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街みちネット 第2回見学・交流会「事業推進における合意形成の流れ・POINT、苦労した点等」

これまでの活動の紹介

活動議事録

事業推進における合意形成の流れ・POINT、苦労した点等

(株)LAU公共施設研究所 松沼氏
住宅地区改良事業導入以前の地区の事業の変遷
  • この地区でまちづくりが始まったのが昭和50年代で、当初は木賃事業(木造賃貸住宅地区総合整備事業)の前身である 過密住宅地区更新事業が一度入っているようだ。ところがなかなかうまくいかず、平成5年になると現在改良事業地区より 一回り広い5.3haの地区を対象にコミュニティ住環境整備事業のB型小規模連担地区という小規模な宅地を改善する事業が入った。 また、現在密集事業がかかっている75haの地区に同時期に都の木賃住宅地区整備促進事業が入り、 この地区は大きいエリアで建替え促進の木賃事業と、5.3haの中で公営住宅の建設による住環境整備が同時進行することになった。
  • その後、コミュニティ住環境整備事業が総合住環境整備事業になり、木賃事業も変わってくる。 最後には住市総という1つの事業に統合され、そもそも目的が違う事業が複数入っていたのに、収束して1つの目的しかなくなってきてしまった。 平成5年から10年までくらいの検討の間、埋立ての計画を進めようとする中で、区の中でも混乱があったのではないかと思われる。
会場の様子
コミュニティ住環境整備事業について
  • 埋め戻し計画についていくつかの案が検討されたが、擁壁で区切って工期を分け段階的に埋めていくという案で建設計画を取った。 地区計画図を見ると、地区東側の二項道路を8mに拡幅して谷地全部埋めて平らにし、そこにくしの歯状に接道を取って公営住宅を作るという計画になっている。
  • 二項道路の拡幅については、公道がそこしかなく、他は通路になるため、拡幅すること自体が非常に難しかった。 実際には拡幅しないと工事車両も入れないという状況に陥っていた。
  • 合意形成上の問題では、全部埋め戻す計画では賛成してコミュニティ住宅に入るか出て行くかという選択肢しかなく、 自己再建するという選択肢はなかったため、なかなか合意が取れなかった。
整備計画の変更について
  • 平成10年度に区が、事業化方策の検討調査を都市機構さんにお願いした。 そこで我々も一緒になって検討を行い、平成11年に地元に事業見直し方針の説明を行った。
  • 計画の修正変更の考え方としては、接道不良が残って自己再建ができない敷地が非常に多いため改良住宅を作るエリア、 自力更新ができるエリア、共同化を検討するエリアに分けることとした。
  • 実際には平成12年度から本格的に地元に入った。その中で改良事業を視野に入れて計画に賛成するか反対するか、 改良事業に対する個別ヒアリング調査、あるいは意向調査を実施した。
  • 平成13年には公営住宅の改善をもう少し強固にしようということで改良事業を導入して、75haの密集事業地区も事業期間切れになるので延伸をかけた。
合意形成のポイント
  • 地区内の権利者100名程度の個人カルテの作成、個別ヒアリングの実施により情報をストックした。常に個別ヒアリング、個別懇談会を実施し、その中で問題や意向を詳細に拾って、借地人さん、地権者さんとの信頼関係を築いたのが大きなポイントであると思う。
  • 上町の成り立ち上、運命共同体の意識があった。大地主さん数名と多数の借地人さんがおり、 地主さんと借地人さんとで対応を分けながら進めるということもポイントだったと思う。
  • 実情に沿った権利清算として上町の標準的借地権割合を設定した。また、借地清算の土地面積は、実際買うのは実測面積だが、 借地人さんを有利にするために借地契約面積で清算を行うなど、誰も損をしない権利清算の提案を行った。
  • やよい住宅ができたことにより段階的な取り組みが目に見えるようになってよりスムーズに動くようになったというのもポイントである。
  • 居住年数が長い高齢者が多いということで、老朽住宅の借地の家に住んでいればほとんど持ち出しの費用がかからないで済むのに なぜ家賃を払うような立場にならなくてはいけないのか、それが一番大きな問題だった。実際には、やよい住宅に10戸の方が転出して、 土地、建物を売ったその資金で死ぬまでここに十分住めそうだという見通しが立ち、合意につながったと思う。

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