インターネット接続環境の整備
UR賃貸住宅のインターネット接続環境の整備のはじまりは、平成13年1月、e-Japan戦略が発表されたことに端を発し、新規に供給するUR賃貸住宅はもとより、既に完成している入居済みのUR賃貸住宅も含め、全てのUR賃貸住宅においてインターネット接続サービスを低廉な価格で享受できるような環境を整備するという方針の元、インターネット接続サービスの導入検討を進めてきました。
新規に供給するUR賃貸住宅については、住棟内LAN方式による、任意加入のインターネットを採用することとし平成13年12月、『グリーンタウン光ヶ丘(千葉県柏市)』で第1号サービスを開始しました。その後、光配線方式についても導入検討を進め、URが光配線を整備する方式で、平成14年6月から『シティコート目黒(東京都品川区)』の一部住戸などでサービスを開始しました。さらに平成27年からは、通信事業者が光配線方式を整備する方式へ切替え、インターネット接続方式の選択肢が広がりました。
一方、入居済みのUR賃貸住宅のうち、住棟内LAN方式の採用前に建設された住棟については、光配線方式、VDSL方式、CATV方式等によるインターネットが利用可能となるよう居住環境の整備を進めています。VDSL方式の第1号は、平成14年3月にサービスを開始した『板橋ビュータワー(東京都板橋区)』です。
(1)住棟内LAN方式
住棟までは、光ケーブルにより専用回線が通信事業者(キャリア)によって接続されます。住棟の内部は、ONU、ルータ、スイッチングハブ等のセンター設備を介して、フロアスイッチングハブを経由して各住戸までLANケーブルで接続されます。ひとつの専用回線を複数の住戸でシェアする方式で、1Gbpsまたは100Mbps対応のシステムとなっています(図1)。
また、UR都市機構の住棟内LAN方式の特徴のひとつに、住戸のパッチパネル方式があります。これは、「パッチパネル」と言われるプレートの上で、「パッチコード」をつなぎ換えるだけで、どの居室でも簡単にインターネットを使うことができる効率的なシステムです(図2)。
フロアスイッチングハブから住戸に引き込んだLANケーブルは、住戸内に設置した「パッチパネル」の外線と表示されたLAN用コンセントに接続される。各個室にはRJ45のLAN用コンセントが設置され、パッチパネルまで繋がっている。例えば、個室の3でインターネットを利用したい場合には、パッチコードを外線と個室3の端子に差し込む。すると外部からの系統が個室3に接続されることになる。 複数の居室で利用する場合には、お客様にルータをご用意いただき、パッチパネルの近くに置いて利用することになる。 ※パッチパネルを設置していない住戸もあります。
(2)光配線方式
住戸までのすべての配線が光ファイバーケーブルによって接続されます。引込柱から住棟の共用部へ光ファイバーケーブルを引き込み、PT盤、スプリッタ等を経由して各住戸まで光回線で接続します。建物の設備によりますが、通信速度は最大概ね1Gbpsに対応したシステムとなっています(図3)。
(3)VDSL方式
住棟までは、光ケーブルにより専用回線が通信事業者(キャリア)によって接続されます。事業者設置のVDSL装置を経由し、住棟の内部は既存の電話配線を利用します。住宅内の電話受け口にVDSLモデムなどの装置を設置することにより、インターネットサービスが利用できます。(図4)。