街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第13回見学・交流会「住環境維持の取組みによる鉄道沿線地域のエリアマネジメント」

これまでの活動の紹介

活動議事録

住環境維持の取組みによる鉄道沿線地域のエリアマネジメント

東京急行電鉄株式会社 ア・ラ・イエ センター 副センター長  山下 智幸 氏
自己紹介
  • 皆さん、こんにちは。東急電鉄ア・ラ・イエセンターに勤務しております山下と申します。
  • お話を聞いていますと、非常に多くの皆さんに、まず、鉄道会社として非常にお世話になっているんだなと改めて実感しておりますけれども、まず最初におわびを申し上げないといけない。この間、大雪の件で、東横線におきまして事故を起こしてしまいまして、皆様には多大にご迷惑をおかけしまして申しわけございませんでした。ああいうニュースを見ると、実際のところは私は鉄道事業には従事していないので、一瞬自分の会社だということを忘れてしまうんですが、よくよく自分の周りにあるものを見ると、あのマークがちゃんとついています。鉄道とまちづくりというのは非常に密接なかかわりがあって、鉄道を持っているからこそ、これだけのまちづくりができるというところもありますので、その辺を今まで以上に意識しながら仕事をしていかなければいけないなと感じているところでございます。
  • 前置きが長くなりましたが、まず本日の内容を書かせていただいています。基本的には、きょうは住みかえ支援システム「ア・ラ・イエ」のご説明を8割から9割方させていただきたいなと。実は「ア・ラ・イエ」と言っているのも年々変化をしながらこれまで取り組んできているので、そのあたりも終わりのほうでご説明しようと思います。
  • あとは、これは話す前に申し上げるのは申し上げにくいんですが、実はこの仕組みは、今現在うまくいっているかというと、うまくいっていないところがございまして、ずっとやってきた私なりの今後どうしたらいいんだということも最後にちょっとだけお話ししようかなと思っています。
  • 右側にある朝日新聞の一面、こちら、2005年の6月にこういう形でバンとニュースが出まして、私はこのとき、実は東急電鉄に所属はしておりませんで、この後ご説明しますが、千葉県佐倉市ユーカリが丘というニュータウンを開発している山万という会社におりました。そちらにいるときに、実はこの記事を見て、本当にこんなことができるのかと思っていたら、次の年に何とその事業を担当することになったというご縁があります。
  • 簡単に自己紹介させていただきます。大学を卒業しまして、先ほど申し上げた山万に入社をして、ユーカリが丘ニュータウンの開発に従事しておりました。先ほどの新聞記事の翌年に東急電鉄のほうに入社いたしまして、そこからずっとア・ラ・イエを担当している。これが私のキャリアになります。
  • もともと、会社は住み替え支援が件数も多くて、こちらを中心に活動していましたが、住み替え支援のほうが件数がやりづらい環境になってきたというところで、注文住宅、リノベーションの請負業のほうに一時的にシフトしまして、またその後は業務の担当替え等もございまして、今現在は、主にビル、マンションの耐震補強のご提案を中心に活動しているというのが現状でございます。
ア・ラ・イエのコンセプトやメニューなど
  • では、ここからア・ラ・イエのお話をさせていただきますが、まず、ア・ラ・イエの定義。古いものをそのままなるべく使おうというところが前提としてございまして、街並みを守りながら沿線価値の維持向上を目的とした、沿線にお住まいの方の住み替え、建て替えも含めた住まいのお手伝いをするシステムです。新しくしたり、改めることによって、住んでいる方、購入している方の生活を支えることを目標にしており、沿線の付加価値の維持向上というのが大目的でございます。
  • 「ア・ラ・イエ」というのは造語でして、「新しい家」とか「改める家」という意味で、ちょうど語呂もいいというか、アラカルトとか、そういうイメージも含めて「ア・ラ・イエ」ということでネーミングをしています。
  • 時々出てくる「リファービッシュ」という言葉。これは、2006年当時は誰も知らない言葉でしたが、こちらはきちんとした英語でございます。最近、リファービッシュパソコンという言い方もするようになりましたが、「一新する」とか「磨き直す」という意味の英語になります。我々は、ア・ラ・イエをリファービッシュ住宅として市場に供給をしていたというのが当時の状況でございます。
  • 事業コンセプトですが、基本的には、まずは既存住宅のリニューアルや良好な街並みの保全。いわゆる戸建住宅でつぶしてしまって建て替えると、全く違うものが建つ恐れがありますが、既存のものであれば、形を維持しながらきれいになるということで、これは1つ大事なコンセプトだということで掲げておりました。
  • また、この住み替えシステムの目標としては、シニア世帯がそこを明け渡されて、若い方が入りやすくする、そういった仕組みを目指しており、件数がふえることによって、人口バランスの維持にもつながるんじゃないかという、非常に大きいところを目指して活動しております。
  • また、こちらも、当時、エコが叫ばれていた時代でしたので、既存建物の再利用によって、産廃の量が非常に少ないということも考えていました。
  • あとは、耐震補強。戸建においても耐震補強をして長寿命化したものを市場に供給していくというところ。この4つが大きな事業コンセプトとしてやっております。
  • ア・ラ・イエのメニューですが、もともとは、今ご説明している住み替え支援だけでやっていたんですが、先ほど来申し上げている市場、市況、世相の変化を反映して、それ以外にも幾つかメニューを広げて現在に至るというところでございます。この辺は最後にまた少しご紹介をさせていただきます。
住み替え支援システムの仕組みについて
  • 住み替え支援の事業イメージですが、開発が昭和40年代後半から50年代中盤ごろまでが一番供給量ともにピークだったと。そのあたりに建った建物が20年、30年と戸建として存在していながら老朽化してきたと。建物が老朽化するのとあわせて、住んでいる方も当然シニアになっている。60代、70代になって、大きい、駅から少し離れた戸建に2人で住み続けるのはちょっと大変で2階なんてほとんど行かないというお話がある中で、普通に売却をしてどこか買えばいいんですが、売却するというのも、実は結構煩わしい作業が多いかと思います。査定をして、販売をすると、いつ、誰が見に来るかわからないとか、そういった煩わしさがたくさんある中での売却というのは非常に負担になりますので、そこを少し軽減できないかなというのが発想の発端でもあります。
  • そういった方が住み替えをされて、例えば、同じ住み慣れた地域の駅近のマンションだったり、最近、ようやく数もふえてきましたが、いわゆるケアつきであったり、高齢者向けと言われるシニア住宅であったり、ほかには、実績としては、リゾート地に行かれた方、あとは親族の近くに行かれた方、大きく分類するとこの4つぐらいの行き先があります。延べ70組ぐらい私もお手伝いしていますが、駅近マンションが一番多く、それ以外は大体3分の1ずつぐらいというところです。
  • そういった空いた戸建てを我々がお預かりして、リノベーションして、耐震補強もして新しいものに生まれ変わらせて、そこに若い人に住んでほしいということで供給をしていました。
  • 供給するに当たっては、当然、周りに新築の一戸建て等もある中で、どこで差別化を図っていったかというと、仮に価格帯が同じであれば、すぐれたデザイン性であったり、あとは当然新築よりも土地・建物が大きいというところがやはり評価の対象にはなっていたと思います。
  • ア・ラ・イエとは自宅を売却する住み替え支援システムで、お客様の所有のままの建物の売却をするのではなくて、先に工事を東急電鉄に発注してもらうという形をとります。
  • 一番左に家の絵がありますが、これはいわゆる古家の状態だと思っていただいて、こちらに、我々が間に入って工事をします。例えば、取引金額が土地・建物で5,000万ぐらいの古家があります。そこに2,000万の工事をして、7,000万のほぼ新築のような家として売りましょうよと。売れたら、売れたところから工事代金の2,000万くださいねと、そういった仕組みでやっておりました。
  • 簡単に言うとそういうことなんですが、これが7,300万で売れる場合、または6,800万で売れる場合、それはお客様次第で変わるケースがあります。そういった変動のリスクを東急電鉄が全て負いますよ、高く売れたらくださいね、安くなっても売主様に損はさせませんというやり方がア・ラ・イエの当初のやり方でございます。
  • それが、ここで言うところのコンサルティング料と書いてありますが、それが変動のリスクということでご理解いただければと思います。
  • 最初に古家の状態で幾らで売れるのかという査定をさせていただいています。査定金額イコールの買取保証をしながらやってきました。当時は不動産の相場も安定していまして、なおかつ、東急の沿線はおかげさまで人気もあったというところで、不動産の価格が余り下がるという状況ではなかったものですから、沿線だからこそできた仕組みと言えば、確かにそういう部分はあったかと思います。
  • 建物に関しては、事前に調査をして、リノベーションして保証をつけて販売するのに耐えうるものかどうか、ご結論を出させていただくというやり方で進めていました。
不動産の売却について
  • 不動産売却に関していろいろな考え方がありまして、「査定」という言葉一つとってもいろいろな考え方があるので、せっかくなので、このあたりの話を少しだけしたいと思います。
  • まず、不動産の売り方というと、不動産業者に売却の依頼をするのが一番一般的です。それを不動産の媒介契約などと言いますが、媒介契約にも実は種類が3つありまして、上にある専属専任、専任、一般とありますが、専属専任と専属の2つは、不動産会社1社にしか頼めません。一般というのは何社でも頼むことができる。そこがまず大きく違うんですね。
  • あとは、仲介業者の義務とお客様の義務と権利が契約の形態によって実は違うんです。これは皆様が今後普通に家を売却されるときも、ある程度気にされたほうがいいかなとは思います。
  • 専属専任ですと、簡単に言うと、自分で発見したお客様でも契約はできないんですね。不動産業者を通すことが条件。メリットとしては、そういう契約を結べば、不動産屋はそれだけ一生懸命頑張って売るよというところかなと思います。個人的な意見ですが、縛りが強過ぎるので、専属専任でやる必要は実は余りないかなというふうには考えています。
  • 専任媒介が一般的には多いのかなと思いますが、皆さんよく勘違いされるのは、一般媒介でたくさんの会社に声をかけたほうが早く決まるだろうと思われる方は非常に多いです。これは、もちろん物件の状況にはよります。わかりやすく言うと、人気のある物件であれば、どんな売り方をしても正直売れるんですが、そこそこの人気とか、少し時間がかかるかなという場合は、一般でやるとどういうデメリットがあるかというと、広く情報は流れるかもしれないんですが、結局、不動産会社にとっては、自分たちが必ず契約できるという保証はないので、広告費用をかけてまでやろうという気にならない。それだけ一生懸命売ろうとしてくれないよというのが、まず必ずあります。なので、売りたい金額や期間にはよりますが、一般的には真ん中の専任媒介、1社、あなたの所に頼んだらちゃんと売ってねというのが、一番いい値段で早く売る近道じゃないかと。これはア・ラ・イエの物件として出すときも実は非常に気にしていたところで、リノベーションして世に出す場合に、やはり専任媒介でやってくれる業者じゃなきゃ嫌だというふうに言っておりましたので、一つの売却の参考になればなということでお話ししました。こちらをお勧めしていましたし、今も、もし聞かれればそういうふうに答えると思います。
  • あとは、一般的な売却の流れでありますが、査定をして、査定報告をして、売り出して、販売活動をしてもらって、うまくいって契約、引っ越し、引き渡しとなりますが、「査定」という言葉に関しても、いろいろな意味を持つことがあります。それは後でご説明します。また、売り出しに関しても、時間をかければ高く売れるのか。買い替えしたい場合は、売れるまで引っ越せないのか。あとは、引き渡ししてしまえば終わりなのか。これら、ポイントを挙げさせていただいているのは、実はこれらのポイントは、ア・ラ・イエの仕組みを使えば全部クリアになるんだよということでご案内をしています。
  • まず、査定が高い会社に頼むのが得かというと、査定価格というのはいろいろな意味があって、我々が提示していた買取保証をする金額、それも一つの査定ですし、一般の不動産屋さん、仲介会社がお客様の家を見て、保証なしで、相場だけ見て、この家、5,000万ぐらいだったら売れるんじゃないですかというのも一つの査定なんですね。同じ査定という言葉でも、実はいろいろな意味があるので、そこは気をつけないといけないというところです。査定価格、売り出し時点価格と言われるものは、金額の保証はない。
  • 査定の金額というのは、何社か声をかけて出してもらうと、値段が多少違って出てくることがあると思いますけれども、高くするのは簡単なんです。別に保証を誰もしていないので。おたく、5,400万で売れますよと言われれば、何の保証もしていなくても、やはり高いほうに人間は心理的に動いてしまうので、これは業者さんのやり方次第なんですが、高く言ってくることもあります。そうすることで気を引いて、専任媒介契約を取りたいというところですね。
  • 一旦、専任媒介をとれば、3カ月間は自分の手元だけで販売ができるので、その間に本当に普通に決まる場合もあれば、ラッキーで決まる場合もあれば、いろいろなケースが考えられますけれども、自分のところで契約できるチャンスが非常に高まるので、まずはこの専任媒介をとるために査定をして、場合によっては高い値段を言ってでも契約をとるということをしているケースはあります。
  • よくあるのが、具体的なお客さんがいるようなチラシ。あれは大分公正取引委員会のほうが厳しくなって減りはしましたけれども、今でもやっているケースはたくさんあると思います。「どこにお勤めで、どこにお住まいの方が、この辺の戸建てを予算幾らで探しています」というもの。あれは本当にいる場合もたまにあります。でも、たまにです。ほとんどの場合いません。なので、ああいったチラシには気をつけていただきたい。不動産屋の側からしたら、あれで気を引いて専任媒介をとればこっちのものだというやり方になりますので、査定が高いからといって、そこに非常に期待をしてしまうのは危険ですよというところをご理解いただければと思います。要は、彼らとしては、とにかく1本契約をすれば仲介手数料をもらえるというところを目指しているので、多少は荒っぽいやり方している業者さんも中にはいるので気をつけてくださいということです。
  • とどのつまりが、売れる金額というのはほとんど決まっています。よほどおかしな条件か特殊な条件がない限りは、同じ町内、同じマンションであれば、そんなに金額が変わるはずがないんです。なので、極端に高い査定を出すような会社はむしろ怪しんだほうがいい。正しい相場を理解することが一番大事です。
  • あとは、時間に関してですが、これも先ほどちょっと言いましたが、結局、今の査定と同じ話で、相場がある以上は、相場に近い数字で売るのが、売れるのが当たり前なので、高ければ時間はかかる。結局最後は下げていって売ることになるので、ここに出てきているように、最初に出したときのインパクトが物件はやはり強いので、なるべく初期にワーッと集めたお客さんで一気に決めるというのが売却の鉄則だと思ってください。時間をかけていいことは恐らくほとんどないです。いわゆる売れ残りイメージがつくと、かなりどぎつい価格交渉が入ったりするもとになりますので、正しい相場を見きわめて、適正な金額で売り出して、さっと売るのが一番賢い売り方だというところをご理解いただければと思います。
  • あとは、引っ越し等に関して、ア・ラ・イエは買取保証をして、つなぎ融資というのをご用意していまして、買取保証をベースに、先に引っ越すことができるので、住み替えの場合であっても安心ですよと。そうじゃない場合は、先に家を売って、売れたら買うものを探すとことになり、非常にタイミングが難しくなります。売れたときに買いたいものがあるかどうかはわからないというところが一番のネックになってくるので、このあたりは、本来であれば買い替えというのはセットで扱うのが、スムーズな住み替えを進める上では大事かなというのは感じております。
  • 一般的には停止条件つきで契約しますけれども、停止条件、こちらは一応、販売会社、お客様、双方を保全する措置なんですが、これが結局売却できないとなった場合、どうしても新しく買った以上、住みたいとなると、最後の手段は買取業者に買い取らせるということになって、こうなると値段が8掛けとか7掛けとかという金額になってきてしまうので、先ほど言った、余り最初に欲張らずに、いいタイミングでスパッと売るというのが、大事なんです。最後は足元を見られて買いたたかれてということになりかねないので、ご注意いただければというところでございます。ア・ラ・イエだったらつなぎ融資があるので、その心配はないですということです。
  • 最後は、受け渡し後の話。中古の物件であっても瑕疵担保というのはありますので、そこはリスクとして売主様は負わなければいけない。我々の場合だと、我々が全部手を加えて世に出すので、そこは弊社のほうで全部保証をつけて売る。売主さんのリスクは、この部分に関してはなくなるというところが特徴です。なので、正しい査定、正しい販売計画、そのあたり、住み替えのほうもきちんと考えてくれる、提案をしてくれる不動産会社なのかというところは見きわめていただきたいというお話です。
  • この話をア・ラ・イエの売主さんにも必ずしながら進めていきます。
リフォーム内容やメリット
  • 実際どんな工事をやったかというのがこちらでして、間取り変更は当然ですけれども、構造の補強であったり、断熱材の交換、給排水管の交換。いわゆる完全に骨組みにして、全て交換しますよというのが前提でした。
  • ちょっと写真はわかりづらいですが、これはア・ラ・イエの1号物件です。青葉区たちばな台という所にあった和風のお宅ですが、見るからに古そうな和風の家をモダン和風なおしゃれな家に改装しました。上の畳の和室を全部洋室に替えて、今どきの住宅になりました。販売したら60組ぐらいのお客さんが見えて、すぐ売れたという事例になります。
  • この仕組みのメリットをまとめていますが、建物の瑕疵に関しては、お客様の責任はなくなる、買取保証がついているので確実に売れる、耐震補強もするので、耐震基準適合証明を発行できる、あと、つなぎ融資があるので、残債の抹消だとか新規の購入も楽にできる、あと、金額に関しても変わることがないので安心です。
  • あと、これは意外でしたが、「思い出のつまった愛着ある家を失うことなく大切な資産として再生」とありますが、東急の沿線に関して、実はこの思いをお持ちの方は意外と多くて、ちょっとこれは私もびっくりしました。周りの方とずっとよくやってきて、自分たちは手放すけれども、なるべくならこれを使ってくれる人、周りの方とうまくやってくれる人に買ってほしいんですという思いを切々と私も語られたことがありますが、意外と住まいに関する意識の高い方が多いエリアなんだなというのは改めて感じたところでございます。
  • また、街並み・景観に合わせるので、ご近所の方にも迷惑をかけませんよ、こういった売り方ができるのがア・ラ・イエなんですというところでご説明をしております。
  • つなぎ融資の例を挙げると、これは大手の信託系の銀行さんと提携を結んで、短期プライムレート+0.5%の金利で融資をしていただいております。特に保証人等も必要ない。 (当時は保証人不要でしたが、現在は法定相続人の保証が必要です) 契約の印紙代、抵当権の設定費用ぐらいで融資のほうは受けられる。査定額の90%から100%、5,000万の査定が出れば、4,000万後半から5,000万の融資が受けられる。売却が成立したら、それで一括で返還するという形をとっていました。つなぎを使われた方は、70組中恐らく6割ぐらいの方になりますが、この融資が住み替えのお手伝いの肝になっていたところでございます。
  • あとは実際の流れですが、最初に査定をしてから、ご判断をいただいて契約できましたとなってから、工事の着工をして、でき上がったものを販売して、というこの事業スキームでいきますと、工事が大体3~4カ月かかります。でき上がったものを3カ月から6カ月、これは規模だとか場所だとか価格によって相談をしておりましたが、それだけの時間をいただいて、その期間内で売れなかった場合は東急電鉄が最終的には買い取りますというお約束をしておりました。大体延べ6カ月から10カ月ぐらいのお時間のかかる事業でしたので、つなぎ融資をご利用の場合は、その期間つなぎ融資をご利用いただいていたという形になります。
  • 設計のコンセプト。先ほど、差別化を図っていたのはデザイン性だというところを申し上げましたが、それだけではなくて、建築基準法の耐震性能を生かす建物に生まれ変わらせる。あとは、建て売りとの比較になった場合に、建て売りにはないプラン、ない設備、ない仕様というのを心がけてやっておりました。あとは、当然、それ以外に細かいところですね。セキュリティ上の話であったり、バリアフリーであったり、動線を含めて、注文住宅のような細かい検討をして、なおかつ長期保証をつけて世に出していたというところです。あと、最終的には街並みにも当然配慮した建物にしなければいけないというのが設計のコンセプトとしてございます。
  • これはデザインの一例ですが、ホームページ等にも出させていただいていますが、このように、一つ一つコンセプトをしっかり決めて、そのとおりにつくって、ちょっと変わったコンセプト住宅として世に出していたので、比較的高い価格帯ではありましたが、売れ行きもよかったというところでございます。
  • 和風のものからシンプルモダン、アジアテイストのもの、それこそ犬のための住宅というのもやりました。ワンちゃん用の設備だとか仕上げをふんだんに取り入れて、最初かなり勇気が要りましたが、やってみたら、全体の数は少ないですが、最終的に本当にワンちゃんが好きで6匹飼っている方がお買い上げいただいたという例もありました。それだけ、ある程度思い切ったデザインをしたので、逆に売れたかなというところはございます。
  • こちらの物件は、藤が丘にあった物件で、元の状態では全く反響のない物件でしたが、こちらをリファービッシュしまして、白を基調とした明るい印象のお宅に生まれ変わらせたところ、これも即日完売でした。当時、2007年ぐらいだと思うんですが、なかなかこういう規格住宅で、なおかつリフォームの物件で、これだけしっかりしたというのは珍しかったので、当然話題性もありましたし、みんな見たいので、見にはワーッと来ました。一番多い物件で120組ぐらい来ました。やはり皆さん関心はあるんだなというのをひしひしと感じながらやっていた状況でございました。
  • これは美しが丘3丁目なので、たまプラーザのすぐ裏ですが、敷地100坪で、建坪がたしか56坪ぐらいある、非常に大型のお宅。これも実は車庫の位置から玄関の位置まで全部変えまして、玄関の吹き抜けの写真がありますが、実はあの位置はもともと和室でしたので、大々的に変わったというのがおわかりいただけるだろうと思います。
  • 耐震補強に関しては、骨組みの状態までばらして、必要であれば鉄骨で補強することもあるし、金物を入れる場合もあるし、新たに柱・梁を追加する場合もありましたし、一番左にあるSRFというポリエステルの繊維材のベルトで補強したり、木造向けの制震ダンパーを入れたケースもございました。
  • あとは、先ほども申し上げましたが、産業廃棄物、エコが叫ばれている中で、全解体が105平米に対して、ア・ラ・イエは30平米ぐらいの産廃の量。7割少ないというところが環境面においても優しいというのをアピールをさせていただいていました。
  • 国交省の第1回先導的モデル事業にも選んでいただいて、当時、小池百合子さんが環境大臣のころに、視察にも来られて、ぜひ続けてくださいというふうにお声がけいただいたのが始めて2年目のときでした。
  • リファービッシュ住宅のセールスポイントは、先ほどから申し上げているとおり、1つはデザイン性が売りでしたので、自慢したくなるような家というのを掲げてコンセプトづくりをしていました。よくサプライズという言葉を用いていましたが、家に入ったときに、「おっ」と思われるような、各家の特徴をはっきり打ち出すというところが心がけていたところです。
  • 戸建てのリノベーションをこれだけの件数やっている、会社としては大手リフォーム会社さんが全国で何百とやっていますが、1つの営業所でこれだけの数を積み上げているリフォーム会社さんは恐らくない。我々は70、80、中規模のリフォームも含めていけば100戸以上やっていますので、これだけのノウハウの蓄積があるというところでですね。あとは、当然、これまで供給してきたものを見に来られた方にアンケート等も行う中で、こんなのが欲しい、あんなのが欲しいという声もたくさんもらっているので、そういったものを全部反映できるんです。「あったらいいな」を知っているということですね。そこがア・ラ・イエの強みでした。
市場の変化による事業の見直し
  • ちょっとショッキングな赤い字で書いていますが、2005年から始めたこの仕組みが順調に積み上げていきながら、70組を超えたあたりで、例のリーマンショックが発生したわけです。一気に相場市況が冷え込みまして、実は我々もそれまで買取が1件もなかったんですが、ここでドバッと買い取ることになってしまいまして、一番多いときで、11件の在庫を抱えていまして、その在庫をさばくのに必死だという時期がございました。
  • 実際、我々の査定のやり方、仕組みのつくり方、こういった市場の大きな変動というのは想定できていない部分がありましたので、こうなってしまうと、ちょっと事業性が乏しいという評価にもなってしまって、それ以降は新しい物件の仕入れというのが滞っていたというのが現状です。
  • そうなってくると、我々にできることというと、培ったノウハウで請負業のほうに力を入れてやっていますが、請負業は請負業でそんなに簡単なものじゃなくて、もともとそれを専業でやっている会社さんがたくさん沿線にもいる中で、非常に苦戦をしながらやっているというのが現状です。
  • そんな中で、リーマンショックも一段落しまして、その後、東日本大震災などもありました。そのあたりからまた少しストック住宅という話もちらほら出ていて、沿線でもリノベーションという言葉が少しずつ聞こえるようになってきたというのもありましたので、何かできないかなと考えました。従来の買取保証のやり方は、仕組みを大きく変えない限りはできないなというのはわかっていたので、まず最初にできそうなものということで、じゃ、ほかの業者もやっているような買取再販をやる中で、ア・ラ・イエのノウハウを見せながら、周りのリフォーム需要を掘り起こせないか。もしくは、住み替え需要を掘り起こせないかなということにチャレンジしようというのが「買取再販型モデルハウス方式」と書いてある部分です。
  • これは具体的に何をしたかというと、たまプラーザの隣にあざみ野という駅がありますが、そちらのあざみ野エリアにある大型の団地の一室を買い取って、そこを見せたらおもしろいかなということ。
  • リフォームとかリノベーションというのは、注文住宅もそうですけれども、建て売りと違って見たままを買うものではないので、何かしら目にするものがないとはかどらないというのがあります。リノベーションのモデルハウスがあれば、ということはずっと言い続けていて、昔販売をしていたときも、それはすごく感じていたので、見せられるものがあれば、もっと契約を取れますよというところで最終的には説得をしました。
  • エリアに関しても、田園都市線の沿線は30年、40年とありますが、その中でも戸建ての供給の多い地域は決まってきています。なおかつ、同時期に分譲された地域のほうが我々としても入っていきやすいというのがございましたので、あざみ野、たまプラーザ、あとは青葉台周辺を重点的にやっていくことにしました。
  • 実際、最初に買取再販型モデルをしたのがあざみ野団地のタウンハウスというものになります。あざみ野団地は1,000戸ある大規模団地なんですが、その8割がいわゆる5階建てのようかん型の団地、残りの2割はタウンハウスやメゾネットでした。メゾネット、タウンハウスが100戸規模であるだけでもすごくおもしろいなと思いましたが、実はここに入り込むまで、あざみ野団地がどんな団地か、私自身も知りませんでした。
  • こちらのタウンハウス、2階建ての4戸つながりの一部屋を買い取って、リフォームして販売しましたが、公開開始2カ月で契約。 実際、手を入れないでの取引価格というのは大体4,000万ぐらいの部屋でしたが、1,000万ちょっとの工事をして、5,480万で契約になったというのが一つの事例です。これだけの広さがあって、専用庭付きなので、イメージとしては戸建てなんですね。この周辺の戸建ての相場というのは7,000~8,000万するので、それに比べれば、5,480万で戸建てのようなタウンハウス、ほぼ新しいというところが非常に受けたのかなというふうに思っています。
  • これは、去年、もう一軒、あざみ野団地の2軒目をやりまして、こちらも同様で、公開開始1カ月で契約、6カ月後引き渡しという形でやらせていただきました。できれば、皆さんにご見学いただきたいなとお話をしていたんですが、ちょうどきょうが引渡日だったので、さすがにお見せはできないですということでお断りしてしまったんですが、ホームページ等にも様子等は出ております。
  • こちらの団地も、売主さんは高齢で、タウンハウスは2階建てなので、それこそ戸建てのさっきの話と同じ、2階なんて行かない、どうなっているかもわからないという、おじいちゃん一人で住んでいるようなケース。この方は売られて、ご親族のマンションに売りが出たから、そこを買いたいんだと言われたので、ア・ラ・イエの仕組みがあれば、つなぎ融資を使ってもらって、少しでも高めの金額で我々も買取保証をしてやって差し上げることができたんですが、そういう時間も、スキームもなかなかうまくいかないという中で、最初から金額さえよければうちで買いますよというご提案をして買い取りをさせていただいたという経過がございます。
  • あざみ野団地は販売ターゲットも明確でした。一次取得者で、学区内。あざみ野の学区が結構人気があるものですから、学区内の方のファミリーで、戸建てを買いたいけれども、ちょっと予算が足りないという方がメインターゲットだったので、そこに向けて発信をした結果、かなり早く売れたというところでございます。
  • あと、それ以外に、現場を使った見学会、団地内の集会室を使った相談会、売却に関してもそうですし、リフォーム、あとは我々の会社はデイサービス事業もやっているものですから、そのあたりのご案内もしながら、沿線のいろいろなお困りごとは東急で解決しますよ、というつもりで説明会等もさせていただいています。
  • 広告に関しても、あざみ野団地とそういったおつき合いができたものですから、継続的にここはつき合っていきますよということで取り組みをしています。
  • こんな広告を打ったりしました。リノベーション住宅をつくりました。完成したので、団地の人、見に来てください。また、東急電鉄がご自宅を買い取りもしますというような継続的な働きかけをしていると。
  • あとは、実はこの取り組みはメディアでも取り上げていただきまして、BS-TBSさんが取材に来てくれて、ビフォー・アフターを含めて、売主さんの声も含めて、番組をつくっていただきました。あと、皆さんにお配りした「ダイヤモンド」だとか、今載っているのは「田園都市生活」というものですね。
  • 住み替えの話は、ざっと申し上げるとこんなところなんですが、今までお話ししてきたのは、前のお話が多くて、本来であれば、今、もっとたくさんやっていて、皆さんに胸を張って、ア・ラ・イエは、東急はこうなんですと言いたいところなんですが、そこまでのものはないんですが、我々なりに変化をしながらやってきたというのは、何となくおわかりいただけたかなというふうに思います。
  • 実は、その変化をしてきたという中で、請負業、注文住宅であったリフォームをやってみたり、あとは耐震のソリューションをしてみたり、リノベーションの流れがありましたので、1棟リノベーションをやっていたりというところで日々刻々と変化しながら、対応しながらやっているというのが現状です。
  • まず、耐震に関しては、こちらは今日もいらっしゃっている東京都の都市整備局さんが中心となって取り組まれている、耐震化アドバイザーに選任をしていただきながら活動しているところもございまして、今の案件としては特定緊急輸送道路、大きい道路の沿道を中心に、日々忙しく、各マンションを回って理事会に出て、皆さんの意見を聞きながら合意形成のお手伝いをして、診断、設計、補強とステップを踏むお手伝いをしているというのが現状でございます。
  • 東急電鉄が何で耐震をやっているの?とよく言われるんですが、もともとまちをつくっている会社ですから、再開発もありますが、まちを守っていくのも仕事だろうと。当然、耐震をやっていればいろいろな相談が出てきます。建て替えであったり、場合によっては売却であったり、いろいろなニーズ、あとは、占有部のリフォーム、リノベーションという話も当然出てくるので、耐震というのは事業的な観点で考えても非常に重要かなということで力を入れて取り組んでいます。
  • ゼネコンさんがいらっしゃるところで言いづらいんですが、建設会社さんは自社の特許工法のみのご提案というのが多いと思うんですね。我々は別に特許を持っているわけではないので、それに限らず、マンションでできること、できる予算でできることがあるんですよということも紹介しながら、全体補強しますか、部分補強しますか、建て替えしますか、いろいろなメニューをご提示しながらやっているというのが現状です。
  • あとは、1棟リノベーションですね。こちら今、実は3棟目を田園都市線宮崎台駅徒歩4分で販売中でございますが、残1戸と非常に好評でして、それ以前は等々力と二子玉川でもやらせていただきまして、どちらも早期完売ということで、やはりリノベーションの熱というのはまだまだあるんだなというのは感じています。第4弾がいつどうやって出てくるかはちょっとまだ私の口からは申し上げられないということなので、近々ですということでご期待いただければというところです。
  • 当然この1棟リノベーションをやっている担当は、実はもともと私と一緒にア・ラ・イエをやっていた者がやっていまして、そういった意味で、ア・ラ・イエの流れをくんでいるというか、デザインや考え方は、ア・ラ・イエの思想を取り入れて1棟リノベーションをやっているはずと思います。
  • 最後に注文住宅ですが、注文住宅は大手メーカーさんが圧倒的に強いですけれども、我々、実は非常におもしろい住宅をつくっていまして、これはなかなか皆さんご存じなくて、東急電鉄、注文住宅なんかやっているの?とびっくりされるんですが、建て売りをずっとやってきたのは事実でして、家づくりのノウハウがありました。ア・ラ・イエをやっていく中で、だんだん皆さんのニーズが多様化してきて、建て売りでは満足できないという方がすごくふえたんですね。そういった方に対応するために、試しに一戸やってみようといったのが、かなり評価がよくて、これが活きるのではないかということで、年間20とか30ぐらいの棟数ですが、もう6年ぐらいやっています。なので、知る人ぞ知るみたいなところがありまして、会社は大きい会社なんですが、そういったことで小回りをきかせてやっているので、非常にプランも柔軟に対応できますし、そもそも工法からして、木造に限定はしていませんし、ツーバイフォー、在来、何でもちゃんとやりますよということで、設計事務所のような柔軟性ときめ細かい提案をしているのが非常に特徴です。
  • なので、もし注文住宅をという場合は、本当に一度御相談いただくと、意外といいわと言っていただけると思うので、頭の片隅にでも入れておいていただけるとありがたいなと。
  • 実は有名な方の注文住宅のお手伝いも何件かしていますし、言っていい範囲であれば、少し前に「家政婦のミタ」という有名なドラマがありましたが、あちらの主人公の家は、我々が手がけた注文住宅のお宅を使っています。中はセットなので別ですけれども、外観、坂を上がってきて、家に帰ってくるところとか、いろいろ使っていただいた部分は全部我々が注文住宅でお手伝いしたお客様の家の前です。その通りは全部が注文住宅の通りなので、ドラマをやるたびに、うちの注文住宅がたくさん映っているなと思いながら、東急電鉄の注文住宅だとわかる人は誰もいないんだろうなと思いながら見ていました。そのぐらい、実は注文住宅は、地域は狭いですけれども、一生懸命いいものをやっているというところでございます。
  • 目指すところは、ここにも書いてあるとおり、安心・安全、いわゆる大手のちゃんとしたバックボーンがありながら、きめ細かいオーダーメイドのいいとこどり、設計事務所と大手のいいとこどりをしていくポジションを目指そうよということでやっているのが弊社の注文住宅です。
住み替え・リノベーションの今後の展望
  • ここから先は、実はお配りした資料にはない話をしますので、ひとり言だと思ってと書いていますが、先ほどから申し上げているとおり、ア・ラ・イエの事業に関しては、今、残念ながら住み替えという部分に関しては余りできていない。あざみ野団地は少しやっていますが、以前ほどたくさんやっているわけではない。あざみ野団地をやっていても感じますが、リノベーションというのは、今、非常にニーズに合っているので、いいものをちゃんとつくれば売れるなという手応えは非常に持っています。
  • あと、感じるところは、戸建てのリノベーションは、構造の保証をしないといけないので、いわゆるマンション買取業者さんのように、たくさんの業者さんが参入してくるという領域でもなくて、やはりそれなりに自信があるところじゃないとできない領域だと思っています。
  • 最近だとリビタさんが戸建てのリノベーションをやり始めました。リビタさんも、実は私は何回かア・ラ・イエについて個別で説明をしたり、質疑をしたり、いろいろしてきたので、ああ、やっと始めたんだ、おお、すごいなと思いながら見ていました。何戸か実際の物件も見ていますが、正直な感想としては、我々ほど手を入れていないんだなというのが正直な感想です。見せ方は上手ですし、戦略的には上手だなというのが非常に強いですが、私だったらもっとやりたいな、というのが思ったところです。
  • じゃ、実際、これからどうやったら住み替え支援も含めて沿線の住み替えをうまくやっていけるのかなというのは、常々考えてはいるんですが、ことア・ラ・イエの住み替え支援の仕組みということでいけば、手っとり早いのは、大きく分けて2つの方法。
  • 1つは、従来と同じで、我々が先にリフォーム工事をして、工事代金を乗せて売る。もう1つは、売ってから買った方の好きなようにリフォームしてもらう。その両方を狙っていったら、もうちょっと件数は伸ばせるのかなと思います。買取保証は同じようにつけるというところですね。
  • 以前の方法の最大の反省点は買取保証の金額の決め方、査定額100%で買い取ります、というところでした。当時出していた査定額は、最初に話しましたが、いわゆる売れる相場が5,000万だとして、我々の出す査定額はほぼ5,000万です。かなり実際の取引ベースに近い金額で査定は自信を持って出していましたので、当然、相場が下降線のときは100%の金額で買い取るとリスクが出ます。上昇機構の場合はプラスは出るんですが、上昇機構のときにア・ラ・イエの仕組みを使う人がどれだけいるんだということも実はあって、そこはなかなか難しいなと当時から感じていました。あとはコンサルティング料、いわゆるリスクの考え方を変えてやったらできるのかなと思っていまして、要は変動のリスクを売主さんと折半にしたらどうかなと。例えば、5,000万、仕上がって7,000万の家を、7,300万で売れたら150万ずつ分け合いましょう。6,800万になっちゃいました、100万ずつ分け合いましょうというやり方が今のところ現実的かなと。
  • あと、査定に関しても、査定額の100%ではなく85~90%ぐらいと最初から言ってしまうことで、売主さんにもリスクを請け負ってくださいねと。それでも逆に住み替えたい魅力的な移り先、受け皿を用意してあげるのも一つかなというふうに考えてはいます。
  • 我々が提案する家を買ってもらうこともできるし、買った方が好きなようにプランニングすることもできる。そういう両方のスキームがありながら、売主さんにとっては変動のリスクは半分で確実な売却ができるというところが、今、考えつく現実的なやり方かなと。相場が大分落ち着いてきた今なら、実はこの仕組みならできるかなと思って、話をしたことは何度かありますが、そんなことをやってまた同じようになったらどうするんだと、言うたびに怒られているというのが現状でございます。
  • あとは、いかにそういった優良な売り家を仕入れるかということで、実は、ここに類似例1、2と挙げていますが、1つ大きな取り組みとしては、たまプラーザの駅の南口に「ドレッセたまプラーザテラス」という定期借地のマンションを一昨年売却しまして、そこの最初の販売で、会員向け販売という形、持ち家層をメインターゲットに販売をしたところ、購入いただいた全体の8割の方が持ち家の方だったと。当然、持ち家をどうするんだという相談もあわせてもらうことで、その中から優良な物件を見つけて、ア・ラ・イエで事業化したらいいのではないかということでやったのが「たまプラーザテラス」です。
  • ただ、ここで大きな誤算は、相談はたくさんもらえたんですが、たまプラーザテラスを買われた持ち家層の方は、資産をお持ちで、家を売らなくてももう1軒買えるという方が大半だったことで、残念ながらア・ラ・イエで事業化できた案件が1件もなくて、売却のお手伝いは、コンサルティングのような形でできたものはありましたが、ア・ラ・イエの仕組みを使った方はいませんでした。
  • そういう特殊な例もありますが、要は、買い先に魅力のある物件に対して、ア・ラ・イエで、売却するのを条件にして進めていく。ただし、これは公正取引の問題などをクリアする方法考えていかないとできない部分がありますが、発想としては、いわゆる買い先の物件に対しての何かしらプライオリティをつけてやっていくというのが一つ有効かなと思います。
  • あと、もう1つの類似例として、ユーカリが丘でも実は私の前職の会社で同じようなことをしています。実態は、最近取材をしたわけではないのでわからないんですが、「ハッピーサークルシステム」と言って、ユーカリが丘の中で住み替えをする、いわゆる古い戸建てから駅前のタワーマンションを買うという場合は、自宅を100%の金額で買い取りをします。仲介手数料も要りませんというような仕組みで住み替えを支援している。
  • これも最初始めたときは、なんだ東急電鉄の真似じゃないかと私は思ったんですが、3件ぐらいそういう事例でマンションを買ったという話は聞きました。それがもう5年ぐらい前の話ですから、現状どうなっているかというのは、正直わかりません。ただ、ホームページを見る限りは一応仕組みとしては存在しているようなので、まちの中での住み替えに対して、こういうプライオリティをつけてやっているという意味では、一つの先進事例と言えば先進事例かなというふうに思います。
  • という感じでずっと話してきましたが、住み替えのシステムというのは、皆さんもお感じになっている部分はたくさんあると思いますが、非常に難しいです。最終的には本当に地域に密着してやっていくしかないなと。我々みたいな開発主体が真剣に考えてやるしかないなというところなんですが、個人の所有者、あとは行政さん、あとは民間、我々の開発主体が手を取り合って議論をしながら、そのまちのことを考えてやらなければいけなくて、まちの問題というのはまちごとにそれぞれ違うはずなので、必ずしもア・ラ・イエの仕組みがフィットするとか、同じ仕組みがフィットするということはないと思っていますので、一番のまちの問題点をちゃんとあぶり出しをしながら、三者で話し合う、三者で真剣に考えて仕組みをつくるというところが非常に重要かなというのは、これは昔から今もずっと変わらず思い続けているところで、ア・ラ・イエでいろいろな仕事をしていますが、常にこういう切り口は頭の中にありながら、私は仕事をしています。耐震補強をやっていても同じです。
  • あとは、周りで最近、この中にもたくさんお世話になっている方はいらっしゃると思いますが、横浜市さんと協働で「次世代郊外まちづくり」というのをやっていますし、先ほど言った東京都さんとは耐震でも一緒にやっていますし、そういった行政さんの力を借りながら、あとは、お住まいの方の知恵を借りながら、意見をもらいながらやっていくというのが非常に重要だなというのを実感しているところでございます。

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