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街みちネット 第14回見学・交流会「せたがや水辺の楽校はらっぱ、きぬたまの家」

これまでの活動の紹介

活動議事録

【現地見学】せたがや水辺の楽校はらっぱ、きぬたまの家
せたがや水辺の楽校はらっぱ

きぬたまあそび村代表 上原氏
立上げの経緯
  • 15年前に私たちはこの地域にプレイパークを作りたいと思いまして、砧・多摩川あそび村(通称・きぬたまあそび村)を立ち上げました。それまではここは草ぼうぼうの未利用地でした。
  • ちょうど多摩川の整備計画が持ち上がって、河川行政が変わるタイミングにめぐり合うことができて、それまで治水や利水が中心で河川敷には構造物を置いてはいけなかったのが、環境重視に変わりまして、トラストまちづくりにコーディネートで行われた世田谷区内の河川敷の「ふれあい巡視」で、地域の人たちが集まってこの場所の使い方について意見交換をしたというところから始まりました。
  • 8つの機能区分でのゾーニングの中で、この未利用地だった場所を、子どもたちの自然体験のあそび場として使おうということで意見出しをさせていただき、それをちょうど2000年の多摩川水系河川整備計画の策定に間に合わせることができました。
「せたがや水辺の楽校」立上げとあそび場づくり
  • ここは一級河川なので国が管理者ですが、国土交通省の事業として1996年に立ち上がった「水辺の楽校」プロジェクトというものがあります。河川敷を子どもたちの遊びと学びの場としてもっと利用するために、国はハード整備を担当し地域の住民が主体となってソフト対応をするという、官民協働事業だったので、「水辺の楽校」候補地として手を挙げさせていただきました。きぬたまあそび村としてあそび場活動をしながら、あそび場づくりのために地域に声を掛けし、専門家を有する環境学習を目的とした「せたがや水辺の楽校」という団体を立ち上げました。
  • 堤防から道路に降りるスロープは以前は付いていなくて、地域の人たちが勝手に作ったと言われるかなり急な斜面の通路があっただけでした。危ないので、そこをずっと町会も整備してくださいと行政に言っていたんですけどなかなか動かなくて、国土交通省に水辺の楽校のハード整備として予算をつけていただいて、唯一のハード整備としてやっていただきました。
  • あそび場づくりは開校当初から地域住民のみなさんに集まっていただいて、池を掘ったり、丸太でベンチを手作りしていましたが、2012年に世田谷まちづくりファンドの拠点づくりの助成金をいただいて、いろいろな整備をしました。多摩川は広域避難場所にもなっているので、町会とご相談して防災目的も兼ねた整備もしました。
  • いちばん日常的に使っているのが「きぬたまあそび村」で、今、世田谷区の「自然体験遊び場事業」という事業を委託していただく形で、住民主体で毎週水曜日と土曜日にここで遊び場を開いています。もともとここを作ろうということで活動を始めた人たちが15年経って、世代交代もしていますが、その世代交代を軸にして、受益者負担を実践するような運営をしています。
  • 基本的に「冒険遊び場」(プレイパーク)は、火や工具を使ったり、「きぬたまあそび村」は川遊びもしたり、子どもたちがタブーと言われて遠ざけられていることを積極的に取り入れています。
  • 河川敷から歩いてすぐの鎌田区民集会所に水辺の楽校で利用している物置があります。この中に遊び道具がいろいろ入っていて、開園の時にはリヤカーで持っていきます。
整備内容について
  • 「ツリーシェルター」を作るのが実はいちばん大変でした。河川敷で1mを超えるものを作る時は撤去計画を出さないといけないのですが、大きな問題だったのは、まちづくりファンドの拠点づくりの助成金はテントのように可動式のものはいけないという縛りがあり、それに対して河川敷は可動式じゃないとダメだと、真逆の約束事があったんです。
  • それをどうやったらクリアできるのか、一生懸命考えました。それで実は、このツリーシェルターと隣のベンチの土台の部分が全部同じパイプで作られていて、間隔も同じになっています。要は「可動式」ではなくて「ユニット型で組み換え可能」ということで、通していただきました。
  • 世田谷区の二子緑地管理事務所が近くにありますが、そこがこの周りのグラウンドなどの整備をしていまして、台風が来るとなるとトイレや野球のバックネットなどを全部上に上げるという管理をやっていただいている場所なので、その撤去計画の一部として、この施設もいざという時は上に上げることになっています。
  • そういう約束ごとの元に、これを何分で撤去できるかというのも実際にやってカウントしてみることで、設置が可能になりました。
  • ツリーシェルターには間伐材を使って作っています。間伐をしないと下草も生えなくなっていまいますが、間伐材というのは積極的に使うのは難しい材です。間伐材を使うことが森を元気にするということで、森と川はつながっているという環境学習も含めてこういうものを設置しました。
ツリーシェルター
  • 「遊べる井戸」は、ここで子どもたちが水遊びをすると、水路で「トンボ池ビオトープ」に水が供給されるというシステムになっています。きれいな水が出ますが、水質検査はしていないので飲めません。水を飛ばして遊ぶこともできます。タイルの飾りは子どもたちと一緒に作りました。地域のタイル職人のお父さんがいらっしゃったので、その方に全面的にご協力いただいて、多摩川に住んでいそうな生き物をテーマに子どもたちに参加してもらって作りました。
  • 「トンボ池ビオトープ」は、今は草ぼうぼうになっていますが、今年の4月にはギンヤンマの羽化が見られたり、トンボのヤゴが生息したり、いろいろな生態系が見ることができる場所になっています。
遊べる井戸
  • ここから川側はジャコウアゲハなど貴重な生き物が生息している生態系保護区域になっていて、あそび場になっている方は世田谷区が冬場に一斉に草刈りをしてくれるんですけど、川側は刈る時期を操作していて、生態系を守るために新芽が出てくるタイミングや虫が営巣するタイミングなど、いろいろなことを考えて管理されています。ただ、こういう区域が背中合わせにあるということで、子どもたちの遊びにも豊かな影響を与えていて、例えばこの間も、セイタカアワダチソウを使って草木染をやったり、冬にはつる植物の葛のつるを使ってクリスマスリースを作ったり、遊びにも展開しています。草刈りを自分たちでやるというのは遊びにもつながっていて、草の迷路を作ったりして楽しみながら草刈りを地域でやっています。
  • 「ツリーハウス」は今回のファンドの拠点整備の前、2008年に、近くの多摩美術大学に「卒業制作で秘密基地を作りたい」という学生がいて協力して作ることになりました。でも大学生だけで秘密基地を作っても卒業制作としては子供っぽいということで、ここにきている子どもたちと一緒に作ったのが一代目のツリーハウスです。
  • 作ってからしばらくそのままの状態でしたが、ロープで縛ってあったり、木に載せてあるだけだったり、木には負担をかける構造で、老朽化してきた部分もあったので、木に負担を掛けない構造に作り変えました。
  • 一代目を作った子たちにとっては、自分たちが作ったツリーハウスが作り変えられるというのは悲しいことなので、卒業制作でツリーハウスを作っていく工程を記録した映像をみんなで見ながら同窓会をやって、次へバトンを渡していくというセレモニーをしました。
  • 途中経過を撮った映像は卒業制作で優秀賞をいただきました。そういう思い出の詰まったものです。木の下に作った子たちと大学生でタイムカプセルを埋めて、10年後に開けようね、ということになっているメモリアルの大事な場所になっています。
ツリーハウス
遊び場の管理について
  • 今ここは「せたがや水辺の楽校はらっぱ」と呼んでいて、地域で草刈りをしたり、実のなる木を植えたり、そういう場づくりに関する意見交換や、実際にここを整備することを地域の判断をいただいて行っています。
  • 水辺の楽校が主体となって、8団体が参加する「水辺の楽校はらっぱの会」をつくりました。
  • 多摩川の河川敷は本来、火を使っていけないことにはなっていませんが、世田谷区では一時期、二子玉川の兵庫島でバーベキューのゴミが問題になり、一切禁止になってしまいました。しかし、ここにあるかまどなどいろいろな設備の整備に伴って、ここで火を焚いて、子どもたちの活動の滞留時間を長くする目的で使いたいという団体に「はらっぱの会」に入っていただいて、管理もしながらここで煮炊きをすることを可能にしようということで管理をすることになりました。他にも児童館、保育園など子どもにまつわる活動をしている人たちにも「はらっぱの会」に参加してもらっています。

きぬたまの家

きぬたまあそび村代表 上原氏
  • 世田谷トラストまちづくりのコーディネートで、新築の住宅の1階と2階の一部スペースをお借りして、「おでかけひろば」という子育て支援の活動をしています。毎週月曜日から金曜日まで乳幼児を連れたお母さんが遊びに来る場所ということで運営をしていて、あと一時預かりもやっています。今日も利用者さんがいらっしゃるので、のぞいていただく程度しかできないかもしれないんですが、ご案内できればと思います。
きぬたまの家外観
参加者
  • どういう方が利用されるのですか?
上原氏
  • お母さんが小さい子を連れて遊びに来る場所なんですが、このところお子さんのお母さんがお産で入院している間ご実家で預かっているというおばあちゃんからのご相談もいただくようになって、地域でいろいろ利用していただいている場所になっています。一時預かりについても、リフレッシュ預かりと言って、条件なしでお預かりするということになっているので、ちょっと美容院に行きたいとかお買い物に行きたいというような、日常の活用をしていただくという場所で、利用者さんから「実家に遊びにきたみたい」と言われるようなコンセプトの場所にしています。なので、スタッフもみんな「先生」みたいな感じはなくて、覚えやすい名前で呼び合ってもらうような親しい関係になりたいなということで、そういう雰囲気の場所にしています。
参加者
  • 一時預かりは有料でやられているのですか?
上原氏
  • はい。一時預かりは基本的に2時間1,500円からで、あと1時間ごとに1,000円増という形ですが、今日も5時間フルで預けていらっしゃる方もいらっしゃいます。
参加者
  • 法的な制度の中には乗っていないのですか?
上原氏
  • 乗っています。世田谷区の「おでかけひろば事業」から補助金をいただいて国と自治体とで事業費が出るので、それで運営させていただいています。スタッフのお給料は時給840円くらいで、保育士さんも同じ金額でやらせていただいていて、本当は資格を持っているともっとたくさんいただけるのですけど、ここの場合はそういう平らな形で運営させていただいています。家賃もお支払いしているので、基本的に有償ボランティアという立場で関わっていただいているというような場所になっています。お子さんを持っていて働きたいという方も地域にはたくさんいらっしゃって、そういう方たちに子どもが学校に行っている間だけ働いていただくこともできるので、地域の中で働く場ということで、大事な場所だと思います。。
参加者
  • あの建物は空き家だったんですか?
上原氏
  • あそこを建てる時にオーナーさんが普通に貸すのではなくて、地域の子育て支援のために使ってくれる団体はいないかということで、トラストまちづくりさんにお声掛けいただいたという経緯があります。あの立地条件だと河川敷あそび場からすぐなので、きぬたまでしょうということでお声掛けいただきました。あそび場の活動のインフォメーションをしたり、この間は草木染の時はあの家の中で布を切る作業をしたりもするので、利用者のお母さんにもお手伝いをしてもらうことで外遊びにお誘いするとか、外と中とをうまくつなげたいなと思ってやっています。

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