街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第9回見学・交流会「被災地復興の取り組み」

これまでの活動の紹介

活動議事録

東日本大震災の被害状況
UR都市機構の被災地復興の取り組み

松村 尚
  • 東日本大震災の被害状況を見ると、非常に広い範囲で震度7の強い揺れが記録されている。阪神・淡路大震災と比較すると、揺れが広範囲に渡ったことや、 津波による浸水範囲が広く、被害が大きかったことが見て取れる。死者、行方不明者を比較しても被害が大きかった。
  • 害を大きくした原因が津波であるが、陸前高田では遡上高(津波がどの高さまで達したか)は高いところで21.1m、浸水高(地面からどの高さまで浸かったか)は18.3mに達している。
  • 陸前高田市に現地調査に行った時に聞いた話では、総合体育館で数名の方がキャットウォークにつかまって一命を取り留めたということだ。 総合体育館のすぐそばの5階建ての公営住宅は4階の高さまで窓が割れており、その高さまで津波が来たことがうかがえる。
  • URの職員の第一陣は3月20日頃に現地に入って調査を行った。当時は飛行機も新幹線も使えず、山形まで飛行機で飛んで、そこから車で現地に入った。 現地はまだ自衛隊が入って間もない頃だったので、道路の瓦礫の処理が終わっていない状況で道路に瓦礫がたくさん積まれていて、 レンタカーがパンクするのではとヒヤヒヤしながら調査を行ったと聞いている。
  • 宮古市田老地区は10mのX字型の堤防があったが、それを越えてまちの大半の建物が被災している。
  • 釜石市の市街地は局所的に被害を受けたが市役所などは十分使える状態で残っていた。 その要因は世界一の深さのある湾口防波堤が機能したためと言われており、田老地区や陸前高田市に比べて、浸水高、遡上高ともに10m近く低かった。

URが行っている支援

松村 尚
東日本大震災に関する支援内容
  • URの主な業務内容の4つの柱の1つに災害復興の取り組みが位置づけられている。
  • 緊急支援として応急仮設住宅建設のため、建築、土木の技術系の職員を派遣し、発注業務を支援した。また、被災宅地危険度判定支援要員の派遣も行っている。
  • 賃貸住宅の空き住戸、応急仮設用地の提供、復興計画策定も行っている。
応急仮設住宅用地等の提供
  • 国交省から要請を受けて約200haの事業用地を確保し、そのうち約8haを提供している。 盛岡南新都市地区での戸建住宅提供、仙台市のあすと長町地区やいわきニュータウン地区でも仮設住宅用地の提供を行っている。
応急仮設住宅用地等の提供 あすと長町地区 仮設住宅(上:3月25日撮影、下:4月15日撮影)
応急仮設住宅建設支援要員・宅地危険度判定士の派遣
  • 応急仮設住宅建設支援要員として、岩手県73人、宮城県83人、福島県25人の計181人を派遣、宅地危険度危険判定士を3名派遣している。
復興計画策定支援
  • 岩手県・宮城県・福島県の被災公共団体に職員を派遣している。
  • 最初岩手県知事から国交大臣を経由して機構に要請をいただいて、4月上旬には各市町村に建築系と宅地系の2人ずつ派遣、バックアップとして盛岡連絡所に3名配置した。
  • 6月に宮城県から要請があり、7月から人員を投入している。この違いは、岩手県は復興計画の策定は被災市町村で行うスタンスであったため早い段階で人が必要となったが 、宮城県は県主導で復興計画を作る考え方だったので、要請が次の段階になった。宮城県からは、復興計画は県がリードして作ったので、 URにはその後の事業化に向けた計画の詰めをやってほしいという要望を受けていた。
  • それに続いて福島県から要請を受けて、支援をしている。
URの復興支援体制
  • 横浜の本社に震災復興支援室を置いて、岩手県では盛岡市、宮城県では宮城・福島支援事務所を仙台に置いて、各市町村に人員を派遣している。 本社や支援事務所で市町村に派遣されている職員の支援などを行っている。また、岩手など市街地が被災してホテルを確保できないところでの生活環境を整える支援なども支援事務所が行っている。
各県における支援
  • 岩手では7市町村に4月の早い段階から現地に職員を派遣している。
  • 被災直後の4月頃は検討組織や復興計画を吟味していく委員会の立ち上げなどの体制づくりからお手伝いさせていただき、計画検討の初動期のお手伝いをした。 少し遅れて国の直轄調査を使って各公共団体が復興計画を策定できることになったので、直轄調査への作業の指示などを公共団体の職員と一緒に行い、計画作りを進めている。
  • 岩手県は12月後半に復興計画の議決を取っている。骨子はかなり早い段階でできていたが、三次補正等の財源の裏づけがないと計画を最終的に決められないことや、 地元住民のご意見を聞いたことで、この時期となった。復興計画が議決されたのでいよいよ事業を実現する段階に移ってきた。
  • URは市町村の復興計画策定委員会や復興推進本部などの組織において、支援職員が提案・助言をさせていただいた。直轄調査が発注されるまでの時期はコンサルタントがいなかったので、 その時期は本社で作業して、その計画を派遣した職員から被災公共団体の職員の方や市長になどにご説明した。
  • 今後は事業にシフトしていく段階なので、事業計画の策定支援や、区画整理事業や防災集団移転事業などの事業の受託施行、災害公営住宅建設などがURの支援内容になる。

被災公共団体の復興計画の概要

松村 尚
岩手県の災害復興計画の概要
  • 岩手県は、海岸防護施設だけで津波を防ぐのではなく、嵩上げなどをしてまちの安全性を高める、避難をしやすくするなどの対策を適切に組み合わせた 多重防災型のまちづくりを進める考え方にシフトしている。こういった大きな考え方を県で策定して、まちの類型によってどういった市街地のつくり方をするかといったアイデアを県で示している。
陸前高田市の復興計画の概要
  • 陸前高田で策定された復興計画案は、奇跡の一本松の高田松原にあった堤防を復旧させ、堤防とその裏手に盛土をして公園にし、海岸防護施設としての防御を図り、 さらに中心市街地は山裾に近いところを盛土して市街化して、消防署や市役所などの公益施設を集約させる計画となっている。市街地の集約に併せて、メインとなる道路を市街地の方に寄せて、 店舗などが張り付くようにする考え方を採っている。盛土していない低地部は基本的には住宅は作らず、農地や工場、またメガソーラーの構想があるが、そういったものを配置する計画になっている。
  • 被災した公共団体はどこもそうだが、地域の集落を非常に重視して、その単位でまちづくりをしていくという発想に立っている。被災当初は、集落毎の復興は非効率なので 中心市街地に集約したらどうかという議論もあったが、住民と話を進めていく中で、コミュニティを重視したまりづくりにシフトしていったという経緯がある。

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