っております。
マンション建替え実績
法定再開発実績
目黒本町のプロジェクトについて
  • こちらは、弊社が平成19年に行いました事業でございます。先ほど話しました「等価交換の手法」を用いて手がけた「目黒本町のプロジェクト」のご案内をさせていただきます。
  • 場所は、パルム商店街などがある武蔵小山と西小山の近くでございまして、「特定整備路線」に面したところです。こちらがその道路で、敷地を所有されている大地主さんがいるのと、あと、42条2項道路ですごく狭い道路があり、奥のほうには建築が困難な家があるといというような情報をいただきました。権利者さんは、地主さん、借地人さんを含めて9名で、これを共同化し分譲しました。
  • 私どもは、少し前は、「木造密集市街地」とか、そういった問題をあまり意識しないで、事業という観点、先ほどの講演で、「目的」と「目標像」と「手段」というお話がありましたけれども、どちらかというと、民間の企業ですから「手段」という方法から入ってきております。
従前地区の状況について
  • 事例を簡単に説明いたします。これは現況の着工する前の敷地利用状況です。全面道路の拡張は済んでおりましたが、奥に入っていくには細い路地などは未整備のままでした。ここを目黒区さんなどのご支援もいただいて、「勉強会方式」で権利者さんを纏めて共同化を行いました。期間は、トータルでは2年8ヶ月ほどかかったのですが、最終的には、その中で分譲住戸が30戸ほどの物件をつくることができました。
従前地区の状況について
施設計画について
  • ポイントとしては、「合意形成」が非常に重要かと思うのですけれども、スピード、奥の土地の評価、廃道など、いろいろな解決しなければならない問題がありました。
事業の経緯について
合意形成上のポイント
品川区荏原中延での防災街区整備事業について
  • こちらは、最近、品川区さんのほうから準備組合の立ち上げのために、選定されました「木密の10年プロジェクト」のコア事業で、防災街区整備事業です。「同潤会」の戸建事業、中延というところで進めている事業例でございます。
  • 場所は東急池上線の荏原中延の駅から3、4分歩いたところでございまして、弊社はマンション建替え事業で、「同潤会江戸川アパート」を建替えた実績があるのですけれども、『同潤会』ということで、ぜひやりたいということでコンサルタントとして手を挙げました。準備組合様からも「事業協力者」として選定頂きまして、現在は、「都市計画」に向けた説明会をやっております。
  • 一番右側が昔の地図で、今で言うテラスハウスみたいな建物が建っていて、路地の幅が半間ぐらいの場所でございます。周りは、学校とか、区民施設など整備されたのですけれども、こちらのブロックだけ残っていました。
  • これは、木造とか防火の割合でございます。やはり木造が非常に多い。また、古い建物が真ん中辺に集中していまして、外側は建て替えられているという状況です。
  • 土地の面積もほとんどが60m2未満。これは中の道路状況。
  • 住んでいる方のご年齢。高齢化しております。オリンピックの2020年までに完成させないといけない事業ですから、スケジュールとしては19年までに完成させようということで、現地近く事務所を設けて、弊社が直接に、都市計画の作業を行っております。
スケジュール
パネリスト (株)まちづくり研究所 取締役 丸山 豊 氏
丸山氏
射水市放生津地区の概要と課題
  • まちづくり研究所の丸山といいます。よろしくお願いします。富山県の射水市の放生津地区というところで住宅の共同建替えをやっています。その話を中心にしたいと思います。
  • 射水市というのは、富山市と高岡市の間に挟まれた海沿いの地区です。
  • まちづくりの発端としては、富山県内で唯一の重点密集市街地ということで、国から公表されたことが発端でした。そもそもは、かなり前から何度も共同建替えをしなければいけないんじゃないかという話が出ていたようですけれども、漁師が多かったというのもあって大反対が数回起こって、全部立ち消えになっていたところです。けれども、さすがにもう高齢者ばかりになってきて、まちが存続できないという事態になってくる中で、今回は協力してやっていこうということになりました。市のほうも、計画の青写真を示すのではなくて、一緒に考えましょうという姿勢でいったことが話が進んでいった要因だと思います。
重点密集市街地
  • 海から見ると、非常にいい雰囲気で、内川には船が係留されていて、観光の目玉にもしようとしているようなところです。街区の中へ入ると、軽自動車がやっと通るぐらいの幅で、もう崩れてきている家もある地域になります。まちにはお地蔵さんがたくさんあるようなところでもあります。
  • 密集市街地というのは、敷地条件や接道条件が悪いということで、住宅の建替えができなくて、若い世代が出て行って人口が減少し、高齢者ばかりになって、という中で衰退していっているわけですけれども、ベースになる住まいと住環境の改善をしながら、その状況を改善していこうということですが、そこで共同建替事業というものを柱に据えて、高齢者福祉とか、子育て環境の充実もしていこうということでやっています。
  • 実は、この地区に関わる前の取組みの中で、足立区の千住仲町というところで、ここも密集事業をやっている地区ですが、高齢者の暮らしと住まいを改善する取組みを進めようというので、密集事業とは別事業で3年ぐらい関わっていました。交流会をやったり、一軒一軒のところに民生委員とそこに賛同する人たちで一緒になって訪問したり、それから、災害時の要援護者の支援マッププランをつくろうというようなことをやっていました。こんな経験も踏まえて、この放生津地区では、住宅と住環境を一体的に整備するということに加え、高齢者の安心居住、子育て世代の定住、自然・文化の継承ということも進めていこうといって事業をしています。
  • 事業区域は4つの自治会からなっていますが、それを6つに分けて、そのうち中町西部、奈呉町第一で先行的に共同住宅をつくり、みんなが移り住みながら次のところを進めていくということをしようとしています。最初に整備したのが中町西部地区です。
先行地区
先行地区①中町西部の整備内容について
  • 地区内の住宅のうち、半分以上は空き家になっていました。ここに、海側に共同住宅を、その南側の県道沿いに戸建住宅を、街区の真ん中に生活道路を整備しようということでやっています。お地蔵さんが町々にあるという状況でした。
中町西部地区の区域
建物計画
  • 街区の奥の方にいた方で、子供家族が戻ってきて、県道沿いに移転し、子供たちと戸建住宅に建て替えた方もいました。
  • 自治会の公民館や曳山の収蔵庫も建て替えました。
  • 共同住宅は4階建てで、1階には福祉施設を誘致しようということでした。周りの戸建住宅による屋並みに配慮して、似たような向きで屋根を掛けています。入居者が所有をする住戸と、事業施行者になってくれた民間の宅建業者が所有をして市が20年間借り上げる住戸を組み合わせています。そして、富山型デイサービスをここに入れています。
  • みんなそれぞれの地区からここへまず居住を移しました。富山型デイサービスというのは、震災があった後、東北でもやろうというので話題になっているので聞いたことがある方もあるかと思いますけれども、障がいの有無にかかわらず、高齢者から子どもまでが地域に住み続けられることを支援しようというので、大体15人ぐらいの定員でデイサービスをやります。これは、今回、運営事業者の誘致に行ったのですけれども、富山型デイサービスの事業者の人たちが「あなたたち、自分たちでやりなさい」とハッパをかけてくれて、地元で協議をして、自分たちでNPO法人を立ち上げました。それで、今、事業を進めています。人もきっちり入って、経営が成り立ってきたようです。デイサービスの部分、学童の部分、惣菜を売ったり、お弁当を販売したり配達したりする部分に分かれています。
共同住宅外観
共同住宅の住戸と福祉施設
  • 総菜屋は喫茶スペースにもなっていて、ここで朝食をとったり、少しお話ししていったりということもしています。
  • 公民館の中にはバーカウンターがあります。自治会長が、これからの時代はこうじゃないと人は使わんと言ってつくりました。
  • それから、お地蔵さんをまとめました。みんなで世話していこうということです。
  • 戸建エリアでは、息子家族が戻ってきて一緒に住み始めるため地区内で移転して家を建て替えたり、分譲したところに小さい子供のいる世帯が入ってきてくれました。
先行地区②奈呉町第一街区について
  • 次は、第2番目の地区です。昨日、ちょうど会合があったのですけれども、奈呉町第一街区で次の事業をしようということになっています。ここも空き家が多く、中町へ移転した方や、これからここ奈呉町に建てる共同住宅へ移る方もいらっしゃいます。
  • 道路や共同住宅の計画ができており、23日に共同住宅の起工式の予定です。
  • ここでも福祉施設を入れます。ここは小規模多機能型や、グループホームをメインで入れていこうと考えています。中町の共同住宅と同じように、事業施行者に住戸を所有してもらって、射水市が20年借り上げます。やはり自分で持って住みたいという人もいますので、自己所有の部分もあります。
  • 2棟目の共同住宅はあと1年ぐらいすると竣工しますので、その次は先行地区以外に入ります。
その他の地区について
  • その他の地区は共同住宅ではなくて、戸建でいこうと思っています。山王町は四十数世帯だったのに、共同住宅への入居のため15世帯ぐらいがお隣の自治会へ引っ越してしまい、後ろのほうが空き家となりました。それで、今度は道路を通すこと、堤防の管理用通路をつくることなどをしながら、2世帯ぐらいはこの地区の人が自分で建て替えられますけれども、あとは分譲して、また若い人が戻ってきてくれるといいな、本当に売れるのかなと、お互いに心配しながら今進めようとしているところです。
成果と課題
  • 住まいの再建と生活道路の整備、高齢者の暮らしや子育て支援の体制づくり、都市再生住宅と地域密着型サービスの合築といったようなことができてきました。
  • 一方で、若い世帯の受け入れというのが本格的にこれからの課題となります。また、地域で魅力ある既存家屋、先ほど後ろは建て替えたけれども、前のほうは全然建て替えないことになっています。そういうところをどう活用していくのかということ。それから、都市再生住宅が20年たった後も地域の高齢者がまたそこへ住んでとか、こういう循環ができるような形でうまく回していけるかどうかというのが大きな課題です。
  • 「水辺のまち新湊」というNPO法人もあって、内川を中心にした観光をしていこうとしています。古い畳屋さんを改築したカフェがオープンをするといった動きも出てきています。いろいろな動きとつないでいけたらというふうに考えています。
コーディネーター 林(泰)氏
  • どうもありがとうございました。福祉の話とか、いろいろ地域の生活にしっかりと根ざしたようなニーズが出てきているということも含めて、計画が進んでいる例だと思います。
墨田区 都市計画部 防災まちづくり課 主査  秋山 和栄 氏
秋山氏
  • 墨田区防災まちづくり課の秋山と申します。よろしくお願いいたします。
  • 墨田区には、街みちネットさんの視察で平成25年に一度、京島のほうを視察対応させていただきましたので、ちょっと重なる部分があるかもしれませんけれども、もう一度ご説明させていただければと思います。
  • 先ほど髙見澤先生のほうから京島のまちづくりと言われたものですから、そこも含めて、過去からの経緯と、今、取り組んでいる内容を簡単にご説明申し上げたいと思います。
京島地区の概要
墨田区の市街地形成の歴史
  • 東京都の危険度ランキングで、墨田区は北部が真っ赤でかなり低い点数になっておりまして、北部地域の密集市街地の改善について、今、墨田区として全力で取り組んでいるところでございます。特に京島二丁目、三丁目と、墨田三丁目、四丁目がランク5ということで、25年の9月の結果においてもランク5ということで結果が出ているところでございます。特に京島二丁目は建物倒壊危険度で1位、総合危険度で6位です。墨田三丁目が4位ということで、かなり厳しい状況にあるということが25年9月の公表でも発表されているところでございます。
  • そのようなことがございますので、墨田区としましては、京島の地域と北部中央地区と、あと鐘ケ淵エリア、今、このように広げていこうかというふうに考えておりますけれども、この3地区で住宅市街地総合整備事業を導入いたしまして、道路拡幅やコミュニティの形成を図っているところでございます。
  • また、25年から不燃化特区を導入しまして、密集市街地の早急な改善に向けて事業を推進しているところでございます。
密集事業・不燃化特区区域
整備の経緯
  • 京島地区の特徴でございますけれども、先ほどお話ししましたとおり、北部地域が焼け残り等々があったことと、田畑がそのまま道路になったというところもございまして、本当に細い道、また、都市基盤が未整備な旧建物の密集地域という形になってございます。また、大きい土地をお持ちの地主さんが多くて、A、B、Cの権利関係が輻輳しておりまして、特に長屋の建物が多い関係から、なかなか建て替えも進まないという問題もございます。
京島地区の特徴
  • そういった問題もございまして、先ほど髙見澤先生のほうから、神谷一丁目で住環境モデル事業を導入して進めていたという話があったのですけれども、京島地区におきましても、昭和56年から東京都のほうが最初に住環境モデル事業を導入いたしまして、その後、平成2年から区がそれを引き継ぎまして、この30年間、事業を続けているところでございます。
  • その導入をするに当たりまして、まちの方々と一緒にまちづくり方針等を決めるために、まちづくり協議会というものを立ち上げまして、まちの中、7町会の代表の方と区と、あと、第三セクターのまちづくり公社があるのですけれども、その三者で協議会を立ち上げまして、まちづくりの方針を定めているところでございます。
まちづくり活動の紹介
  • 計画の設定は56年の6月に行いまして、これも住民の方たちと一緒に定めた目標になってございます。
  • 計画の大枠としまして、生活道路の計画。こちらは、地区内に21路線の主要生活道路がございまして、それを6mないしは8mにしていこうという、避難路の形成を図るということになってございます。また、建物の計画につきましては、老朽建物の解消や、コミュニティ住宅の建設等々、老朽建物を解消しまして、硬い建物をつくっていこうというところでございます。
  • あと、コミュニティというのが大事な部分でございますけれども、要は、まちの方たちがそこのまちに住み続けましてコミュニティを形成できるように、緑地広場の整備や、コミュニティ施設の建設等々も携えているところでございます。
  • こちらがまちづくり計画でございます。今、京島二丁目、三丁目の中で青いところが主要生活道路になってございまして、優先整備として、京島三丁目のここの部分と、京島二丁目の2・4・6号線を今やっているのですけれども、京島三丁目につきましては、ほぼ完成してきたという状況でございます。8m、6m、8m、8mで、後でお話ししますけれども、こちらがURさんのご協力による防災街区整備事業の場所になります。この26年度から、2号線、4号線、6号線の道路拡幅を始めているところでございます。
京島地区まちづくり計画(大枠)
京島地区整備方針図
  • こちらが従前の10号線の様子で、途中、道路を少し広げたところ、あと、こちらが完成したところになります。参考に、消防車が通れなかったというところを載せたのですけれども、これは去年、解体いたしまして、道路が開通しているところでございます。
道路拡幅
  • これはコミュニティ住宅になります。これは、地区内に今、13棟、墨田区全体で17棟ございまして、173戸の従前居住者用住宅を建設しているところでございます。
コミュニティ住宅
  • こちらが広場、緑地等の整備でございます。従前、こういった老朽建物を改修しまして広場にしたり、防災広場をつくったり、ちょっとした緑地、あと、ポンプ、防災施設の整備をやってございます。
緑地・広場、防災施設の整備
  • こちらは先ほど説明しました防災街区整備事業でございます。詳しくは、たぶん後でURさんのほうからご説明いただけるかと思いますけれども、2軒長屋、4軒長屋、戸建住宅、工場等々、従前の権利者の方々の土地を、1棟の防災施設建築物と個別利用区に長屋を1棟2戸つくったということになります。
  • この事業で大きかったのが、合わせて主要生活道路21号線の完成と、あと、脇のところが2mぐらいの道路だったのですけれども、こちらは2項道路なので4mですが、事業の協力によって6m近くの広さの道路に整備されたということになります。
  • こちらがその写真です。これが従前の長屋で、こちらが建物ができ上がった後になります。 こちらは、細い道路が事業への協力によって広がったところになります。
  • もう1つが、こちらが防街の敷地ですけれども、こちらが隣の土地をお持ちの方と、ここが行き止まりのようになってしまいますので、こちらの土地とこちらの土地で避難経路協定を結びまして、いざというときに逃げられるようにというような協定を、一応、密集法に基づいて協定を結ばせていただいてございます。
不燃化特区の導入
  • そういった中で密集事業を進めてきたのですけれども、なかなか進まないというところで、本当は京島事業は平成25年度で事業期間が終了する予定だったのですけれども、平成23年度に不燃化特区という事業が導入されるということもございまして、なかなか進まないところを、最後はどうやって解決していくのかと悩んでいたところに不燃化特区の事業が入ってきたので、またさらに確実な安全性を高めるという部分をどうしていこうかというのを23年度から検討してきました。それで、24年度に先行実施地区に手を挙げまして、その1年間の間で都と協議を重ね事業手法を検討し平成25年度から事業を進めております。
  • まず、その中で「まちづくりコンシェルジュ」の設置ということで、これは、まちの中に入り込みまして、例えば55年以上の建物のあるところに入り込みまして、建て替えしませんかとか、どういうことができますかということを戸別訪問をして、どういう方法があるかというのを検討しているところでございます。こちらは、URさんとURリンケージさんと協力してやっているところでございます。
  • 例えば区画整理の敷地整序であったり、未接道建物の建替えであったり、主要生活道路の残地の買収であったり、これは、たぶん後でURさんのほうで説明があると思います。
  • こちらは、どんな方法で「まちづくりコンシェルジュ」を進めていくかということを先行実施地区の手法をみんなで検討したものでございます。これは、実際にはできているものとできていないものとございます。こちらは今後、私どもと様々な団体さんが協力をしながら進めていくものと思われます。
  • こちらは、拠点となる、まちづくりの駅になっております。
まちづくりの駅
  • これは建替えのときの助成金の制度です。
助成金
  • あと、まちの方たちと一緒に、建替えも道路の拡幅もなかなか進みませんので、その建替えと道路拡幅の前に何をしたらいいかということで考えたのがこちらの「アクアサポート」というものになります。町会の代表の方たちと一緒に、こんなものが必要じゃないかとか、あんなものが必要じゃないかというのを一緒に考えまして、昨年と今年と2年かけて整備した内容でございます。
アクアサポート
  • 勉強会のときのまち歩きをしたりしたときの内容と、完成して、避難訓練などをやっている状況です。
勉強会
まち歩き
  • 最後に、まちづくりの進め方として、前期4年、後期4年で、32年度までに整備を進めていくということでやっております。
墨田区木密地域不燃化10年プロジェクト推進事業の進め方
墨田区木密地域不燃化10年プロジェクト推進事業整備概要
(株)URリンケージ 都市・居住本部 基盤整備部長  林 和馬 氏
林氏
  • UR都市機構で長年、密集市街地に携わった関係で、立場は変わりましたけれども、今も密集市街地整備に関わっています。きょうのサブテーマが「多様な主体の参画」ということになっていますので、その視点で過去の事例と現在の取組みについてお話をしたいと思っています。
品川区戸越地区における道路整備と共同化
  • 最初の事例は十数年前の品川区戸越の事例でございます。地区の課題は、老朽住宅の建替促進と地区内幹線道路の整備ということになっていまして、特に建替促進については、地元から前面道路が狭くて、法的規制によって建替えがなかなか難しい、規制緩和ができないかという声が出されていました。
  • そこで、平成7年に創設された街並み誘導型地区計画、これは第1号が神戸市の野田北部地区ですけれども、その事例を参考にしながら進めてきました。しかし、まちづくり懇談会は、この写真で見るように高齢者が多くて、紙ベースではなかなか理解が難しくて、参加者の参加意欲も減退傾向にありまして、そこで、当時ではまだ数少なかった模型とCCDカメラを使ったまちづくりシミュレーションを行って、従前・従後の街並みの変化を疑似体験するということをやりました。
  • この仕掛けに、早稲田大学と連携して取り組みました。模型とか説明資料は学生が準備を担当し、それから、担当の先生の説明で地元住民のハートをつかんで、それが口伝えで地元の評判になって参加者が増えた。この写真で見るように、地元の住民の熱心で生き生きとした姿が感じ取れると思います。
  • その結果でございますけれども、地元の合意形成も早く、説明会から都市計画決定までかなり円滑に進んでいまして、整備計画区域の拡大も順調でした。当時の年間建替率が約1.5%と言っていましたけれども、この制度が導入された後、3%に増えたというふうに聞いております。
戸越1・2丁目地区
大学連携によるまちづくり協議会の運営
  • 次は、地区内幹線道路である百反通りというのがJR大崎駅から国道1号線にあるのですけれども、そこで権利者が主体となって共同化に取り組んだ事例でございます。この道路空間を生み出すのに、当初、再開発を提案していましたけれども、大規模地主がノーと。一方で、零細な借地人が単独での生活再建が困難ということから、道路の必要性は感じながら、いわば総論賛成・各論反対という状況でした。
  • そこで、再開発をあきらめて、道路権利者のみで現実的な生活再建案を提示して、ディベロッパーに頼らない共同化の道を追求した。当初、斜に構えていた借地人も、残借地と底地権の交換集約化、道路補償費を財源とした共同出資方式による共同建替え、そういうことに対して、かなり実現可能性を地権者のほうに感じさせていただいて、いわゆる主体的な役割を果たすべき当事者意識が借地人の中に生まれてきた。そういう主体の変化があります。
借地権者による共同化(組合施行)
  • これはスケジュールですけれども、当初、まちづくり協議会から始まった権利者の会が、5人の借地人による建設組合になり、さらに竣工後は管理組合になって、新たな主体として今も活動を続けています。その百反通りの従前と従後の写真でございます。
百反通りの拡幅
百反通り整備スケジュール
墨田区押上通りにおける生活再建プランナー業務
  • 次は、東京都木密不燃化10年プロジェクトの施策の1つである特定整備路線に係る取組みでございます。場所は、何度も出てきます墨田区京島が舞台であります。
特定整備路線 押上通り
  • 生活再建プランナーとは、要するに、道路整備に伴う関係権利者の不安や悩みの解消をサポートするという業務ですけれども、具体的には、現地に相談窓口を設け、不動産情報の提供、代替地や残地での建替えプランの提案、残地活用、法律や税務相談、さらには関係する事業者間の連絡調整などを行っています。
  • この1年間運営して、一番多い相談内容はやはり補償に関するものでして、そういう面では、相談窓口には公共補償の知識と経験のある専任者を配置しています。サポートの一例として、この際、店舗の閉店を決めた権利者から手伝ってほしいということがあって、閉店セールの新聞折込みチラシやポスターの作成とか、いわば身近な便利屋としてのそういうサポートもしております。
生活再建プランナーとは
生活再建プランナーの業務内容
  • 他の主体との連携ですけれども、ここではUR都市機構と残地取得や地元との関係構築、それから、ハウスメーカーとの連携によって、残地活用や大規模地主の土地活用について具体な提案を行っています。
他の主体との連携
江東区北砂地区における不燃化特区での戸別訪問
  • 次に、10年プロジェクトのもう1つの施策であります不燃化特区の取組でございますけれども、江東区北砂三・四・五丁目地区でございます。真ん中に砂町銀座商店街という有名な商店街がある地区でございまして、この地図の赤い部分がいわゆる木造(防火造)の建物で、不燃領域率向上に直結する対象の家屋でもあります。
北砂3・4・5丁目地区不燃化特区事業概要
  • ここで、コア事業としては、まちづくり協議会の立ち上げ・運営・支援、それから現地相談ステーションの設置、専門家による相談会、それから、目玉の全戸訪問ということをやっております。まちづくり協議会の立ち上げに向けて懇談会とワークショップをやっていますけれども、地元からは、空き家問題、それから道路や公園などの公共施設の整備の必要性について多くの意見が出されていまして、そういった面では地域の課題への関心の高さが示されています。
  • 一方、戸別訪問は、これまでのいわゆる“待ち”の姿勢から“攻め”の姿勢に転換したという取組みだと思っていますけれども、今年度は1,000件行っています。建替えの必要性を感じながらも、高齢化や資金難による建替え意欲の喪失、それから、接道不良によるあきらめ感などの意向が示されています。
  • 今年度訪問の範囲だけでも、実は空き家が38件、空地が12件、合わせて50件です。来年度、また同じようにいきますと、あの地区の中で合わせて100件ぐらいある。仮に1件70m2とすれば、7,000m2の空き家と空地があるわけですけれども、ここをどうするかというのは、まさにこの事業の目的にかなうかなと思っています。いずれにしても、今後、高齢者の死去等に伴って空き家がどんどん増えていくということが予想されます。
北砂3・4・5丁目地区不燃化特区事業概要
個別訪問及び建替え状況
  • 戸別訪問の成果として、現在、5件の建替えが動いているということです。
  • それから、戸別訪問によって建替え意欲を現実化するためには、どうしてもハウスメーカーとか工務店の連携が必要で、各社にヒアリングした結果、不燃化特区事業や生活再建プランナー業務に対して、いずれも強い関心を示していまして、連携の具体化が必要とされているところだと思います。
特区事業導入後の建替え状況
多様な主体の参画に向けて
  • 以上、3つの取組事例を紹介させてもらいましたが、密集市街地にいわゆる多様な主体を参画させる上で、どうしてもきっかけとそのための環境づくりが重要であります。トリガーとしての公共団体の役割が重要なのは論を待たないと思いますが、その上で、地域価値の向上と生活の向上など、バリューアップの取組に地域住民を参加させるための工夫が求められている。その際、公共団体を支援し、まちづくりの担い手である住民との協働など、UR都市機構の出番と役割が一層必要とされていると思っております。
多様な主体の参画による密集市街地整備
  • 最後になりますけれども、少し問題提起みたいな形になりますが、今日のまちの安全を考える場合、どうしても高齢化問題、最近、メディアにも盛んに取り上げられていますけれども、空き家問題、この問題は避けて通れない、まちづくりの重要なテーマになりつつあるというふうに思っています。まちづくりの担い手の発掘、育成のための取組みとともに、一方で、災害が起きた後の復興のイメージ、そこから現状を見つめ直す。いわゆる「事前復興」と言われていますけれども、それが防災まちづくりの原点ではないかと思っています。
  • いずれにしても、多くの個人・団体がこういう問題に関心を持っていただいて取り組んでほしいと願っております。以上でございます。
最後に
UR都市機構 東日本都市再生本部  密集市街地整備部 企画チームリーダー 中村 和弘
中村TL
URにおける密集市街地整備への取組み
  • それでは、本日二度目の出演になります、UR都市機構の中村です。私からは、UR都市機構の密集市街地整備の取組みを皆様にご披露したいと思います。
  • まず、皆さん、ご存じいただいていると思うのですけれども、URとはどういう組織になっているのかということでございまして、こちらに理事長をトップに本社の組織があるのですが、この理事長と本社の間から本部・支社というところがございます。この上の2つは、今、東日本震災の復興支援に当たっているところで、現地には400人もの職員を送り込んでおります。もはや支援ではなくて、復興そのものに取りかかっていると言っても過言ではないと思っております。
  • この下に東日本都市再生本部、きょう、皆さんがいらっしゃっている本部がありまして、この中には本部長、副本部長の下に、この会場にもおりますけれども、密集市街地整備推進役、岡崎がおりまして、この下に9つの部がございます。その中の密集市街地整備部というところが、私が所属する部でございまして、ここが密集市街地の整備に取り組んでいるところでございます。
URについて
  • 何度も名前が出てきた東京都の木密地域不燃化10年プロジェクト、私どももこの時期、やはりこの地域を中心に取り組んでいこうということで、事業のお手伝いを進めているところです。
  • URの取組み方針といたしましては、第三期中期計画が昨年の3月から始まっておりまして、この中でも密集市街地の整備、改善、これを総合的な取組みで進めていこうというものがきちんと位置づけられているということでございます。
  • では、URによる総合的支援というのは何かといいますと、まちづくりのプロセスの中では、初動期であるとか、展開期、まちの課題を洗い出して将来像を見据えながら、各種計画をつくっていく。展開期といたましては、計画を進めていって、活動期といたましては、私どもができるところで事業をして、まちの改善を進めていくということでございます。これまでの取組みですが、先ほどから神谷一丁目の名前が出ておりましたけれども、昭和の終わり頃からずっと取り組んできて、共同化みたいなものをやっていった中で、平成7年1月に阪神淡路の震災、これも私どもの職員をかなり送り込んで復興支援に取り組ませていただきました。
  • その後は、防災性の高い街区の整備、道路の整備、それから防災公園をつくったり、先ほど秋山係長からご紹介のあった京島三丁目では防災街区整備事業。それから、さらなる道路整備ですとか、従前居住者用賃貸住宅、こういったものでまちづくりの支援をしてきたということでございます。最後の木密エリア不燃化促進事業は、後ほど少し細かくご紹介したいと思います。
  • こちらは、東京都の密集市街地でURが取り組んでいるところ、どんな取組みをしているかというところを1枚の絵にしたものでございます。いわゆる環六・環七の間に集中している密集市街地の中で、計画づくりのお手伝いをしたり、道路、公園、先ほど言ったような業務もこの地域で取り組ませていただいているということでございます。
  • この図面は、コーディネーターの林先生には大変気に入っていただいたので、皆さんのお手元にはA4で一枚ものをご用意しております。これも後ほど議論に参加するときのネタにしていただければと思います。
URの取組み状況
取組み事例の紹介
  • これから3つの取組み事例、これもちょっと駆け足でご紹介をしたいと思いますが、なぜこの3つをご紹介するかというのは後ほどお話しいたします。
  • まず、台東区の根岸三丁目地区。ここは、台東区が住市総事業を行っている地区でございまして、ここでは台東区さんが、下谷病院が江東区のほうに転出するときに、跡地を機動的に取得して、区が土地を持っていました。ここはもともと区が幼稚園で持っていた土地ですけれども、ここにある幅員が2~2.7m程度の道路で、しかも行き止まり。ここを通すことで、この防災広場に駆け込む人たちが非常に増える。ネットワークができるということで、ここを何とかしてもらえないかというところで、私どもが計画づくりからお手伝いに入りました。
  • 実際にやったことは、区画整理事業を活用して土地の入替えをすることで道路用地を生み出したということ。それから、道路の拡幅をする際に、大正時代に建っていたアパートの居住者を何とかしなければいけないということで、従前居住者用賃貸住宅を整備して無事完了させた地区でございます。
根岸三丁目地区での取組み
  • 次に、京島三丁目地区の防災街区整備事業につきましては、先ほどご紹介がありましたけれども、現況がこちらのとおりですけれども、この部分が半分以上、駐車場の低未利用の土地だったのですが、上に借地人の方が乗っていて、土地は4人の方が相続してこの活用を考えていたということ。⑤は、区がまちづくり用地して持っている土地で、こちらを活用して不燃建物を建てていった。建てる際には、借地人の方は定期借地に変えることで、自己負担を減らすことで合意形成をすることができたという事業でございました。
  • 荒川二丁目地区、これは今現在取り組んでいる地区でございまして、荒川二・四・七丁目地区というのが住市総事業。ここも不燃化特区になっている地区でございますが、ここで、もともと都営アパートだった跡地の一部を私どもURが取得いたしまして、その残りと工場跡地、ここにはメッキ工場があったのですが、この土地を荒川区さんが取得して不燃化を進めているところでございます。
  • この3地区、ご報告したキーワードとして、種地というのがございます。この種地というのは、私どもの事業に参加して施行者として行って、事業を完了させたというところを成功事例として言えば、やはり成功事例の大きな原因は種地に尽きると思っております。これからご紹介する木密エリア不燃化促進事業は、私どもが昔から密集市街地の中で土地を取得することができないか、しかも機動的に。これがやっと成し得た事業でございます。
木密エリア不燃化促進事業
  • 事業の概要といたしましては、URが土地を取得することで、上に乗っている老朽建物を除却し、それで近傍にお住まいの方がそこに建て替えて直接移転することで、繰り返し不燃化が進んでいくというような、まずは基本的な動作を考えております。場合によっては、周辺の土地と共同化をしていくというようなこともあろうかと思っておりまして、これがひょっとしたら防災街区整備事業というような事業にも発展する可能性を秘めていると思っております。
  • 事業の概要(その2)といたしましては、基本的な要件ですとか、土地取得・土地交換に係る条件、それから、今申し上げたような活用イメージを書いてございますので、後ほどご確認ください。
  • 今、木密エリア不燃化促進事業に取り組んでいる地区というのは、これはすべて不燃化特区になるのですが、4つございます。きょうは、このうち3つを簡単にご紹介いたします。
  • まず1つ目は京島周辺地区。先ほど秋山さんからご紹介のあった地区でございますが、ここで不燃化を促進していくために土地を取得していこうということでございます。
  • もう1つは、荒川二・四・七丁目地区。うちが従前居住用賃貸住宅をつくっているところですが、ここでも土地を取得していこうというところで、ここは密集事業で行っている2号線という路線があるのですが、そこの沿道を中心に買い進めているというところでございます。
  • それから3番目、最後になりますが、弥生町三丁目周辺地区、これは中野区になりますが、ここでも土地を買い進めているところでございます。こういったところの土地をうまく活用して、「種地」として次の展開へ進めていって、私どもが事業化できると、より木密の改善にご協力できるのかなというふうに思ってございます。
  • 最後のスライドになります。この中で、こういう関係でたぶん関係権利者の合意形成を図っていくのだろうというふうに思っておりまして、ここに書いてあるいろいろなサポートがありますが、これを街みちネットで、人間関係、会社の関係をつくって、うまく関係権利者の合意形成を図って進めていけるといいなというふうに思っております。
街みちネット会員と属性
コーディネーター 林(泰)氏
  • 一通り伺いました。ご質問ということもありますが、いろいろ聞いておられて、こういうことをやっているのであれば、自分のところでやっているそういうものと一緒に組んでやれないかとか、そういうふうなこともお考えになった方がおられるのではないかと思うのですが、そういう方はおられるでしょうか。
参加者
  • 東京都の建設局・都市整備局を含めて、特定整備路線の整備を平成31年度という計画で、今、28路線でやっているのですけれども、今、最後に中村リーダーのほうからお話があった木密エリアの土地の取得の関係について興味を持っています。例えば東京都が道路整備をやっている中で、残地がどうしても出てきて、特に木密の場合は残地の処分がキーワードになってくるのですけれども、例えば東京都なりと連携しながら、特定整備路線の残地をうまく活用していくというお考えというのはURさんでお持ちかどうか、お聞きしたいです。
パネリスト 中村TL
  • 特定整備路線での残地等の土地買いについてということでございますが、私どももお手伝いさせていただいている京島周辺地区には押上通りという特定整備路線がございます。現に、そこの残地の土地取得は始めておりますので、特定整備路線沿道でそういうことができるかというと、十分できる対象にはなります。ただ、私どもも、やはりその地区に入り込む上での前提条件みたいなものがいろいろございまして、実は木密エリア不燃化促進事業は、やはりいろいろな前提条件がございまして、そこの不燃化特区のプログラムの内容ですとか、そこの区さんに、URに対してどういうことをやってもらいたいとか、その辺をいろいろ考えながらお手伝いをさせていただくということになります。社内でも、買え、買えと言う人もいれば、この土地を買ってどうするのというような、アクセルとブレーキを一緒に踏まれているような状況もございまして、でも、買う側としては、頭の中で何らかの妄想をして、この土地を買うとこうできるなというようなことも考えながら土地を買っております。
  • もう一度言いますと、特定整備路線沿道での残地等の土地買いについては十分可能性もございますし、あとは、そこを取り巻く不燃化特区の状況が1つのポイントになるのではないかということでございます。
パネリスト 林(和)氏
  • ちょっと補足というか、実例を紹介しておきたいと思いますけれども、講演でもご紹介しましたが、特定整備路線をスピーディーに進めるために生活再建プランナーというものをやっています。取組み内容の1つとして「連絡調整会議の開催」があり、東京都と墨田区と区の公社とURと私どもで、年2回ほど定期的に、それぞれの取組状況とか、それぞれが持っているいろいろな手法、そういう情報を共有しようということでこういう場を持っています。
  • また、先ほどは短い時間なので説明できなかったのですけれども、UR都市機構との連携で、都が取得できない残地の取得をしていただいていて、実は、押上通り、京島周辺地区の中で、すでに一戸、URさんのほうで買っていただいています。地権者にとれば、道路用地だけ買ってもらっても、残地も一緒に買ってくれないと生活再建できない。だけど、東京都は買えない。では、民間が買ってくれるかというと、なかなか民間の目にかなう土地でなければ、そのまま塩漬けになるというところにURの登場があって、現に一戸取得済みで、さらに今、数地区、取得に向けてURと調整をしている。さらに残地の取得に当たっては、墨田区さんの協力も得ているのですけれども、公拡法の適用も考えながら、地権者にいろいろメリットのあるような取組みを考えながらURの制度を活用してもらっているということです。
パネルディスカッションの様子
コーディネーター 林(泰)氏
  • 皆さんのお話を伺っていますと、生活再建プランナー、それから、墨田区のコンシェルジュという新しい役割は、やはり現場に臨んでいると、普通に今までの仕事と同じようにすることは難しいと思います。それで、皆さんいろいろなソフトを考えたり、そういうソフトのスタッフを育てたり、そういうチームをつくるということをこういう場で議論できれば、と思うのですが、秋山さんいかがですか。
パネリスト 秋山 氏
  • 京島地区のまちづくりコンシェルジュは、もともと密集事業でなかなか進まず不燃化特区で何とかやっていこうという中で、ただ普通に建替えをしたり、ただ普通に道路を買っているだけでは街の中が構成されていかないので、街の中に入り込んでやっていくのが一番いいということでいろいろ考えて進めているところでございます。
  • 不燃化特区の4本の柱の1つがまちづくりコンシェルジュで、こちらは区の職員、URさん、リンケージさん、あと、まちづくり公社と、四者で街の中に入り込んで、いろいろな方々のご相談に応じているところでございます。
  • 昭和55年の旧耐震の建物をお持ちの方、また、土地をお持ちの方のところを一軒一軒回りまして、今、何を悩んでいらっしゃるのかとか、お困りごとはないのか、どうしたら解決できるのかということを一軒一軒回って、どうしたらその方たちが安全に、そのままコミュニティを持ったまま住み続けることができるのかということをコンシェルジュのみんなで考えてやっているところでございます。
  • URさんのほうでさまざまな事業主体、事業方法を考えていただいて、敷地整序であったり、未接道用地の解消であったり、先ほどの木密エリア不燃化促進事業に基づいて、土地の主要生活道路の残地の部分を買収していただいたりして、密集地域の解消に努めていきたいというふうに思っているところでございます。
  • まちづくりコンシェルジュを立ち上げるに当たりまして、こんなものが必要だねというのをまとめましたが、できているものと、できていないものとございまして、きょういらっしゃっている方々は、皆さん、いろいろな職種の方とか、いろいろな事業を持っていらっしゃる方がいらっしゃいますので、いかにしてこの関係性をつなげて解決を図っていくのかというのが1つの課題になっているのかなと思います。
  • 例を申し上げますと、私どもで買収したお客様が引っ越ししたいということで、なかなか引っ越し業者が見つからないというので、職場でみんなでネットで探しまして、何件かご紹介をして、お客様ご自身に目の前で電話してもらって、実際、その業者さんにも来てもらって、一緒にそこに立ち会って見積もりを一緒に取ったというようなこともしたりしているのですけれども、そういったことも通常の普通に関連している方たちと業務なりの提携ができていれば、もっと迅速にできたのではないかというふうに思っているところでございます。
パネルディスカッションの様子
参加者
  • 芝浦工業大学で教えています。私は土木が専門で、こういう話は研究の方たちが一所懸命やられていて、私は土木の人間も関係がなければいけないと思っています。私は、もともと国土交通省で仕事をしていまして、9年ぐらい前に大学のほうに来たのですが、「都市土木」ということをやっています。ついこの間までは、『区画整理』という雑誌の編集委員長をやっておりまして、区画整理について、こういう話も取り組まなければいけないなと思っていまして議論したのですけれども、なかなかいい事例がないということで特集はやっていなかったのが、きょう、お話を伺って、すばらしい議論をされているということで非常に感銘を受けました。私も是非お力になれればと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
  • 意見として、今、不燃化が非常に着目を浴びているのですけれども、不燃化をやると建替えをしなければいけないのでなかなか大変じゃないかと思うのです。やはりやれるところはかなり限られてくるし、やはりマンパワーもかなりかかります。一方では、ガワとアンコの話がありまして、ガワのほうは都市計画道路ですので延焼しないようにはするのですけれども、アンコをどうするかというのが課題として残ってしまうというのがありますね。そのアンコをどうするかという話が、生活環境の整備とか、生活の再建という話に密接に関係してくるものですから、私はやはり土木という立場から、主要幹線道路とか、区画道路をしっかり作って生活環境をよくしていくということは必要であろうと。単に再開発すればいい話ではないだろうと考えています。
  • できれば、都市計画道路という形で区画道路も計画決定して、ちゃんと補償費を払って、その補償費を使いながら地区の環境整備をしていくということが必要でないかなと思っていまして、その1つの手段として、区画整理、交換分合して、権利を整理できるという手法を使えば、いろいろ非常にうまくいくのではないか。とりあえず避難ということを考えれば、建物が倒壊して道がふさがってしまうのを防がなければいけないということですから、不燃化よりは、むしろ建物が倒壊しないようにして、きちんとした道路をつくるということをやるべきではないかというのが私の意見ですけれども、それは今の見方と違っているかなというふうに私は思っています。問題提起としてお話させていただきました。
パネルディスカッションの様子
参加者
  • 髙見澤先生からハードからソフトへというお話に賛成で、恐らくこれからは、老朽住宅のハード的な話よりも、むしろそこの高齢者とか、経営できないような人たちの手助けが必要でということを感じながら、ただ、実際に関わっている人は、やはりまだ何となくハード系の人が多いのではないかという印象を受けました。
  • 福祉とまちづくりの連携もテーマになっていましたが、例えば区の行政の中で、福祉系の人がこういう密集系のところの住宅事業に関わってくる流れ、さっきの丸山さんの富山県放生津のお話で共同建替えの中に福祉系の施設を入れることで高齢者にとって非常にいい施設ができた事例のように、他の密集事業でも、福祉系の人たちにも事業機会を提供するとか、コミュニティ、人のつながりを高めるために、空き家を使って住民が気軽に集まれるようなコミュニティ・カフェのような仕掛けをつくるとか、そういうことができると面白いのではないかと思っています。誰がやるかというと、やはり行政がやってくれるとありがたいのですけれども、行政が住民のNPOの人たちを支援して活性化する、地元で介護グループを組織化して運営できるみたいやり方はどうかと思うのですけれども、その可能性を誰に聞いたらいいのか、アドバイスをいただけるとありがたいです。
パネリスト 丸山 氏
  • 射水市の場合は、行政の福祉部局は今の時点ではどちらかというとチェックする立場で、自分たちで積極的に福祉施設をつくる立場ではないので、今言っていただいたような意味で積極的に考えていく、動いていくというふうにはなっていません。 担当者によるという面も多分にあると思います。
  • 一方、足立区では、福祉の部局が非常に協力的に、こういうふうにしたらどうだというアドバイスをくれたりしていましたし、会合にも直接出てきてくれていました。高齢者介護のところもそうでしたけれども、保健士の方も積極的に出てきてくださっていましたし、地域包括支援センターも、そういう動きをするのであれば協力すると言って、毎回のように出てきて、一緒になって考えてくれるということで、関わりそうな人たちがみんな出てきて、地域の取組をどうつくり上げていくかということに関わってくれました。こちらは福祉のプロではないわけですが、こんなことを考えているんだというと勉強の相手になってくれて、アドバイスもくれて非常に助かりました。ですから、その気のある自治体であれば、そういう動き方はできるだろうと思うのです。そうしたら、いろいろなことができるだろうと思いました。
パネルディスカッションの様子
コーディネーター 林(泰)氏
  • 現場では、福祉とハードの運営の人たちが一緒にやり始めているから、今の方向はかなりあると思うのですが、吉井さん、何か関連してありますか。
パネリスト 吉井 氏
  • 我々が手掛けている再開発の中では、高齢者の施設と子育ても計画の中に入れてくれという要望が多いです。弊社が拘わった曳舟地区では、子育て支援を入れました。この問題は行政さん次第かなと思うのですけれども、中野区さんなども、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)をたくさん供給してくれないかというような要請があったり・・、動きはあります。
  • 世田谷区で交通局の土地で定借事業のコンペがあるのですけれども、そこも最初から高齢者とか子育ての施設を入れた提案をという要件があり、こういった動きが顕著になってきています。
  • 私自身も介護という問題を抱えていまして、思いは強いのですけれども、「介護」という器を新たに、作るということは、事業のコスト的な負担もすごく大きいです。
  • 我々がマンションの販売をやっていますと、近居を希望される方が多いです。弊社の場合、戸建の請負事業で、「二世帯住宅」という上下で2世帯で住む形を提唱しております。マンションでも、親子が、「近居」で、お互い助け合っていこうという動きがあります。権利者様との等価交換マンションをつくると、「もともと権利者の親御さんがいるところに子世帯が入ってくる」「車などは親のところに停めておけばいい」ということで、こういった流れが顕著になってきています。我々のような民間も、介護や子育ての器を作るだけでなく、「近居」や「二世帯住宅」などを世の中に提案していくべきだと考えております。コストをかけて器を作るだけでは、介護や子育ての問題は解決できないのかと思います。
パネルディスカッションの様子
コーディネーター 林(泰)氏
  • きょうの資料の中のURの事業地区の見取り図を見ると、これだけの箇所数、URがこの地区の問題に取り組んで頑張っておられるとすると、共通していろいろな専門の人、新しいプレイヤー、新しいことについて、新しい可能性をつくり出したいと思っている方が結構情報共有できると、またいろいろな意味でプラスになるのではないかと思います。
  • きょうご参加のいろいろな建設、あるいはコンサルティングの関係の方などで、共通に情報共有できたり、交換できたりするといいんじゃないかというようなことをお考えの方がある程度おられるようだったら、そういうような機会をつくるのをどういうふうに工夫したらいいかということや、コアメンバーだけではなくて、テーマによって、参加する方がおられるようだったら手を挙げてみてくださいというのをメールで流すとか、そういうことも意味があるかなというふうに思っています。
  • ご意見がある方はお願いします。
パネリスト 林(和)氏
  • 先ほど江東区の北砂を題材に、空き家がかなり顕著になっていますよという話をさせてもらいました。
  • かつて空き家は地方の問題だというふうに言われたことがあるのですが、今は都心にかなり出てきていまして、この間、訪問していて、ここは特に借地人が多いのですけれども、単身の高齢者が多くて、その人たちが例えば施設に入るとか、もしくはお亡くなりになると、それが新たな空き家になるんですよね。そういうことに対して、実は今、勝手に名づけているのですけれども、借地権リバースモゲージの提案を地主と借地人にさせてもらっています。これは、借地人が持っている建物と借地権を今の段階で地主に取得していただく。その住宅に関しては、使用貸借で、本人が施設に入る、もしくは亡くなるまでは住み続けられる。それで、施設に行くなり、亡くなったときには地主のものになるので、新たに空き家を生み出さないということで、民間版のリバースモゲージと言っていいと思うのですけれども、そういう動きを江東区のこの地区でさせてもらっています。昨日、地主さんと借地人に話をして、かなり好印象だというふうに聞いていますので、第1号を何とかしたいと思っていまして、そんな動きを今、密集市街地の中でやっております。

パネリスト 丸山 氏

  • 先ほどのお答えに追加です。富山型デイ自体は、富山県はすごく推進しようとしていて、推進するための組織までつくって、これから起業したい人を集めて勉強会を開催したりもしています。
  • 今回の場合は、基本的に高齢者の多い地域で、何とかしたいという思いがもともと地元にあって、ずっと一緒に暮らしてきた仲間が認知症になって外へ行ってしまうなどということのないようにしたいという思いがあった。それで、こういう事業の中で何かできるのだったらしたいねと、そもそもつぶやきとしてはたくさん出ていたんです。それを、この事業の担当課はストレートに受けとめて、せっかくの機会だからこの機会に何とかしようと地元に提案し、是非やりたいという話になった。
  • では、どうするかというので、富山型デイの事業者の集まりに行って、どこかの事業所がここへ入ってほしいと訴えたら、事業者の人たちは、自分たちでやれとお尻を叩いたわけです。そこでは、お尻を叩いただけの人もいるけれども、私たち、協力するよと言ってくれた人がいる。併せて、県のサポートする部署の人が、私も協力するから一緒に考えましょうという形で後押ししてくださったというのがすごく大きいので、さっき、ないと言いましたけれども嘘ですね。大きく協力をしてくださっていたということになると思います。
  • あわせてもう1つ。その地域が抱えている課題は、放生津地区でも防災まちづくり検討会という名前になっていますし、「防災」とついているけれども、あまり防災のためにやっている意識はみなさんなくて、このまちは高齢者しか住まなくなってこの後どうなるんだ、何とかしたいという思いでやっているんです。その中で、地域が抱えている課題、高齢者の介護のこととか、子育ての支援をしたいとかということを、この機会に何とかしたいというふうに思っているわけです。地域が抱えている課題を常にアンテナを張り、みんなとやりとりして把握しておいて、ここにうまく絡めればできるんじゃないかという提案をしてあげると、もともとやりたいと思っていた人は主体的に、それならできそうだからやろうというふうになって、それで、いろいろなサポートが周辺から受けられて実現していくということになっていくのではないかというふうに思いました。
コーディネーター 林(泰)氏
  • いろいろな形で皆さん、こういうことは可能じゃないかというふうに思いだしているので、その思いがうまく交換できるようになるというのが非常に重要だと思うのですが、実際に集まるのは、こんな大人数集まると考えると大変ですが、現実的に物事を解決するために集まるのだったら、三、四人集まる気になってくれれば、それはそれで1つ、どこかの町のどこかの一画で事が動くんですよね。私たちの現場でも、大体そんな人数じゃないと物事は結構一緒に考えていくというふうには進み始めないので、そんな具合かなというのが私の実感ですが、それがいろいろなところに、いろいろなネットが広がって、それでだんだん力になるというのが現実かなと思っています。
  • だいぶ時間がたってきましたので、髙見澤先生、いかがですか。
髙見澤 氏
  • こういう機会はあまりないので吉井さんにちょっと伺いたいのですけれども、きょう、いろいろなお話を聞いて、URさんなり、リンケージさんだと、ある種の公共的な団体、公益団体でもあるから、自治会から出だしの本当に初歩のところから委託が入ったりしてずっと進んで、全部がうまくいく訳ではないけれども、最後はあるところで事業化までできてと、一連の行動ができるわけですね。しかも、内部事情はよくわからないけれども、人件費的には、いろいろなURの仕組みの中で見られる部分もきっとあるだろう。だけど、民間は、特にきょう、いろいろなパートナーシップというときに、民間事業者さん、特にディベロッパー系の皆さんやハウスメーカー系の皆さんが、林さんが言われたこういうエリアはずいぶん広い訳で、そういうところへ入るには、やはり土地情報がいち早く、デベから見て、使いやすそうな土地情報が早めに得られるといい。だけど、1社に突然くるというはずもないわけだから、ある程度公平に、早めに情報が流されないといけないだろう。だけど、その中で手を挙げると、より詳しい情報が入るとか、きっとこういうところに今関係してくださっているメンバー、きょう出席されている方も含めて、十数社とか、二十数社とか、そのぐらいにだんだん限られてきていると思うので、公平性から言うと、まず広く広げていくけれども、その中でさらに突っ込んだ情報が得られれば、社内でも取り組む気運が出てくると思うのです。
  • 先に土地を広い東京で見つけておいてという手もありますけれども、せっかくこういう仕掛けがあるので、その辺はURなのか、自治体なのかよくわからないけれども、そういう情報を出すということが今あるのかどうか。あるいは、そういう使える情報が、民デベさん、パートナーシップとしてあり得るのかどうか。そもそも無理なのかどうか。せっかくの機会なので伺いたいと思います。
パネリスト 吉井 氏
  • たまたま、われわれも生活再建プランナーに応募しようと思いまして、URリンケージの林さんのところでやられているところにご相談に行きましたら、われわれが駅前でやっている再開発の権利者さんと同じ権利者さんを知っているということがわかりまして、やはり民間単独でやっているより、いろいろ情報交換をやっていると、「あの地主さんを知っているんですか」というようなことにも繋がっていくのだなということがわかりました。ですから、やはり民間も含めて戴いて、そういった横のつながりみたいなものも得られる場があればいいなというのが1つ。
  • あと、我々、今日、このような場でお話しさせていただく中で、行政さん、URさんとか、やはり時間軸で長いこと地元に関わっていらっしゃいますが、我々のような民間の場合、コストの関係で非常に厳しいところがあります。ただ、我々は、そうは言っても、そこでいろいろといろいろな事業などをやっていきたいものですから、1つ考えたテーマで試行しようとしているのは、湯島で、マンションの販売センターと一緒に、地元の方と接する機会、用地の情報の相談などを受けられる、そういうスペース、「アトラス・コレクション」というのを作りました。用地の情報とか生活的なアドバイスだけでは食っていけないものですから、一緒にそこでマンションの販売もやってしまおうと。そういったことをくっつけてやって、何とか10年ぐらいかけて地元に入っていって、地元に拠点を設けて時間軸をつくる。そういう、さっきのコンシェルジュじゃないけれども、そういったものを民間としても地元に出していくということで私たちはトライしておこうと思っています。
パネルディスカッションの様子
参加者
  • 吉井さんにお尋ねしたいのですけれども、民間の業者さんで再開発事業をやられているということですが、関わった経緯というか、どういった形でそのお話がきたのか、そういったところを詳しく教えていただければと思います。よろしくお願いします。
パネリスト 吉井 氏
  • 再開発への関わり方は、一般的にはコンペで公募があって出ていくというところですけれども、情報の収集としましては、行政さんに伺ったり、コンサルさん、URさんとか、いろいろなところにも回ったり、営業しながら情報というのは入手していきます。
  • 最近では、私どもも、有り難いことに、実績がだんだん出来てきてから、いろいろなコンサルさんとか行政さんからも、「またやってもらえないか」と、声が掛るようになってきました。
パネルディスカッションの様子
参加者
  • きょうは大変おもしろい話をいろいろ聞かせていただいたのですけれども、実は、一番気になったのは富山の事例で、密集は首都圏でもなかなか事業が動かないと皆さんおっしゃっているわけですね。その原因は、恐らく出口と言っていますが、事業を行った後の床を、誰がどう処分してくれるのか見えない、あと、従前の権利者がどういう条件で、等価交換で動いたり、事業手法はよくわからないけれども、いろいろな形をとっていけるのかということだと思います。それが富山という立地で実現できたということに一番ショックを受けたというか、すごいなと思ったのです。
  • うまく進めた理由は何でしょうというのが素朴な質問ですけれども、公共団体が相当力を入れて、例えば税金も投入したし、事業が転がるような努力もしてくれたということであると、その一言なのかもしれないですけれども、それ以外に、例えば従前の権利者が、何の持ち出しもなく、新しい権利で移れたのかとか、そのあたりは非常に興味を持ちました。ハードの話で申しわけないのですが、よろしくお願いします。
パネリスト 丸山 氏
  • 制度の話は、時間もないので一切していませんでした。基本的には、今だと住宅市街地総合整備事業と言われる要綱事業に基づいて、その制度を活用しています。ただ、この制度で出来ることを東京都内では全部活用はしていないですね。富山は、今回は出来るものをどんどんやった。具体的には、古い住宅は買収をしています。生活道路を通すところに少しでもかかったり、あるいは、面的に建替えをしようというところは買収をしています。
  • 先ほど都市計画道路ではなくて、生活道路のような狭いところでも、都市計画道路のように補償したらどうだろうかという話がありましたけれども、制度的には出来ます。4m道路に拡幅する場合でも出来ます。ただ、それを使うかどうかですね。今回の場合は、4mではなくて、6m道路に拡幅するということで、街区内の道路を広げていますけれども、関わっているところはすべての住宅を買収しました。
  • それから、共同住宅を建設するに当たっては、市街地再開発事業とほぼ同じような補助金を建設費や設計費に対して行政は出しています。
  • それから、借り上げ型の公営住宅に当たるもの、都市再生住宅と言いますけれども、これを行政が20年間、市場家賃で借り上げることにしています。ですから、建設する側は、建設に対して補助金をもらって、その補助金をもらって建てた建物について、20年間は大体これぐらいの家賃で行政が借りてくれるということで、目途が立てられるのです。それなら、20年後、もう少し返済が残るけど、何とかなるなということで建設事業もやるし、所有もしようということで参加してもらっています。
  • それから、権利者のほうは、行政が買い上げてくれたお金を頭金にしながら、賃貸で家賃を支払い続けるのか、自分で取得をするのかという判断をされることになります。自分で取得をする人は、大体、買収したお金だけでは無理で、今までの蓄えから幾らかのプラスをして取得をしています。もともと持ち家志向が強い地区で、賃貸を希望する人はいないだろうと思っていたところが、逆に賃貸を希望する人が多くてビックリしているというのが地元の行政の方の気持ちです。
  • もう高齢で、子供たちはみんな家を持っていて、いまさら家を持っても、次に誰に渡すわけでもない。ならば、みんなと安心してこの地域に住み続けられればいいじゃないかと。一軒家で住んでいると、雪が降ると除雪をどうするんだとか、いろいろ心配があるけれど、共同住宅だったらその辺の心配をしなくていい。それから、海沿いなので風も強いですから、家が揺れて、風のたびに恐い思いをしていたのが、その辺は安心だと。それで、積極的になった。一つできてみると、二つ目はもっと積極的にみなさんができれば入りたいという話になっています。住宅を買収できるのは生活道路とか、道路を整備するのに少しでもかかっていたり、面的に整備するところですから、山王町の県道に面した表の通りのところは一切買収しない、できないのです。そこからも入れてくれという手は挙がるけれども、入居の条件に合わないと言って断っている状況です。なぜ入れてくれと言うかというと、もう80歳で一人暮らしだとか、80歳と六十幾つの子供との親子2人だけで暮らしているというような人が沢山いる状況だからです。
  • そんなことで、出来る範囲ですけれども、制度として既にある範囲ではありますけれども、行政のほうが相当目一杯支援をしているというのは実際にあります。
参加者
  • 土地を持っている人が賃貸に移るというのはあるのですか。
丸山 氏
  • はい。放生津地区は借地の人はほとんどいませんし、借家の人も多くはありません。もとは、みなさん、土地を持って自分で住んでいらっしゃるところです。それでも、みなさん賃貸に、そのほうが安心できるということで移っています。
参加者
  • ディベロッパーというのは地場のディベロッパーですか。
丸山 氏
  • 事業施行者は、地場の宅建業者です。初めは2つある宅建業の団体のうちの片方だけに募集をかけて先へ進もうとしたら、「だめだよ、もう一団体あるよ」という情報がきて、慌ててもう一方にも話をして、最終的に2社が残ってくださり、一緒に会社をつくってもらってやっています。
参加者
  • 台東区に会社がありまして、台東区でやっている不燃化特区の取組の戸別訪問を今年度経験しました。そこで感じたことですが、会社としては何百世帯、私も100世帯以上、戸別訪問したのですけれども、今まで建て替わっていない家ですので、ほとんど相手は高齢者です。今いろいろ出ていたように、ひとり暮らしが多いのですけれども、結局、助成制度も用意しても、建て替えるなどという反応はほとんどないんです。そこで見えてきたのは、やはり子供が外にマンションを買ってしまったとか、そういうことが多いので、本人はそのまま放っておいてくれということばかりです。そこを不燃化する場合はどうしたらいいかというと、子供は確かに別れて住んでいるのですけれども、将来、子供や孫と一緒に住むとか、そういう将来像が見えてくると、お年寄りでもさらに積極的に住もうという意欲がわいてくるし、もっと安全な住まいになって、結局は居住者がよくなるんですけど、なかなかそこまでいかない状況にあります。だから、単に不燃化というのではなくて、髙見澤先生のお話にありました暮らしの改善というか、そこも含めて不燃化というものを考えなければいけないのではないかというのを仕事を通じて感じたので、ちょっと紹介させていただきました。
パネルディスカッションの様子
コーディネーター 林(泰)氏
  • ありがとうございました。まだまだいろいろおありになるかと思いますが、締め括りに移りたいと思います。これから先の進め方で、何かURのほうからこの際、提案をしておきたいことがあれば中村さん、お願いします。
パネリスト 中村TL
  • コミュニティ・カフェのようなものというようなお話がありましたけれども、これは、まさに前回の世田谷区における地域資源活用事例の中に、安藤さんという方が、古いアパートを相続したけれども、使い道を考えると、あまり収入も得られそうもない。その中で、1階をぶち抜いてデイサービスを始めたのですが、ただのデイサービスではつまらないので、プラスαでそこを地域の交流の場にしようということで注目を浴びている物件がございますし、それから、イクツアルポックというところも、まちの寄合所、それから、高校生の居場所、そういったものも古い建物を使いながら提供しているというようなものもあります。
  • これはちょっとPRめいたお話になりますが、私どもの街みちネットのこれまでの活動ですとか、「街みち甓版」、これは私も今のポストに来てじっくり読んだのですけれども、結構すごいことが書いてあるし、いろいろな情報の宝庫でもありますので、ご覧いただいている方がたくさんいらっしゃると思いますが、またぜひこの機会に、こういった情報を見直していただけるとありがたいというふうに思っております。
  • それから、その前に、投げ掛けをいただいたのに、少し時間が空いてしまいましたが、まさにアンコの部分も道路の整備をしていく必要があると思っていまして、区によっては道路事業で進めているというところもあります。ちゃんと補償費を払って進めているところもあるのですが、やはり区のほうもマンパワー、それから財源の問題もありますので、全部をやるわけにいかず、やはり集中的に効果の高いところをやっていくということになると思うので、言い忘れましたが、私も土木ですけれども、先生のご研究の中で、やはりこういう見つけ方をしていくべきではないかというようなところがあれば、またこの会に参加していただいて、どんどんご発言をいただければと思っております。
  • それで、今、コーディネーターの林先生から言われたお話とちょっとズレてしまうかもしれませんが、やはりこの会は、人と人とのつながりを生み出す機会とは思っているのですけれども、たぶん技術的な、あるいは、もっと人間的な関係を深めていこうとすると、何か具体的な事例がないと、それは成し得ないのではないかというふうに感じております。ですから、仮想の事例でもいいですし、例えば1つの困っている実際の事例でもいいのですけれども、そういったものを、今、情報の問題はいろいろあるのですが、こういう場に持ち込んでも問題のない範囲で持ち込んでいただいて、それをまたみんなで議論していくというのも、また次の展開につながっていくのかなというふうに個人的には思っております。それは1つのやり方だと思いますけれども、いずれにしても、この街みちネットをより具体的な活用をしていくために、どういうふうにやっていけばいいのかというところを、皆さんもいろいろ考えながら、具体的なご意見をいただけるとありがたいというふうに思っております。
コーディネーター 林(泰)氏
  • ありがとうございました。今のようなお話を含めて、今後、せっかくいろいろリストにも載せさせていただいた皆さんのお名前、あるいは連絡先がわかってきておりますので、それを使って情報をできるだけお流しするというようなことをどうやったらいいかというのをまずは考えたいというふうに思います。
  • その上で、こんなにたくさん一堂に集まるというふうに考えるのではなく、こういうケースについて特に今度議論したいとか、今のお話は、具体的なケースが取り上げられるから、関心のある方は手を挙げてくださいという投げかけをした上で、小さな勉強会みたいな情報交換会というか、あるいは、場合によってはアクションチームをそこからスタートさせるなど、そういうことにつなげていけないか。そういうものが少しずつ動くようであれば、それを基にして、また次のテーマなり、ここでのディスカッションの企みを考えられるといいのではないかと思っております。
  • 最後に、アンケート用紙も入っておりますので、いろいろお考えになったことをお書きとめいただいくと大変うれしい次第です。
  • 長時間、あまり鮮やかな進行ではなかったと思うのですが、しかし、パネリストのプレゼンテーションの内容が、短いけれども、非常にすばらしい内容で、いろいろ勉強になりましたし、皆さんのご質問やご提案も大変参考になりました。是非、今後ともまたこのような機会をつくれれば、あるいは、これに勝る機会がつくれればと思いますので、よろしくご参加いただければ幸いです。

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