街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第13回見学・交流会 質疑応答・意見交換

これまでの活動の紹介

活動議事録

質疑応答

質問1
  • 先ほど、スライドの中で見せていただいたさまざまな事例の中で、おっと思わせる空間でコンセプトを明確にさせてデザインされているという事例のご紹介がありました。そういうデザインコンセプトは、東急さんのほうで提案されるのか、それともデザイナー集団のようなグループがあって、そちらで提案されるのか、その辺をお聞かせいただきたいなと思ったのと、それから、見た目で言うと、かなり斬新なことをいろいろされているように思ったんですけれども、施工の体制などはどういうふうにされていたのか。
山下氏
  • まず、デザインに関しては、基本、全部自社で基本コンセプトを決めまして、細かい設計については、基本は施工会社と一体になって進めているというのがやり方になります。なので、施工に関しても、もとの建物の構造やコンセプトによって何社かいる施工会社のうちから一番うまくやってくれそうかなというところを我々が選んで進めているというやり方になりますので、先ほどの設計コンセプトは自社で決めて、細かい実施設計、施工に関しては施工会社と協力してやってきたというのが実際のところです。なので、工事は下請で施工会社を使っていたというところになります。
質問2
  • いろいろな事例をありがとうございました。どういう体制でやってきているかというのは一言で言えないと思うんですが、例えば、先ほど、ア・ラ・イエで60とか70とかという件数をやっているというのは、大体どういう専門の人とか、何人ぐらいでどんなふうにやっていたんですか。
山下氏
  • ア・ラ・イエは、2005年にスタートしたときは、1人で立ち上げた私の元上司がおりまして、その上司は、別に不動産屋さんでも技術屋さんでもないので、企画をしたと。それに対して、当然、リニューアルする工事の目が必要なので、工事担当者ということで東急建設から1人、人を借りまして、最初は2人でやっていたんですね。その年は1棟しかやっていないので、その2人で1棟やった。
  • その翌年からそれが2棟になり、3年目が5棟になりという、倍々ゲームのようにふえていって、ピーク時が年間で25ぐらいやっていたんですけれども、そのピーク時は4人体制でしたね。当時の担当者、私は最初仕入れの担当をしていたので、いわゆる住み替え先、例えば、我々で言うと、新築マンション、ドレッセシリーズという新築マンションのモデルルームにしょっちゅう行って、買い替えのある方のご相談をしながら、ご自宅を査定をして、住み替えの仕組みをご説明してということを私が直接やっていました。
  • あとは、先ほどのコンセプト決めは、もう一人担当がいまして、その担当を中心に、4人で話し合ってコンセプトを決める。仕入れたもののコンセプトを決めて、実施設計、工事になる段階で、もう一人技術屋さんが新たに加わって、その技術屋と工事の現場担当と4人の体制で、ピーク時25棟ぐらいやっていたということです。
質問3
  • 先ほどご説明いただきました中古の戸建て住宅のリノベーションについて、木造ですと、減価償却の期間とかが10年とか20年ぐらいだと思うんですけれども、これは、リフォームした場合に銀行の融資とか償却期間でどんな程度の認定期間かなとちょっと疑問に思いまして、やはりRCのほうがいいのかとか、そこら辺はどういった形でやられているんでしょうか。
山下氏
  • まず、融資に関して銀行さんの見方は、当時はまだリフォームに対して融資というのは非常に薄くて条件が悪かったんですね。ただ、我々、耐震基準適合証明もつけて、ほぼ新築みたいな家なんだというところを当然金融機関にも説明はしていて、信託銀行さんにつなぎ融資まで受けている状況でしたので、その辺は何とかご理解をいただいて、販売価格の100%は出ていなかったかもしれないですけれども、8割から9割の融資は受けられていたというのが、当時は結構画期的だったと思います。今でこそ当たり前になりましたけれども。
  • あとは、建物の評価に関しては、当然木造の古家なので、かなり償却して、固定資産税も安いものだったんですね。これも当時は税制というか、行政さんの見方が決まっていなくて、手は入れたんだけれども評価が変わらないという話もありました。途中からリフォームが盛り上がってきてからは、行政区ごとに対応が違ったものの、基本的には評価は上がっていました。新築とまでは言わないですけれども、新築の8掛けぐらいの評価をされているケースはありました。
  • 通常は工事をやった分だけ評価は上がっているはずで、リフォーム・リノベーションに対する、税金上の評価というのは基準が大分できていると聞いています。
質問4
  • 最後のほうでご紹介いただいた1棟リノベーションのことでお伺いしたいんですけれども、いただいた資料を見ると、空き室になった専有部からリノベーションして、それを随時販売していく手法というふうに書いてあるんですが、写真を見ると、大分共用部にも手を入れられているように見えるんですけれども、そのあたりをもう少しご説明をお願いします。
山下氏
  • ここに載せさせていただいている物件は、そこに書いてあるとおり、賃貸物件の住まい中のものを弊社で買い取りをして、空いた部屋から専有部をリノベーションとして売り方をしている物件なんですね。共用部分は、ある一定のタイミングでできるときに一緒に手を入れて、基本、共用部分も全部手が入っています。これは、やり方は、もとの建物が今どういう状態かということによって全然変わってきますので、全部空いていれば、全部一遍にやるのは当然ですけれども、なかなか今どき全部空いている素敵な物件というのは世の中に余りないものですから、お住まい中のものも含めてやっていくというところでございます。
質問5
  • 名建築の保全継承の取組みをしています。50年ほど前に建てられた一戸建て住宅があって、そのオーナーがもう高齢で、お一人なので、この住宅と土地を継承して保全しながら活用するという文化財的取り扱いができないだろうかという話です。
  • 私たちのNPOで、文化財の保存をやっている専門の方々のネットワーク、それから、その住宅自体は非常に有名なピアニストが住んでいたので音楽のネットワークもあるということで、建築と音楽のネットワークの人たちにいろいろと呼びかけて、何かできないかと、5年ぐらい取り組んでいました。そうしたら全然それまでネットワークに入っていなかった関西の方がぜひ保全していこうということで協力してくれることになり、地域にも一生懸命残そうとして動いている人がいたので、そういう人たちとの協力関係をつくって、本人は関西にいるのですが、保全ができるようになった事例がありました。
  • それは特殊な例かもしれないですが、それをきっかけにして、我々のところでは保全継承型住宅遺産と言えるような住宅の保全継承のトラストをつくろうとしています。いろいろな案件があることはよくわかってきたんですが、それが限られた専門家とか、お金がない人だとかで知恵を出しても限界があるということで、そういうケースについて、例えば今回やってこられたような、専門性もあるし、資金もあるし、いろいろな体制をつくれるというところで何か連携することが可能にならないかと思って、きょうのお話としては見当外れかもしれませんが、いろいろな可能性が見つけられればいいなと思ったので、何かヒントをいただければと思います。
山下氏
  • ありがとうございます。  先ほどちらっとお話ししましたが、今、横浜市さんとやっている「次世代郊外まちづくり」の中では、たまプラーザのほうの美しが丘1丁目から3丁目がモデル地区ということで、この地区の中で先進的な事例をつくっていこうということで現在活動していますけれども、恐らく今後その中のテーマでも、空き家対策とか、そういったものが必ず出てくるだろうと思っています。そういったものに対する対策のノウハウというのは、我々が今までア・ラ・イエでやってきたことそのものでありますので、今、ア・ラ・イエが残念ながら件数を上げられてはいませんが、ひとたびそういう向きになれば、必ず我々がやらなければいけないことは明確になるだろうと思ってはいますので、その辺の空き家対策が動くのと同時に、今おっしゃっていただいたような、どこの地域でも起こりうるそういった問題に対するコンサルテーションだったり、ソリューションというのができるのかなというふうに思っていますので、そういう機会があれば、ぜひお伺いしたいなと思います。
質問6
  • リフォームをする際に、まず骨組みまではがして、全体的にやっていくということと、コンセプトを決めて、豪華な建物にするということで、かなりお金がかかっているのではないかと思いまして、建て替えでなくリフォームをやっているというところに、東急電鉄さんとしてどんなメリットがあるのかなと。
山下氏
  • 難しい質問ですね。リノベーションをすることによるメリットというよりは、やはりほかと違うものを世の中に出している、もしくは、売主さんのお役に立っているというところに重きを置いてやってきたというのが事実かもしれないですね。確かにリノベーションにかなり費用がかかっています。お安い新築住宅に比べて、我々のやっているリノベーションのほうが高価な場合が結構ありまして、単純に坪単価で言うと、坪50万ぐらい費用をかけてリノベーションしていますので、40坪の家で2,000万ぐらいの工事はしています。ただ、グレード感でいくと、新築で坪50万で建てられるお宅と一緒にはしないでくださいという内容で、それは見ていただければ、多分皆さん納得されていましたので、そこはクリアになっていたのかなと思ってはいます。それでもリノベーションすることの意味というのは、先ほど申し上げている街並みのことであったり、周りとの関係性のことであったり、環境に優しいということであったり、そういったところでプラスアルファがあるというところでご理解をいただいているケースが多かったです。
質問7
  • リノベーションの中で、骨組みだけを残してというようなことがあったと思うんですけれども、実際、設計をやられている中で、もともとあった建物の中のものを生かした事例はありますか。
山下氏
  • かすかな記憶をたどっていくしかないんですが、今まで表に出ていなかった部材、梁だとか柱をわざとあるものを、ちょっと塗装はしましたけれども、外に見せようというやり方で生かしたケースというのがありました。もともと2階建てで1階の天井が張ってあるところをはがして、吹き抜けにした部分があって、そこに上に梁が出ているものを生かそうという形でやったケースというのは、いくつもあります。あとは、もっと細かい部材の話で、玄関ドアがかなり立派なドアで、これだけは使ってくれとか、あとは、リビングのドアのガラスが、これは今じゃ手に入らないから捨てないでくれというようなものをそのまま再現しているものということは、ある程度要望を聞いていました。
質問8
  • あざみ野団地のタウンハウスの件なんですけれども、こちら、インターネットで見ると、内装は結構改修されている紹介があったんですが、外装、屋外に手を加えられたということがあるのかどうか、教えていただければ。
山下氏
  • あざみ野団地に関しましては、3年前に大規模修繕されていて、31年たった団地とは思えない状態でした。サッシュは全部ペアガラスのすばらしいサッシュに変えられていて機密性がかなり上がっていますし、外装はそれなりにきれいなんですね。また、それをみんなで決めてやったんだというのにびっくりしました。あとは、今回のところはお庭があるので、お庭を作り込みました。壊せないものを置いてはいけないんですけれども、どかせるものだったらいいということで表装をタイル張りにしたり、芝を張って築山みたいなものをつくったところはあります。

まとめ

玉川田園調布住環境協議会 他:林氏
  • 時代が新しい方向に変わったというのが実感です。リフォームの仕組みも新しいものが生まれてきて、我々がそれを具体的に体験して、今まで思ってもできなかったようなこともできていく、と思いました。
  • 取組まれていることの中身をいろいろなところで今後私たちが活かしていければ、尚良い街並み、環境、暮らしの問題というところに役に立つと思います。新しい建物を作り新しいまちを作るということがこの田園都市の初めで、そのことの意味が大きかったのは確かですが、やはりそれから何十年もたって、それを受け継ぎながら更に価値のあるまちにしていけるかということについて、具体的にいろいろな発見と、いろいろな試みと、いろいろな成果が出てきているので、これはURも猛勉強しないといけないと思うし、いろいろな可能性があると思いました。別の見方からすると、URは行政的な面からの制約もあって、やれることやらないことがある、東急さんの場合も民間だから自由というわけではなくて、同じように制度、仕組み、会社としての枠組みなどいろいろあったと思いますが、その中で民間であることの良さを活かせる、これを生み出したのはご担当の皆さんの知恵と努力だと思いますが、拝聴していて、新しい連携が考えられるんじゃないかなと思いました。今後また様々な形で、きょうのア・ラ・イエという仕組みだけでなく様々な展開をするということについて、お見えの皆さん、いろいろな形でお互いに知恵を出し合いながら、1つずつ、暮らしていくことの楽しさを実現することで、暮らしの上での困難に直面しているさまざまな方、あるいは高齢の方々にまた新しい可能性を見出していくということも期待できるのではないかと思いました。どうもありがとうございました。

関連ページ

メニューを閉じる

メニューを閉じる

ページの先頭へ