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街みちネット 第2回見学・交流会「大谷口上町地区住宅地区改良事業について」

これまでの活動の紹介

活動議事録

大谷口上町地区住宅地区改良事業について

板橋区都市整備部市街地整備課 矢渕氏
住宅地区改良事業について
  • 事業名は「大谷口上町地区住宅地区改良事業」 (以下、改良事業)である。東京都内で現在この 事業を行っているのは板橋区だけとなる。関東 地方では横浜で1件、あと関西でも行っている が、全国的に例の少ない事業である。
  • この事業は「住宅地区改良法」という法律に則った ものであり、法が成立したのが昭和35年である。 戦後、昭和20年頃住宅が足りないということで バラックなどが数多く建設されたが、若干落ち着 いてきた昭和30年頃に住環境を整えていこうとい うことで「住宅地区改良法」が設立された。
会場の様子
大谷口上町地区について
  • 大谷口上町地区は板橋区南部の川越街道の西側、環六と環七の間くらいに位置し、住市総(密集型)事業地区の一部となっている。
  • 周辺には木造住宅が多いが、特にこの改良地区に関しては非常に小さい戸建が密集している。
  • 地区内で高低差が6~7mあり、この地区はちょうど谷の部分に位置している。
  • 戦前は沼地で水が溜まっているような状況だった。現在でも少し土を掘ると水が出てくるという状況で、元々あった建物についても非常に地盤が悪いので、沈下で建物が傾いているという状況が多く見られた。昭和20年代後半くらいから埋立てされ、無秩序な造成が行われ建物が建ち始めた。昭和30年代後半~40年代前半にかけて小さな建物がどんどん建てられた。
  • 地区の東側が二項道路であり、そこから降りて行ったところが改良区域に入って行く通路になっている。 中に入ると幅員1.5mあるかないかの通路がずっと続いている状況である。
  • 改良事業が導入される前のまちづくりに関するアンケートでは、賛成が平成5年で46%、平成7年で33%とそれほど多くない状況であった。
事業計画の見直しについて
  • 当初は谷を埋めて二項道路を拡幅し一体的な整備を行う計画であったが、 平成10年度からはとにかくできるところを最小限で進めようという形で検討が行われた。
  • 見直しの結果、谷上の地形を変えずに現状の地形を活かして地区内に生活道路を整備する、 道路を抜くことによって自主建替えも可能とする、地区内に必要な公的住宅を建設するということを踏まえて、住宅地区改良事業を導入することとなった。
密集事業と改良事業の比較
  • 密集事業と改良事業を比較すると、下表のような違いがある。
事業手法 住宅地区改良事業 密集住宅市街地整備促進事業
事業根拠 住宅地区改良法に基づく事業 国の要綱に基づく任意事業
事業内容 不良住宅の除却、住宅の建設が義務付けられる。 従前居住者のための住宅の建設
私権の制限 ・建築行為等の制限
・土地建物の収用等
無し
効果と特徴 ・法に基づく事業で確実性が高い
・補助率が高い
・税控除は5000万円
・任意事業であり、地権者の意向が大きく影響
・税控除は1500万円
財源(補助率) 国補助:2/3、都補助:1/6、区費:1/6 国補助:1/2、都補助:1/4、区費:1/4
密集事業と改良事業の比較
  • 平成10年に事業化方策検討調査を住宅・都市整備公団(現在のUR都市機構)に委託。
  • 同年、学識経験者・国・都・機構で委員会を設置し、事業見直しについて検討を行った。 その結果、区は事業方針を見直し、住宅地区改良事業の導入に向けて、方針転換を図った。
  • 平成11年に事業見直し方針地元説明、平成11~12年に見直し計画地元説明、協議、平成13年に建物不良度測定、 意向調査、国・都協議、平成14年2月に板橋区都市計画審議会、平成14年3月に大臣改良地区指定、平成14年4月に事業計画告示、 平成18年8月に事業計画変更ということで進んでいる。平成13年に建物調査に入って、並行してこの1年間事業認可を進めていった。
改良地区の概況
  • 従前は96戸中84戸が不良住宅であった。
  • 改良地区の概況は下表の通りである。不良住宅戸数の割合が80%以上という要件がかなり厳しく、地区指定をかけるのは難しいため、 全国的にもそれほど数がないと思われる。板橋区でもこの事業が終わったらおそらくこの事業ができるような区域はもうないと思われる。
項  目 大谷口上町地区の概況 地区指定の要件
改良地区面積 0.45ha 0.15ha以上
不良住宅戸数 84戸 50戸以上
不良住宅戸数の割合 87.5% 80%以上
不良住宅戸数の割合
(面積あたり)
218.18戸/ha 80戸/ha以上
  • 地区内の居住者の属性は、居住者の年齢は61歳以上が40%、世帯主の年齢は61歳以上が52%、 世帯人数は1人が26%、2人が34%となっており、高齢者が多く、1人もしくは2人住まいが多い。
  • 土地・建物の権利形態を見るとAAA(土地建物所有者が居住)が13%と少なく、借地、借家の方が多い。主要な土地所有者は5名である。
  • 意向調査の結果は、同意が83%と見直し前に比べてかなり同意の割合が上っているが、調査の回答率が84%であり、 回答もいただけない方の中には反対されている方が多かった。
事業計画について
  • 事業を進めるにあたり、買取り、工事の順番を踏まえて地区を5地区に分け、順に交渉または工事を進めた。
  • 最終的な整備計画では道路及び改良住宅1~3号館を建設することとしている。周辺の自主建替えエリアは密集事業として別途進めている。 新設する道路の位置づけは、将来的には区道になるが、現在まだ道路の整備はされていない。建築基準法42条1項4号の指定を受けており、 建築基準法上の道路になっているので、自主建替えはもうできる状況である。
  • 平成15年より事業地区ごとに順に買収、除却を進めてきた。住宅建設は平成15年に地区外にやよい住宅を建設し、 それから1、2、3号館を順に建設している。道路についても地区ごとに順に整備を進めてきており、 今年度これから残る1地区の道路工事が終わると、事業終了ということになる。
  • 事業の進め方として、非常に込み入った権利関係になっており当初は境界がわからない状況であったため、 まずは境界確定、地積確定といった作業から始めていった。それから建物調査を行い建物の評価額を算定した。 建物については未登記の建物が非常に多かったため、買取りをするために登記の手続きをしていただくことが必要になった。 そして不動産の契約や借地権割合の提案、仮移転の手続き、税務説明、売買契約交渉等を行った。

会場の様子

事業地区内見学

見学会の様子

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